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【キャリコン学科試験】危険な3つの学習法とその対策!

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今回は学科試験対策についてお話しします。3月7日に学科・論述試験がありますが、皆さん学習の進捗状況はいかがでしょうか?私は当時を振り返ると試験の合格率の高さに惑わされ、すっかり油断し、勉強の開始時期が遅くなったのを思い出します。結果的にそのしわ寄せで学習スケジュールを組み直し、試験当日の始まる開始時刻ギリギリまで勉強することを迫られました。

 よく合格された受験生の中で「勉強しなくても受かったわ」という人がいますが、決して鵜呑みにしてはいけません。皆さん思い出してください。学生時代にテスト当日「いや、昨日何も勉強してねえわ」と言ったクラスメイトが後日、高得点だった悔しい思い出を・・・。つまり「勉強しなくても」は、あなたを思いやる発言ではなく、「勉強しなくても合格できてスゴイだろ」という単なる自己アピール(自慢)に過ぎません。

 ただ、実際にほとんど勉強しなくても合格できた受験生がいることも事実です。でも皆さんそれぞれ育ってきた環境が違います。経験の有無や知識の量が人によって千差万別です。どうしても合格したいというならある程度の努力は必要不可欠になります。その努力が成果にうまく結びつくように今回、当塾で5年に亘り培ってきた学習方法の中でも特に大事なところをピックアップしてお伝えしたいと思います。

本コラムの動画版 

*キャリコン・技能士の学科・論述・面接試験対策を希望される方は

危険な3つの学習法
1.過去問をまだやっていない
2.合格基準を超えて満足
3.新しい書籍を買う

 なお、最新受験回の傾向と分析(今後の方向性を含む)や実技試験の学習方法については、以下のコラムで解説しております。ご興味のある方はぜひご一読ください。

【数字とデータで見るキャリコン 】第15回試験結果の概要&傾向と分析(1)https://note.com/career_counselor/n/n3bcada5ed540?magazine_key=mbc96db458640

【キャリコン実技試験対策】お金をかけずに一人でも勉強できる3つの学習法!(受験団体共通)https://note.com/career_counselor/n/n0a75d9b5987d?magazine_key=mbc96db458640

1.過去問をまだやっていない

 受験生で学科試験まであと1か月くらいの時に「まだ過去問やってません」という方がいらっしゃいます。その際は「すぐに始めてください」とお伝えしています。その理由は3つです。

(1)試験の構造上の問題

 まず国家資格キャリアコンサルタントの試験は年に3回あります。つまり4か月おきです。主な受験生の属性は社会人になります。つまり皆さん本業がありながら短い受験期間での学習を迫られるわけです。年に1度しかなく且つ合格率も低い試験ならテキストをじっくり読み込んでから過去問に取り組むような「インプット→アウトプット」の学習方法は有効かもしれません。

 しかし仕事に追われ、家庭の役割をこなしながら短期間で学習しなければならないキャリコンの試験は、まず過去問で自分の現時点の実力を知り、書籍や教材を読みながら知識を補完していく「アウトプット→インプット」の学習方法が必須だと考えています。

(2)公式の学習教材

  受験団体がホームページの「過去問題/学習情報」で公開している公式の学習教材が過去問になります。付け加えると様々な養成講座等で実施しているほとんど当たらないといわれている予想問題ではなく、これまで実際に出題されたという事実に基づく唯一の教材が過去問です。ちなみに受験団体は、有料の書籍も販売していますが、あまり有効性は感じられません。理由は2つです。①キャリコンの学科試験に特化している教材がない、②比較的古い教材しかない、以上になります。

(3)出題者の意図

 国家資格の試験に限らず、問題には受験団体や関連機関の思いが込められています。つまりキャリアコンサルティング協議会や厚生労働省が受験生に対して、キャリコンで特に重要だと考えている内容が問題になっているからです。(一部例外はあると思いますが)過去問を見れば出題者の意図が少しずつ理解できるようになってきます。

【学習法】
(1)キャリコン試験の過去問は3回分やる
(2)ついでに技能士の過去問もやる

【根拠】(1)前述した通り。(2)の理由は以下の2つ。

①試験範囲が同じ
②受験団体が推奨している

①試験範囲が同じ

 現在公開中の「キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目」が国家資格キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能検定2級で同一化されたからです。

②受験団体が推奨している

 受験団体のホームページの「学習情報」に以下の記載があります。

 国家検定キャリアコンサルティング技能検定過去問題
技能検定2級の学科試験の過去問題も、学習の一助にご活用ください。

つまり公式の学習教材として2級過去問題の第22,23,25回(第24回は未実施)が推奨されているからです。

2.合格基準を超えて満足

 受験生で「過去問で何とか70点取れるようになってきました」と言って満足してしまっている方がいらっしゃいます。その際は「必ず100点取れるまで繰り返してください」とお伝えしています。その理由は3つです。

(1)回数を限定することの根拠のなさ

 一部で過去問一回あたり最低3回は繰り返さないと合格できないと噂されています。では聞きましょう。その回数の根拠は何ですか。

 大脳生理学的に?エビングハウスの忘却曲線から?

記憶のメカニズム的に繰り返すことで記憶の定着が高まることは周知の事実です。でも「3回」という回数一体誰が決めたのでしょうか。

(2)取りこぼしを積み重ねると結局こうなる

 例えば第13~15回の過去問をやってみて以下の点数だったとします。

第13回:70点
第14回:80点
第15回:90点

 いずれも合格基準の7割(70点)に達しています。素晴らしいですね。きっと自分はこの試験と相性がいい、学科試験は合格率も高いからもう勉強しなくてもいいかなと思ってしまうかもしれません。これがこの試験の落とし穴です。それではこの点数を違う角度から見てみましょう。

第13回:70点→-30点
第14回:80点→-20点
第15回:90点→-10点

 間違えたマイナス分を合計すると「-60点」になります。もしこの間違えてしまった問題が全て出題されていたら100点-60点=40点しか取れません。

(3)丸暗記だけでは合格できない

 学科試験では似たような問題は出題されることはありますが、文章まで全く同じという問題はまず出ません。つまり設問と答えを丸暗記したところで理解していなければ結局間違ってしまうということです。単純に何点取れたか、どこが間違っていたのか確認するだけでは、過去問を何回やっても応用することはできません。

【学習法】
(1)過去問は回数を決めずに満点が取れるまで繰り返す
(2)丸暗記ではなく理解できるように周辺知識を補完する

【根拠】(1)前述した通り。(2)の学習法は以下の通り。

 学科試験も問題は大別するとイレギュラーはありますがだいたい以下に当てはまります。

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 「適切なもの」を選ぶか「不適切なもの」を選ぶかの2つです。ここで大事なことは次のように設問文の中で「x」の箇所になります。

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 「適切なもの」を選ぶなら「不適切なもの」が3つあるということ。「不適切なもの」を選ぶなら1つあるということ。どこが「不適切」なのかを確認することで周辺知識を補完することが出来て、違うパターンの設問に対しても応用ができるようになってきます。つまり 過去問は「50問ではなく200題」と考えてください(全50問x4択=200題)。

3.新しい書籍を買う

 受験生で「新しい書籍を買ったので今から読もうと思っています」と言ってどこか辛そうな表情を浮かべている方がいらっしゃいます。その際は「それ今読まなくても良いので、まずは過去問やりましょう」とお伝えしています。その理由は2つです。

(1)読ませるために書いていない

 学科試験問題によく出題されている偉い先生方が書いている書籍ですが、私のようなあまりかしこくない人間にとっては、学術的すぎてとても読みづらく感じます。ちなみにアマゾンのレビューでも同意見の方がいらっしゃいましたので、ちょっと安心しました(書かれている内容は全く忖度なしでとても的確なご指摘でした)。ただし、本を読むのが好きな方や読んでいて苦痛がないという方は読み進めていただいても構いません。しかし、優先順位は過去問の方が高いことに変わりはありません。

(2)ビジネスモデルにはまらない

 学科試験に出題された問題の関連書籍は増刷・重版されます。受験団体の顧問や理事にでもなれば、優先的に問題へ割り当てられることでしょう。これほどよく出来たビジネスモデルはありません。試験が続く限り、不労所得を得られるからです。私のような蚊帳の外にいる何の権力も持っていない人間は、楽器屋の窓ガラス越しに欲しいトランペットをただただ眺める少年のような気持ちで羨むしかありません。

【学習法】
(1)関連書籍は読み物ではなく辞書代わりに使う
(2)過去問に関する情報についてはまずネット上で調べる

【根拠】(1)難しい内容を苦痛な気持ちで読むぐらいなら、過去問に時間をあてたほうが有意義です。関連書籍は、分からない知識を補完する目的で活用してください。既に購入している書籍があれば、目次や索引からキーワード検索しましょう。副次的な効果として、調べる過程で他の情報にも触れることができるので、周辺知識を補うこともできます。

(2)は、キャリコンの受験生にとっては定番の「みんなで合格(略してみん合)」を活用しましょう。キャリコン試験の過去3回分は無料公開しています。本当は自分で全て調査する方が学習効果は高まりますが、時間の制約もあると思いますので、積極的な活用をオススメします。

まとめ

・過去問は今日からでもすぐに始めること。
・過去問を100点取れるまで繰り返すこと。
・書籍は辞書代わりに使うこと。

 今回ご紹介した学習法は人によって合う・合わないはあると思います。受験生の皆さんは腑に落ちたところだけイイトコドリしていただければ幸いです。現在、懸命に努力されている皆さんを陰ながら応援しております。(ジャン・一)

引用・参考文献

国家資格キャリアコンサルタント試験「過去問題」https://www.career-shiken.org/about/learninfo/ (2021.1.22アクセス)

キャリアコンサルティング技能検定「過去問題」https://www.career-kentei.org/about/learninfo/ (2021.1.22アクセス)

キャリアコンサルティング協議会「キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目」https://www.career-shiken.org/wordpress/wp-content/uploads/2019/12/past-03.pdf (2021.1.23アクセス)

株式会社ココスタディ「みんなで合格 キャリアコンサルタント試験」https://www.career-consultant.info/ (2021.1.22アクセス)

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