ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第111わ「待ち構える者」

(承前)

それよりも我々は本当に戦いに勝ったと思っていいのか?氷漬けになった敵が復活する危険性は無いのか?一刻も早くトドメを刺した方がいいのでは?そう思ったときである。何処からともなくファンファーレが鳴り響き、景気よく紙吹雪が吹き荒れたのは。

「気を強く持ってください。今から恐ろしいことが起きるので」

何が、とは言葉にならなかった。氷漬けになった襤褸切れの魔女が、見えざる何者かの手によって一秒ごとにシャリ、シャリ、シャリと抉られているからだ。

「ごちそうさま。……おいしいほうがいきのこったのはざんねんだ」

忘れもしない、忘れられるはずもない。ハントマンを捕食するハントマンの最上位存在、❝五ツ星❞が虚空から現れた。……まさか、ずっとここで待機していたのだろうか。一瞬でも早く己が食欲を満たす為に。

「お、お気の毒ですが!我々は!最後まで勝ち残りますので!」

相棒が毅然として❝五ツ星❞に宣言する。その声は震えていた。

(続く)

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