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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第92わ「駆り立てる者」

(承前)

俺が相棒の足を引っ張るだって?返す言葉も無い。俺は普通の高校生で、特別な能力なんて何も無くて、怪物との戦いに際してのノウハウも無い。しかし主体的に戦う役目を担うハントマンとやらが戦意を喪失しているようでは……。

「ひっく、ひっく……。くっ。くくく……」

相棒の様子がおかしい。肩の震えが激しくなっている。体育座りのまま横に転がると、自由な方の片腕で床をばしばしと叩き始めた。泣いた吸血鬼が、もう嗤っている。

「ふっ、くくっ。脱落したハントマンが死ぬということは……❝カード❞も❝トークン❞も生き残った者の総取りということじゃあ、ありませんか……」

床を叩いた腕で宙返りして事もなげに着地する。いつも通りの相棒の姿がそこにはあった。

「よし!俄然やる気が出てきましたよ!私の最後の❝ゲーム❞に相応しいサプライズです!勝ちますよ、何としても!」

士気が高いのは結構なことだ。もとより、俺の命が懸かった戦いなのだから。

(続く)

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