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“知能検査“は100%使い倒していいのです!

「キョウカイセーチノー」という言葉がクローズアップされてちょっと知られるようになったは,たぶんこの本がきっかけだと思う。

《ケーキが切れない》というのは身体に何らかの疾病があるからというワケではもちろんなく,知的発達に遅れがある「境界性知能」がある児童が非行少年に多かったという趣旨である。

このことは,司法領域の心理士や精神科医など専門家の間では,周知のことでも,知的発達症(知的障害)であることを知らずに何度も法に触れた犯罪を犯して収監される人の割合が高いことはあまり知られていなかった。

刑務所はご飯も食べられるし,そとの混とんとした社会に比べたら格段に過ごしやすいことから,わざと軽めの犯罪で収監される人が多いのだという。

わたしは臨床心理士の他に精神保健福祉士の国家資格も持っていて,刑務所の中で社会復帰の支援をする仕事もあることは知っていたけれど,そっち方面は全く興味なくてスルーしていた。

同じ心理士仲間で,刑務所の心理士をしている人からも神経発達症(発達障害)の人たちも多いことを肌感覚で知っている。

とはいえ,「境界知能」は知的発達症(知的障害)ではない。

DSM5の神経発達症の区分(筆者作)

医学的にはIQ(知能指数)が70未満を知的能力障害と位置付けるけども時代によってカットオフ(区切り)は違っていた。

と固いことを言いたい訳じゃぁなくて,そもそもIQって何なの?という話だ。

だって,あなたはIQテスト(知能検査)受けたことありますか?ご自身のIQをご存じですか?

わたし?受けたことありますが忘れました。

昭和の時代は,学校で集団知能検査がありまして,あまりにトンチキな指数を出してしまい,親が先生から呼び出されたんです。

「お子さんが本気を出して受けていないんじゃないですか。わざとやらなかったんではないですか」

そんなこたぁない。

全力でやってもわかんなかったの。だって,わたし《空間認知》が甚だしくできない《限局性学習症LD》だもん。図形の奥行認知ができないもん。でも,言語能力がドンズバで高いんだもん。だから,得点間のばらつきが大きくてディスククレンパシー(指数間の差)があるんだもん。全体性知能指数をこれが下げてるんだもん。しょうがないじゃん,知的発達水準は平均以上あるんだけど数学の学力に反映されないんだもん。

とまぁ,長じて大学院修了後に臨床心理士となり,知能検査職人になったわたしだったら,開きなおってそう言うだろう。

でも,当時は「神経発達症(発達障害)」なんて言葉はなくて,無理やり言うならば「微細脳障害」とか「軽度発達症」なんて言われたのかもしれない。

一般的に知能検査と言うとIQ(知能指数)ばかりが注目されるけれど,確かに診断とか,手帳の判定とか,医療福祉サービスを受けるためにIQの数値は必要。

だけどもう1つ大事なことがあって,むしろこちらの方が大事な情報がたっぷり詰まっている。

Youtubeで解説したので,「知能検査って何それ?何がわかるの?」って思ったり,「知能検査を受けたけれど負担ばっかり多くてよくわからなかった」と思うことがあったら,知能検査職人として「知能検査の可能性」を知ってもらうことができるかも知れなくて嬉しいです。

そして大いに知能検査を使い倒していただきたい。

そんな知能検査の新常識をYouTubeでお話ししました。👇

見たらきっと知能検査を受けたくなるはず?

そんな奇特なあなた様にはこちらのビデオもおススメします。

「パズルみたいで楽し~」なんてウキウキで検査室を後にする人もたまにいるけれど,大抵の人は二度と受けたくないと思う。

心理士としてもWISCやWAISのようなウェクスラー式知能検査を取りたくないから検査予約オーダーをどうかいくぐるかの静かなバトルがあることをうっすら思い出した。

論文や所見書き、心理面接にまみれているカシ丸の言葉の力で、読んだ人をほっとエンパワメントできたら嬉しく思います。