見出し画像

ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第104わ「真夜中に訪れる者は」

(承前)

相棒のマントに包まれて地面に横たわる。俺は幸せだった。少しも寒くはなかった。全ての不安が消え失せて、幼少期の記憶が呼び覚まされてゆく。物心がつくまでの記憶さえ思い出せそうだった。次第に自分が何の為にここに来たのか、何もかもどうでもよくなりつつあった。たった今、そうなった。

「よしよし、そのまま良い子にしていてくださいね。……いよいよ敵のハントマンが接近中です。サクッと片付けて来ますから」

ハントマン。その言葉、ずっと昔に聞いたことがあるような気がする。恐怖と苦痛に紐づけされた記憶だ。口にすると胸が苦しくなる言葉だった。そうこうする間に名前も分からぬ白い背中が遠ざかる。待ってくれ。置いていかないでくれ、俺の大切な人よ。声の出し方を思い出そうと四苦八苦していると、地面を伝って何かが接近する音が聞こえてきた。恐ろしい何かがやってくる。

「ハッハハァ!!初めましてだね、【表記不可能】と、そのオマケ!!」

(続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?