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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第59わ「駆け引きの妙味」

(承前)

「十」

秒読みが始まった。同衾と言うと、アレだろう。同じ布団で寝ることだろう。夏目漱石の「吾輩は猫である」を読んだから分かる。

「九」

問題は布団ではなく、棺桶で眠らなければならないことか。

「八」

いや、本当の問題は寝具のことではない。相手のことである。

「七」

見た目は良くても吸血鬼と言えば怪物の代名詞だ。分類としてはゾンビとかミイラとか、狼男とか、そちら側の存在だ。

「六」

ヘビに睨まれるカエルの気持ちが、ネコに捕まったネズミの気持ちが今の俺には理解できる。喰う者と、喰われる者。

「五」

いや、確か相棒は言っていた。同意を得ずにパートナーの血を吸うのはルール違反でマナー違反でもある、と。

「四」

でもなぁ。こいつら吸血鬼……というかハントマンどもは外見も声も自由自在に変えられるみたいだしな。

「……三!あと三秒です!」

相棒の正体は皺だらけの老婆かもしれないし、筋肉モリモリマッチョマンの変態ということもありえる。

(続く)

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