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光で充満した真っ白な世界で恋に落ちる feat.横顔/aiko

今日は仕事で嫌なことがあって、疲れた。

私の上司は顔がリーチマイケルにそっくりで、陰でこっそり上司のことをリーチマイケルって呼んでるんだけど(まぁそんなことはどうでもよく)、今日はそのリーチマイケルから見積の件で説教食らって、2時間も同じ話をループで何回も何回もねちっこく話された。

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私のミスなのは分かっているし、全面的に私が悪い。それは分かる。しかし、かなり小さなミス。もはや揚げ足取りのレベル。それに対して説教2時間。コストパーヘッドが見合わなさすぎやしませんか?この小さな小さなミスに相当するレベルの仕打ちではない。

説教のせいで残業くらって、結局終電で帰ってるとき、ツイッター開くとリーチマイケルのニュースと画像がタイムライン上に浮上してたから、なんかもうそれだけでもかなり不快になった。リーチマイケル本人は全く悪くない。ごめん。

けど、そんなリーチマイケル事件の不快さを吹き飛ばすようなこともありました。

なんと、田村さんからLINEの返事が来ていたのです。

今週末の土曜なら空いてる!

田村さんと初デート決定!!!!!!!!キターキターキター!!!!

まぁ、夜から2人で飲むってだけだから、デートと呼ぶには少々大げさだけど...

でも私、このテンションの上がりよう、もしかしたら田村さんのこと本気で好きになってしまったのかもしれない。

どうしたものか、あの時、あの瞬間、隣で、私の目を見て微笑んだ、いたずらでもあり優しくもある田村さんの顔が、脳裏と瞼と心臓と、いや、身体の至る所に焼き付いてずっとずっと離れない...あの日からずっと...

そう、私のクライアントのスポンサー番組の収録の立ち合いで、ラジオ局に行ったのが先月のこと。

刺激の強い出来事は、脳の海馬に焼き付けられて、忘れられない記憶となって心に残ると言うけれど、あの日の出来事はまさにそれ。今でも鮮明に思い出す、田村さんの目、指、髪、そのすべてを彩る色や背景まで、全部。

田村さんは『教えて!マイケルのPOPなMORNING』という朝のラジオ番組のディレクターだった。

初めて会った時の田村さんは、編集ブースで椅子にだらんともたれかかり、暇さえあればあくびばっかりしている、だらしない印象の人だった。

「クライアントの前なのに、この人態度悪すぎ…」そんな風に思ってたけど、on-airが始まるとスイッチが入ったかのように途端に目つきが変わり、スタッフに的確な指示を出しながら、番組の進行を仕切っていた。

田村さんの印象が完全にマイナスからプラスに変わったのは、CM中、田村さんが気を遣ってクライアントに話しかけてくれたとき。軽い雑談だったけど、雑談と営業トークの境目が限りなく小さく、相手の懐に入るのが上手くて驚いた。営業の私は、そんな田村さんを少し尊敬の眼差しで見るようになっていた。

そして、収録の立ち会いが終わり、クライアントも無事帰って、局の喫煙所で一服してた時、

【田村さんが現れた】

まぁ至って普通の流れで「お疲れ様です。」と声をかける。すると、田村さんが「お疲れ様です、あ、さっきの!」と返す。「収録ありがとうございました~」と、私は他愛のないビジネストークを繰り広げる。すると田村さんは急に、

「A子(私)さん、もしかしてaiko好きなの?」

と聞いてきた。急!!!まぁもちろんaikoは好きですとも。私の恋愛人生、片時も離れることなくaikoの曲がそばにあったし。aikoの曲と共に、切なくなったり嬉しくなったり、恋愛における喜怒哀楽はaikoに咲かせてもらっていた。けど、急!!!そして、なんで私がaiko好きってことを知ってるの?会話の流れをぶった切る潔さ。主導権を完全に持っていかれそうな危うさ。飲み込まれてしまう気配。

「え、まぁ好きですが…なんでですか?」

私がおそるおそる尋ねてみたら、田村さんは少しいじわるな顔をして、だけど当たり前に包み込むような優しいトーンで答えた。

「いや、さっき収録の途中でaiko流したら嬉しそうにしてたからさ。」

え?嘘でしょ、私、そんなところ、田村さんに見られての…?といいますか、田村さんが「私のことを見ていた」の…?だって収録の時私たち挨拶程度で会話とか全然してないし…。予想だにしていなかった返事に、驚きと嬉しさと恥ずかしさ、その3つの感情が心の中で氾濫して、軽く興奮状態に陥った。

私は改めて認識をする。田村さんに見られると、嬉しくて、恥ずかしいのだ、と。

そこで、収録で流れてたaikoの曲が私の頭の中で、リピートされ始めたのです。

眠っていた心の中に 些細な些細な小さな傷 いつの間に
その隙間から溢れて来るのは
あなたの名 優しく強い目 指 髪全てに気付かされる

「俺も、あの曲好きだよ。」

そう言ってにこっと微笑んだ田村さんの表情が、どんどん優しくなっていって、どんどん柔らかくなっていって、どんどん甘くなっていく。心も体も何もかも解けて、光で充満した真っ白な世界に落ちていく感じ…。何もないけど心が勝手に満たされていくような、そんなあたたかい場所。

いつの間にか、私の視覚はデフォルト機能のみの状態からアップデートされて、風を自由に作ったり、キラキラした装飾で世界を加工したり、ズームで田村さんの顔を捉えたり、いつもよりすごく自由になっていた。

起こされた想いは止まらないから躓いても
胸は風を切って 横顔に恋をした
あたしはとても切ない あなたをとても愛しい

好きかも。

言葉で表すと短いけど、そんな言葉を見つけ出すまでに、人は不思議な体験をする。それは美しくて、儚い。


その後お互いの連絡先を交換して、何通かLINEのやり取りがあって、私から飲みに誘って、現在。そして今週の土曜日はデート。(飲みだけど)ふふふ、田村さんに逢えるの楽しみだなぁ。

そんなことを思いながら、タイムフリーで今朝の『教えて!マイケルのPOPなMORNING』を聴いたら、またaikoの『横顔』が流れていた…!!!も、も、もしかして、田村さんの選曲だったりするのでしょうか…???神様、私は勝手に期待して勝手に盛り上がってしまってもいいのでしょうか。

電波に乗せて、なんだかメッセージをくれてるみたいで嬉しい。

待ちくたびれる 長い毎日
きっとあなたに逢っていないせいだな

田村さんもそう想ってくれてらいいなぁ…と思う。

はぁ、次の土曜日のデートまで、待ちくたびれる長い毎日だなぁ。

★Today's song★