米軍教範より学ぶ、6つの攻撃の形態

アメリカ陸軍の教範ATP3-21-8より、攻撃機動には以下の6つの形態がある。
1.包囲
2.迂回
3.正面攻撃
4.突破
5.浸透
6.側面攻撃

これら全ての形態を、状況に応じて指揮官は使い分けなければならない。

【包囲】


包囲とは、攻撃部隊が主要な敵軍の防御を回避するために、それらの防御の背後にある目標を 奪取することで、目標とした敵軍を現在の位置で破壊することを可能にする作戦の一形態である。
戦術レベルでは包囲作戦は地形の掌握、特定の敵部隊の撃破、敵の退却路の妨害に重点を置く。
包囲作戦における指揮官の着眼点は、攻撃可能な敵の側面を攻撃する事である。通常指揮官は突発や、正面攻撃ではなく包囲を好む。理由は我が敵を攻撃する機会が多く、さらに我の死傷者が少ないからである。また、包囲は敵に対して大きな心理的衝撃を引き起こす。

【迂回】


迂回とは、攻撃部隊が敵の現在位置の背後にある目標を捕捉する事で、敵の主な防御陣地を回避する攻撃機動である。これは敵部隊を現在の位置から動かす、あるいは脅威へ対象する為に戦力の分散を引き起こす事が狙いである。
指揮官は通常、敵が後退するか敵の援軍が到着する前に敵の重要な支援区域を確保する際にこの攻撃機動を使用する。通常、迂回機動の後に突発と包囲に派生する。
迂回は敵を現在位置から後退させる事を主眼に置いている事に対し、包囲は敵の想定していない方向から現在位置にいる敵と交戦する事を主眼に置いている。

【正面攻撃】


正面攻撃とは、我よりも明確に弱い敵部隊への攻撃、もしくはより大きな敵を広い戦線の上に固定したりすることを目的とした機動の1つ。彼の戦闘力が我の戦闘力より低い場合、正面攻撃が可能である。通常正面攻撃は、他の攻撃機動と組み合わせて使用する。

【突破】


突破とは、敵の戦闘組織を破砕してこれを各個に撃滅するため、主力をもって敵の正面から攻撃してこれを突破分断するにある。
このため、突破における目標は、敵の組織的抵抗を破砕できるような緊要地形に選定する。突破においても、その成果を包囲に導くように努めることが重要である。
攻撃可能な側面がない場合、敵の防御が過剰に拡張されていて敵の位置に弱点が発見された場合、または時間的な制約等で包囲機動が実施出来ない場合に、指揮官は突破を使用する。

【浸透】


浸透は、小部隊ごとに分散して隠密に敵中に潜入し、敵の後方地域に集結した後、目標を奪取しようとする攻撃機動の1つである。目標は、敵の位置の背後にある利点の位置を占めることである。
敵の陣地を通って部隊を秘密裏に移動させ、再集結させる事はかなりの時間を要する。浸透するためには、部隊は発見と交戦を避ける。通常は潜入部隊の規模を制限し、潜入部隊だけで敵を倒せることは稀であるため、潜入は通常、他の形態の作戦と組み合わせて、また他の形態 の作戦の支援のために使用される。

【側面攻撃】


側面攻撃とは、敵の側面に主眼を置いた攻撃機動の1つである。側面とは、軍の編隊の右側または左側であり、敵に向かって方向づけられていない。部隊の側面側は通常、兵力や火力の面では、陣形の前部ほど強力ではない。側面攻撃は、攻撃部隊が火器で攻撃するか、または突破によって実施される。側面攻撃は包囲に類似しているが、一般的により浅い軸で行われる敵の正面での戦闘を最小限に抑えつつ、敵軍を撃破することを目的としている。
側面攻撃は通常、敵の側面に向けられた主戦力で実施される。通常、主戦力が敵の側面を攻撃する間、支援戦力は砲火支援によって敵の正面防衛隊を拘束させ、敵の側面を攻撃する。この支援部隊の目的は、敵軍に側面の注意をそらす事である。
側面攻撃は展開の早さと戦闘のテンポと最終的な主導権を維持する為に最も重要な攻撃機動であり、早急な交戦や作戦でも使用される。


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