ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第21わ「生きて夕陽を拝めば」

承前

自室のベッドで泥のように眠りに就いた俺が目を覚ましたのは、夕方のことであった。学生の本分である学業のことは、努めて考えないようにした。同級生を見殺しにしておいて、俺の一番の気がかりは自分の暮らしのことなのだ。つまり、俺はそういう人間なのであった。

「ダンナ、目は覚めたか?おはようございます!」

我が相棒の弾みに弾んだ声が聞こえる。そして一気に頭が重くなったように感じられる。返事をしてやる気にもならない。昨日までとは打って変わって砕けた口調である。俺に歩み寄っているつもりなのか。そもそも夕方なのに「おはよう」は無いだろうと言いかけ、思いとどまる。

「ささ、早く居間に来てくださいね。夕餉の支度は整っておりますので!」

そそくさと部屋を出る相棒をぼんやりと見送りながら、頭の中に思い浮かんだのはシャワーを浴びること、そしてコーヒーを飲むこと。そうすれば俺は新品同様。やるべきこと、やりたいことも見えてくる。

続く

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