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方程式13、捨てる力


入社4年目、26歳。そろそろ違う仕事をしてみたい。
人事・採用の仕事は、リクルートの組織構造やマネジメント体系の勉強になり、社内人脈もバッチリできたけど、社外の人と知り合う機会が少ない。

次の部署では、できれば社外人脈を作れる仕事に就きたい。
そんな気持ちで「編集関係をやりたい」と自己申告を出した。
 
運よく、それが叶い、キャンパスマガジンの編集部に異動。
初めての仕事は刺激的で、すべてがおもしろい。
 
それに、取材という名目で興味のある人に、いくらでも会って人脈を拡げることもできる。これは役得だ。

『朝まで生テレビ』の田原総一郎さん、国際政治学者の舛添要一さん、気鋭の経営コンサルタント波頭亮さん、『面接の達人』の中谷彰宏さんなど、注目を集めている人に片っ端からアポイントを取り、インタビューをしていく。

その日は、巻頭特集の最後の取材。これまでこの特集の取材や資料集めにどれだけ時間をかけてきたかを考えると感無量だ。

大きなコンセプトを裏打ちするようなインタビューができ、ご満悦で会社に戻り、ライターさんを交えて、ページ作りの編集会議に入る。

「4ページなので、最初のページに見出し、主役の方の大きな写真とプロフィール。これは良いよね。
で、2、3、4ページは、この取材とこの資料とグラフを使うのでどうかな?」
 
ライターさんがそう言い、副編集長も「同じ意見です」と肯く。

「えっ?ちょっと待ってください。じゃ、この表とか、あの人のインタビューとか、このデータはどうするのですか?」
 
「それね、構成を考える上ではとても役に立ったけど、誌面では使わない」

それから、バッサバッサと使うネタ、使わないネタの選別が行われた。

時間をかけて、足を使って、集めた情報や取材記事が、
日の目を浴びずに捨てられていくのはなんとも言えない気持ちになる。

あんなに頑張って取材したのに。
かけてきた時間が無駄になっていくような気がした。

そんな腹落ちしていない僕に、副編集長がこう言った。
「編集とかデザインって、捨てる力が大事なんですよ。
いっぱい集めて、その中から厳選して、コンセプトにあったものを使う。
たくさん集めれば集めるほど、良いものが抽出できるし、言いたいことが際立つ。私は先輩にそう教えられました。
もったいない気もしますけど、捨てられるネタの数だけ、
企画に深みが出てくるんですよね」

なるほど。頭では理解できる。そうかもしれない。
でも、今日だけは言わせて欲しい。あの時間を返してくれ〜(泣)。
そして、掲載できなかった方、捨てられていったネタの数々。
ごめんなさい、力不足で! 

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かしのたかひと

楽しんでもらえる、ちょっとした生きるヒントになる、新しいスタイルを試してみる、そんな記事をこれからも書いていきたいと思っています。景色を楽しみながら歩くサポーターだい募集です!よろしくお願いします!

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リクルート、福岡ドーム、メディアファクトリーを経て、映画プロデューサー、ベンチャー経営者、政治家、作家に。