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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第67わ「コフィン・イン」

(承前)

五本、六本、七本、八本……。俺を掴む腕が一秒ごとに増えていくことなど問題ではない。一瞬ごとに剣呑さを増す相棒の眼光こそが恐ろしい。

「分かりますか?既にダンナも私と同類、夜の世界の住人なんですよ?明るいうちから外をほっつき歩くなんて……私が許しません」

このままだとまずい。……ハントマンの凝視!予選で同級生に化けたニセモノの瞳を覗き込んだときには身動きが一瞬とれなくなる程度で済んだが、そのニセモノを苦も無く仕留めた相棒の眼力は桁違いだ。意識が朦朧とする。抵抗しようという意思さえ挫けそうになる。

「さぁ、私と一緒に棺の中に。何を恐れているのですか?前にも言いましたが、吸血鬼の貴族たるハントマンは嫌がるパートナーの血を無理に吸ったりなんかしません。肉を齧ったりもしませんよ。ダンナに残された左目をほじくり出したりもしません。それでも嫌なのですか?私の何がお気に召しませんか?私の、私の、私の、私の……

(続く)

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