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【株式会社400F CEO 中村仁】前編:金融業界の矛盾をテクノロジーで解決する

株式会社400F CEO(代表取締役社長) 中村仁
2005年:関西大学卒業後、野村證券株式会社に入社。支店営業後、野村資本市場研究所のニューヨーク拠点に赴任し、金融業界の調査を実施。帰国後は営業企画部で営業戦略の立案・国内外の金融業界の調査を行い、京都支店で上場企業の法人営業を担当
2016年4月:株式会社お金のデザインに入社
2017年3月:株式会社お金のデザインの代表取締役CEOに就任。同年11月、同社子会社として株式会社400Fを設立
2018年7月:株式会社400Fの代表取締役CEOに就任。同年11月、「お金の健康診断(現 オカネコ)」をリリース
2020年7月:MBO交渉を経て、お金のデザイングループから独立。

ガレージベンチャーから100人規模の組織に。家計診断から商品提供までワンストップで行う

ー2024年3月、株式会社400F(以下、400F)のコーポレートバリューを改定されましたね

<新コーポレートバリュー>
Respect your neighbor リスペクトしよう
Raise your issues 問題提起しよう
Be gritty やり抜こう
Be confident 自信を持とう
Take it easy 気楽にいこう

組織が大きく変化してきたため、バリュー改定に至りました。
当社がMBOを経て創業した当時のメンバーは数名程度。まさにガレージベンチャーでしたから、メンバーとは阿吽の呼吸で事業を進めることができていました。

そんな当社も今では100名規模の組織に成長し、いずれは1,000人規模の組織になることを見据えています。これだけの規模になると、もはや暗黙知のような形でバリューを浸透させるのは難しい。今後は拡大した組織全体に浸透できる、形式知のようなバリューが必要だと考えたんです。

ーわずか数名の組織が100人規模になるまでの、事業の変遷を教えてください
当初の事業は2018年にリリースした「お金の健康診断(現 オカネコ)」が始まりです。ユーザーがオンラインで家計診断をした後、診断内容に基づいた金融アドバイスを専門家から受けられる。この仕組みは当時から変わっていません。

当時と比べて変わったことは、金融アドバイスの提供者を外部から自社中心にシフトしたことです。サービス開始当初、ユーザーへの金融アドバイスは外部の保険募集人やIFA(金融商品仲介業者)さんが提供していました。2021年に当社自ら金融ライセンスを取得した後は、徐々に自社の金融オンライン・アドバイザーが提供する形に移行しています。

これにより、当社は集客後の家計診断からチャット・オンライン面談による金融アドバイスと金融商品の成約まで、すべての金融サービスをワンストップで提供できるようになりました。これが、現在のオカネコ事業です。

文字起こしもしています。こうして得た膨大なデータと営業ナレッジを活用し、法人向けの営業支援も行うようになりました。これが、現在のEnterprise事業です。

ー金融アドバイスの提供体制を外部から自社にシフトした理由は?
当社では、ユーザーの大切なお金の相談に対応するためには、アドバイザー自身が高い倫理観と専門知識を兼ね備える必要があると考えています。

ところが、外部提携だと多様な価値観の方がいるため自社でコントロールしきれません。そこで自社アドバイザーを育成し、金融アドバイスのクオリティを一定以上に保つ体制を構築しました。

ユーザーと資本市場の双方から評価され、かつ成長を見込めるビジネスでなければならない

ーオカネコの月間平均獲得ユーザー数は約3~4万人(※2024年8月時点)。
これだけデジタル集客の力があれば、アポイントを外部送客するリーズビジネスでも事業として成立しそうです

リーズビジネスを行えば、短期的には売上を獲得できるかもしれません。
しかし、送客だけのビジネスではクオリティの高い金融アドバイスを担保できず、ユーザーから支持されることはないと思います。また、リーズ送客事業は相談後のユーザーデータを取得できません。これは致命的です。

ユーザーがどのように悩み、どのような相談をして、どのように成約に至ったのか。当社では、こうしたデータこそが事業の核になると考えています。データという資本を蓄積できず、集客を続けるしかない単発ビジネスでは、長期的な成長を見込めない。資本市場からの評価も得られません。そのような経営判断で、リーズビジネスは考えていません。

ービジネスの発展性とユーザーからの評価、加えて資本市場からの評価も重視していると

当社はIPOを見据えていますが、そこはあくまで通過点。重要なのは上場後の株価を引き上げることにあります。となると、資本市場からの評価は不可欠。だから、当初から「資本市場から評価されるビジネスを構築する」という逆算思考でやってきました。

一方で、サービスの提供先であるユーザー目線も重要です。ただ、金融サービスでユーザー目線を貫くと、売り手にとって有利な商品を扱わなくなるため、必然的に1人あたりの獲得フィーは下がります。ありていに言えば、稼げないんですよ。
でも、この問題を解決するのがテクノロジーの力だと考えています。

ーテクノロジーの力で、理念(顧客満足)と利益のバランスを両立させていくと
1人あたりの獲得フィーが少なくても、テクノロジーの力で営業の生産性を上げていけば、両立は可能と考えています。簡単に言っているものの、とてつもなく困難な取り組みです(笑)

ただ、現在の金融業界でこれだけ真っ当な事業を行っている会社はないという自負もあります。徹底的に理念を貫き通して生き残れば、圧倒的な差別化につながるのではないかと考えています。

ー400Fが成長するにつれて、オカネコに似た競合プラットフォームが出てくる可能性もありますよね。競合が現れたとき、貴社の強みになるのは何だと思いますか
当社の強みは3つあります。
1つめは、プロダクト
2つめは、サービス提供の中で集積したデータ
3つめは、当社独自の事業活動で磨き上げたオペレーショナルエクセレンス 

オカネコの事業を表面的に真似るだけであれば簡単です。ですが、表面的に似たプラットフォームを作ったところで、事業として機能させることはできないでしょう。

当社は膨大なデータとノウハウを集積しながら、PDCAを高速で回してオカネコの運用を洗練させています。オンラインの金融アドバイスにおいては営業のフレームワークを作り、誰が案内しても同じ成約率を達成できるような体制を模索し続けています。

試行錯誤の連続で改良を重ねたプロダクトや、PDCAを回し続けて磨き上げたオペレーション。その中で積み上げてきたデータは当社の資本であり、簡単に真似できるものではありません。


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