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ハントマン・ヴァーサス・マンハント

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逆噴射小説大賞に応募にしたパルプ小説と、その続きを思いつくまま書き殴っています。ヘッダー画像もそのうち自前で何とかしたいのですが予定は未定のままであります。
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2018年12月の記事一覧

ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第17わ「見ざる聞かざる」

(承前) 二人三脚で戦うハントマンの声、顔、体型、喋り方、それから服装を好きなようにカスタマイズ出来る❝初回サービス❞。 俺はそれを軽視した。相棒を着せ替え人形みたいに扱いたくなかったから。 そして佐々木は相棒を自分そっくりにカスタムして不意打ちに利用した。 俺が勝てたのが不思議なぐらいだと思う。 「さてさて、それでは勝利の美酒を頂きましょうか」 相棒の嬉しそうな声が、佐々木の呻吟に重なる。片腕で佐々木を締め上げているのだ。空いたままの片腕が恐ろしい。何をする気だ。

ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第16わ「お片付けの時間」

(承前) なんてヤツだ。相棒は敵のハントマンをいつでも殺せた。それでも馬乗りからのパウンドに次ぐパウンドで苦しめ続けた。敢えて隙を見せ、伏兵を炙り出す為に。そして今、その伏兵も銀の弾丸を失い、潜んでいたポリバケツごと倒れ込んでいる。これが吸血鬼の戦いなのか。これが❝ゲーム❞なのか。 「いい眺めですね、ニンゲン。確かに銀の弾丸は恐ろしい武器ですが。背後から撃たれたところで、そんな銀玉鉄砲で狙っても私に当たりはしません。仮に当たっても致命傷にはなりませんよ。痛いことは痛いので

ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第15わ「チェックメイト(王手詰み)」

(承前) 俺が相棒───、ハントマンと組んでいるように敵のハントマンにも人間の相棒がいるのでは? ならば、そいつは相棒のピンチを看過するだろうか。 その人間も俺と同じく銀の弾丸を持っているなら。 「なかなか死にませんね!この人!」 よせ、周囲を警戒しろ!と言うのが遅れた。パウンドを続ける相棒の背後に街灯に照らされる真新しいポリバケツが置いてあるのに気付く。そのバケツの蓋が飛んだ。そして中から佐々木の上半身が飛び出した。俺と同じ銀玉鉄砲を構えた佐々木の姿が。こっちが本物か

ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第14わ「チェック(王手)」

(承前) 急場は凌いだ。息を整え周囲を見渡す。マンハントは死滅。敵のハントマンも相棒が抑えている。我々は勝ったと思っていいのか。 「クソッ!クソッ!折角ハントマンになれたのに!」 「それが、貴女の、遺言ですか?冴えないですね!」 相棒は左右のパウンドを継続中。 なぁ。これって、ハントマン───貴族同士のゲームなのだろう。 「そうです!領土と、財産を賭けた、真剣勝負、です!」 まだまだパウンド。 そいつ、殺しちゃっていいのか。ゲームで。 そもそも俺は詳しいルールについ