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読書感想文

いつも、noteの投稿ページを開くと、読書感想文を書きましょう、と言われるので、苦手だった小学校の作文の時間を思い出して憂鬱な気分になる。小学生の頃は、作文が大嫌いだったのである。

文章を書き始めたのは中学のときで、誰に言われたわけでもなく、小説を書こうと思い立ったのだった。うろ覚えの記憶によれば、筒井康隆を読んで、もっと正確にいえば、SFマガジンを買い、そこに筒井康隆が『脱走と追跡のサンバ』を連載しているのを読んで、それまで漫画家になりたいと漠然と考えていたのを、作家志望に方向転換したのである(よくある話だ)。

たぶん同じ号から手塚治虫の『鳥人体系』の連載が始まっているのは偶然ではない。SFマガジンは、大人の雑誌の中に置かれていて、少なくとも小学生が手に取るようなものではなかった。それが、偶然、表紙に手塚治虫の名前を見つけて、やっと手に取る勇気が出たのだろうと思う。

小学6年生だった。買ったのは3月号だったから、1月の終わりから2月にかけての、卒業を間近に控えて期待に胸膨らませながら、少しだけ大人びた雑誌に心惹かれたのかもしれない。

筒井は、小松左京や光瀬龍、眉村卓らと同じSFマガジンコンテストの出身だが、1970年前後には眉村卓以外は殆どSFマガジンに書かなくなっていた。もちろん当時はそんなことは知らず、筒井のこともよく知らなかったが、『脱走と追跡のサンバ』は単純に面白かった。その後J.G.バラードや山野浩一を読み、内宇宙への旅というニューウェーブSFのテーマを皮肉ったものだと知り、だからSFマガジンだったのだと思った(当時の通常の小説誌の読者には、内宇宙という設定自体が理解されなかっただろう)。

その後、手に入る限りの筒井作品を買うようになったが、同時に文章を書くようになり、暇さえあれば原稿用紙に向かっていた時期もあったように思う。きちんとした小説を書くまでにはいたらなかったが、文章を書くこと自体は苦にならなくなった。

にもかかわらず、未だに読書感想文は苦手なままなのである。だからこそ、noteのお勧めが気になってしまうのである。つまり、いつもお勧めしていただいてありがとうございます。わたしは今でも毎日読書しているので、読んだ本のことを書くのは難しいことではないように思うのですけれども、なぜなのでしょう、とてもできないと尻込みしてしまうのです。いったいどうしたら書けるのか、どなたか教えてくださいませんか。

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