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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第94わ「ここには空白を入れるものとする」

(承前)

そして俺は一人で家に残された。❝ゲーム❞が始まるまでの数時間、久しぶりに一人だけの時間が戻って来た。それでも俺にプライバシーなどは無い。今この瞬間にも❝ゲーム❞に参加していないハントマンどもは、俺や他の参加者の暮らしぶりを高みの見物と決め込んでいる。……そうだろう、画面の前のみんな?何処にあるのか分からないカメラを意識して、喜劇役者を気取ってわざとらしく肩をすくめてみたりする。戦いが始まる前に風呂に入って体を綺麗にしておこうと思った瞬間、恐ろしいリスクに思い至った。❝ゲーム❞が始まる瞬間を自宅で迎えることになるリスクについてだ。俺のヤサが暴かれるのは俺だけの問題ではない。長期休暇に突入すれば寮で暮らしている妹が家に戻って来るかもしれない。それはまずい。……銀の弾丸は既に無い。マンハントどもは既に街を徘徊しているかもしれないが、それでも俺は相棒を追いかけて自分の意思で家を飛び出すことにした。

(続く……?)

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