陸上を好きになったきっかけ

まずは、どうして陸上が好きになったのか。それは大学在学中に、箱根駅伝で私の大学が初優勝を成し遂げたことである。当時の母校は選手の不祥事で監督が退任し、出場すら危ぶまれていた。そんな逆境の中、初優勝を成し遂げた。当時の選手たちの心の強さに刺激を受け、とても誇らしく思えたことを今でも鮮明に記憶している。それまではシード権争いの常連だったのに。そこから私は大学駅伝の魅力に惹かれていった。

チームの大エースは神と称されマスコミから注目を浴び、経験したことのない重圧に戸惑い、やがてスランプに陥った。その中でチームメイトの言葉が彼を支えた。楽しく走ればいいんだよ。辛いときに自分一人では立ち直れないこともあるけど、そんなときに優しく手を差し伸べてもらえたら、これ以上の特効薬はない。仕事でも、チームで目標を達成するために、うまくいかないときはそれをカバーしたり、 助け合うことが必要。彼らから学んだことの一つである。

母校は優勝校とわずか21秒差で2位でフィニッシュした大会があった。そのときは山下りでトップの座を譲ることになったのだが、そこから復路の選手たちが区間賞の走りでジワジワと差を縮めていった。だが、優勝を逃してしまう。彼らはそれ以降、「その一秒をけずりだせ」とスピリッツのもと、大会に挑むようになり、翌年には見事王座奪還を果たした。最後まで諦めないという選手たちの心の強さは、私の心に大きく響くものがあり、何かに悩み、挫けそうになったときには、いつも彼らの力強い走りに勇気を貰い、また前を向くことができる。

私の人生において、もはや欠かせないもの。チームのスピリッツは世代が変わっても引き継がれているし、卒業してもそれを大切に力強く競技に取り組む姿には本当に尊敬している。