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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第103わ「罪も罰も越えて」

(承前)

実力では敵わず、倫理面に於いても人類は吸血鬼の所業を非難できる立場には無かったと思い知る。我々は同じことをやっているからだ。しかし人間は間違いを正すことが出来る生き物だ。今この瞬間より、清く正しく生きればいいのだ。

「ギャーッ!何ですか!?急に服を脱ぎだしてどういうつもりですか!?」

決まっている。俺は今から不必要な殺生はしないし、生き物の命を奪ってまで暖かさを求める人類とも吸血鬼とも一線を引く為に全裸となるのだ。

「もうすぐ日付が変わって戦闘に突入するんですよ!?人類の原罪を背負って磔になった男でも腰に何か巻いてたでしょう!そういう問題じゃない!服を!着てくださいな!」

仕方ない。そこまで言うならパンツだけは脱がないでやってもいい。秋の夜長の寒空の下、あまりの寒さにうずくまっていると相棒がマントを脱ぐと俺に羽織らせた。まるでメロスか、童話の❝裸の王様❞だ。

「ついでに茨の冠でも被せてやりたいです」

(続く)

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