ゲートルーラーについて

0.最初に

まず初めに、当店は新規カードゲーム"ゲートルーラー"を取り扱っておりました。
そして今後の取扱いが難しいと判断し、現在残っている在庫の販売をもちまして、取扱いを終了させて頂く形となりました。
当店で"ゲートルーラー"をお買い求め頂いた、特にご予約頂いた上でお買い求め頂いたお客様には、当店の力不足もあり、大変申し訳ございません。

まず当店での"ゲートルーラー"の売上ですが、
決して悲観するような内容ではなく、その点のみ考慮すれば、概ね継続は可能な状況ではありました。
これもひとえにお買い求め頂いた皆様のおかげです。
この場を借りてお礼申し上げます。

当店では出来うる限り、その商材を取り扱う以上は盛り上がりに寄与していきたいと考えておりますが、もはや、"ゲートルーラー"ではそれが難しいと判断いたしました。

この記事では、当店が取扱いをやめた経緯を、このゲームの問題点と共にお話していこうと思います。
まず池っち店長こと、池田芳正様(以下池田様)は、wikiにも記載がある通り

強いカードが突出したゲームバランスの悪いゲームやデバックの満足でないゲームを徹底的に嫌うガンコ店長と化した

と、販売者の立場から、しばしば特定のTCGに対して、苦言を呈したり行動を伴って改善を働きかけておりました。
この行為自体は咎められるべき行為ではないと思っております。
やはりメーカーと小売りの関係というのは、持ちつ持たれつの関係であるべきだと感じますし、意見があるのであれば、それをメーカーに聞いていただくことも、時には重要だと考えます。

そのような思いから、当店も"ゲートルーラー"に関しては、明らかに問題のある所にはご意見を送らせて頂きました。
しかし、池田様、及び販売元である株式会社大遊様の担当者様に申し上げても、改善の意思や意向があるようには残念ながら見えませんでした。
このような対応は明らかに池田様、及び責任者であるゲートルーラープロジェクトとして、ダブルスタンダードであると感じました。

記事の構成上、人によっては不快に思う表現がある可能性がございます。
恐れ入りますが、そういった方はここでウィンドウを閉じて頂ければ幸いでございます。

1.プロモーションの大失敗

まず"ゲートルーラー"は、発表から発売までの間、ゲームルールをひた隠しにしておりました。

公式から発表されている主な理由は

・過去手掛けた商品にて「先行1ターン目に攻撃できるルール」が、ユーザーだけでなくカードショップの店員にすら、プレイせずに「クソゲー」「頭がおかしい」と言われた為

ということでした。

斬新なルールとして、確かに当時はネガティブな意見もあったように思えます。
しかし、そこまで目立って言われていた印象は全くなく、むしろゲーム開始時からコストを使えることで、1ターン目から大型ユニットを出すことができる要素がとても新鮮で、その斬新さをポジティブに評価している声が多かったように記憶しております。
少なくとも、今回"ゲートルーラー"のプロモーションに根幹に関わるような、ルールを隠すという理由付けとしては非常に弱かったと思います。

ルールが発売直近まで隠されることで、それを待つユーザーの期待値は上がっていきます。
もちろん、その上がりきった期待値、そのハードルを越えていけるようなクオリティの高いゲームを出すことができれば、このルールを隠すというプロモーションは大成功していたでしょう。
私自身も、期待に胸を膨らませながら、流通関係者発表会を心待ちにしておりました。

そして流通関係者発表会当日、ようやく"ゲートルーラー"のルールが公開されました。
正直申し上げて、その時点ではだいぶ期待外れと感じてしまいました。
体験デッキを会場でも遊ばせて頂き、その後もお店等で遊ばせて頂きましたが、体験デッキだけでも、下記のように感じました。

・アプレンティスでもナイトでも、「ルールが変わる」とまでは感じれず、あくまで別アーキタイプデッキで、同じルールで戦っている程度の変化しか感じなかった。
・ゲームが非常に平坦に感じた。特にアプレンティスの場合、1ターン目も3ターン目も5ターン目も、基本的にはプレイが上から2枚捲るだけなので、やっていることに変化を感じにくいです。
・かといってナイトはどうなのかと言われると、初手が2枚あるだけで、毎ターン上から2枚引くだけなので、こちらもアプレンティスと比べ、劇的にゲームスピードが変わるかと言われると、そこまでの変化は感じられません。

いっそのこと、ナイトは初手が7枚ある代わりに、手札からエナジーに置かないとカードをプレイできないとかであれば、ルールが変わるほどの変化は実感でたのですが…

そしてルーラーシステム以外のゲームシステムは、良くも悪くも「よくある国産TCG」でした。
カードを出して、攻撃して、山を捲る運要素があって、別にそれ自体が悪いことだとは一切思いませんが、上がりきった期待値を考えると、この内容では物足りなさを感じてしまいました。

ルールの秘匿とゲームのクオリティを煽るtweetにより、無駄にゲームへの期待値を上げすぎた結果、それに見合うゲームを用意できなかったのは、"ゲートルーラー"のプロモーション面における、失敗の大きな要因と言えると思います。
最初からルールを提示した上で、各種プロモーションを行えば、また違った結果になっていたかもしれません。

しかし、ルーラーシステムそのものには可能性は確かに感じます。
正直調整面も含めまして、ゲームが変わるほどの変化を催せるルーラーを作るのは果てしなく難しい課題だとは思いますが、きっと近いうちに実現…

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できませんでした…
全部既存ルーラーの調整版でした…

まず大原則として、ゲーム開始時にカードが選べるカードゲームは、調整が非常に難しいです。
それは突き詰めると「最初に選べるカードが一番強いデッキが最強」になってしまうことが多々あるからです。

最初は個性を出していても、後に全てのスタートカードを同じテキストに統一した例もあります。
それは悪いことではなく、ゲームバランスを考えた時に、そうせざるを得ないという事情があるからだと思います。

逆に調整版のカードを出したとしても、それと比べて強いルーラーを使うだけになってしまいます。
特に別のルールで遊ぶというコンセプトであれば、尚更避けるべきデザインであったと思います。

成功事例の少ないシステムへの挑戦という意味では、ルーラーシステムには非常に期待しておりました。
ゲームバランスが多少歪になったとしても、チャレンジ精神が感じられれば、新規TCGとしてはよかったような気がしています。

2.誇張表現と感じてしまうプロモーション

「ルーラーによってルールが変わる」「椅子から転げ落ちるほど面白い」という表現もそうですが、池田様のプロモーションは、誇張された物が多い印象があります。

公式PVで「〇〇と〇〇のルールで遊べるようなもの」というプロモーション自体が問題がありますし、また、そこまで言うのであれば、やはりルーラーに関しては調整版を出してお茶を濁すのではなく、革新的なルーラーをどんどん出すべきだと思いました。
そうでなければ、「ルーラーによってルールが変わる」というプロモーションは誇張表現と言わざるを得ないです。

そして当時も物議を醸した公式サイトでのコラム

この頃はとにかく数字面でのプロモーションが多く、その多くが現実とは剥離しておりました。
特に公式サイトのコラムに関しては、注1を見ないと正しく理解できないうえに、内容も要約すると「過去他社製品の初動がこれぐらいなので、当製品もこれぐらい売れるであろう」といった希望的観測ですが、いくら何でも暴論としか言いようがないです。
初動こそ伸びなかったが、口コミや評判で需要が爆発したカードゲーム自体は過去数例ですが存在します。
恐らくそのいずれかの例を指したコラムなのだとは思いますが、"ゲートルーラー"がそうなる根拠が示されていないのに数字だけで、しかも大事なところは注略で隠すのは、誇張表現を通り越して優良誤認と思われても仕方ないと思います。

もちろん、現実である程度達成できているのであれば問題も少ないと思いますが…

3.不誠実な運営

小売りに対する対応の不誠実さがとても目立ちました。
もちろんメーカーとしては新規立ち上げの為、不慣れからくるミス等は致し方ないと思います。

しかしこちらの記事で書いたこともそうですが、不慣れでは説明できない対応がいくつもありました、ほんの一例ですが…

・営業の方にメールをしても返信がない
・公式の各店舗に対する接し方の格差
・明らかに通販サイト贔屓の広告(特定の通販サイトへのアフィリエイトがある記事のRT)

といった、特定の店舗(特に通販専門店)への贔屓が目立ちました。
このような事例に対し、特に通販を行っていない店舗様もあることから、通販サイトへの過度な贔屓を出来る限り辞めてほしいという意見等も出しましたが、残念ながら非常に素っ気ない返答をいただきました。

その後も、公式の案内に不備がある度に(公式スリーブの案内が発売間近になっても案内が届かない等)、DM等で池田様に直接ご連絡をしていたのですが、最終的には「自分ではなく、公式に問い合わせてほしい」という対応になってしまいました。
事前に公式にその旨に関してのメールを送っても返信が全くないため、直接連絡させて頂いたのですが…


その後の無料カードの件も不誠実としか言いようがありませんでした。
概要としましては

①急遽池田様のTwitterより、2弾発売前に公式から無料カードを配布するという発表がされる。
②店舗としては、予め無料にするカードのガイドライン(レアリティの上限等)を制定してほしいと要望いたしました。

詳しい内容は過去tweetを確認して頂ければ幸いです。
その後、公式にご連絡させて頂いた結果、下記のご返答を頂きました。

・無料カードは★4(RRR)からも数枚は出すのは決定事項。ただし内容は決まっていない

ということでした。
すでにある程度市場価格のついている★4(RRR)を無料カードにすることに懸念を呈し、可能であれば撤回してほしいという要望をしましたが、決定事項ということでしたので、一切受け入れられることはありませんでした。

その後、大慌てで買取POPを取り下げて、買取を一時ストップする対応をしました。
何が入るのか決まっているならまだしも、現時点で何が入るかわからない状況で、買取が出来るわけがありません。
対応に追われていたところ、池田様のTwitterから

・無料配布は★3以上は入りません。
・説明しないと不安になる方がいるのは想定すべきでした

といった内容の声明が出されました。
こちらとしては★3以上が入らないというガイドラインを制定して頂けるのはありがたかったですが、あたかも最初から決まっていたということであれば、事前に言われた高レアも入る決定とは何だったのでしょうか…?


また、2弾の商品案内も期限から大きく遅れることがありました。
その際も公式にご連絡をさせて頂いたのですが、その時にご連絡頂いた日時からも更に遅れるということがありました。
2弾の商品案内が店舗に来ない限り、予約開始そのものができません。

このように、とにかく不誠実な対応が多かったです。
また、構想も詳しく決まっていないのに、行き当たりばったりな思い付きの施策を、公式の立場をもって発信していたので、その度に振り回されました。

4.改善の意思が見えない運営

その後、池田様の社長交代や、営業担当の方が新任され、
上記のような状況よりは改善していくかもしれないという期待もあり、もう少しだけ様子を見よう…ということで、その後の動向を見ておりました。

流通向けのメールが当店にはなぜか届かないので、メールの存在をたまたま知ってこちらから連絡したりと、紆余曲折もありました。

そして賞金制大会が発表されました。内容はタッグ戦でした。

「公式大会一回目からタッグ戦…?しかも賞金制…予選はタッグ戦なのに決勝は個人戦…?」

タッグ戦に関しては色々な人の意見もあると思います。
一概にタッグ戦が悪いとは言い切れないかもしれませんが、発売したばかりのゲームですし、タッグ戦では参加しにくい方もいるはずです。
第一回大会、二回大会と賞金制大会を成功させて、その後にタッグ戦というのであれば理解もできますが、いきなりタッグ戦はどう考えても理に適ってないです。

新任された営業の方とやり取りをさせて頂き、タッグ戦の撤回の要望を出しました。返信自体は熱心にご対応頂けましたが、タッグ戦の開催は決定しているようです。

5.最後に

その後、総合ルールの解釈の難しさが浮き彫りになったのもあり、現状の"ゲートルーラー"の販売戦略に非常に強い危機を感じたため、
可能であればそのあたりの改善の意向が公式側にあるのかを確認したく思い、連絡を打診させて頂きました。
その結果を踏まえて、取扱いに関する最終決定をしようと思っておりました。しかし、連絡自体を断られてしまった為、改善の意向の是非も確認できませんでした。

それをもちまして、当店の"ゲートルーラー"の取扱いの終了を決定いたしました。
冒頭でもお話している通り、今ある在庫の販売をもちまして、当店でのパック販売、及びシングルカードの取扱いは終了とさせて頂きます。
今後に関してですが、開催予定となっているミニグランプリは、予定通り開催いたします。

こちらの記事でも書きましたが、
「新規TCGは全て取り扱いを検討する」という当店のスタンスは今後も曲げるつもりはありません。
もし池田様、及び株式会社大遊様がゲートルーラーではない、新しいカードゲームを発売する機会があるとしたら、もちろん例にもれず、取扱いを検討してまいりたいと考えております。

最後に…繰り返しになりますが、
「販売者の立場から、しばし特定のTCGに対して、苦言を呈したり行動を伴って改善を促す」という行為自体は、業界の為にも必要なことだと思っております。ある程度は…。

今回のこの一連の話が、今後の新規TCGにとって、少しでも貢献できる要素があることを願っております。

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