そうだ、モデル化しよう。(2)

片づけておくべきポイントがありました。前回「モデル化」について説明したとき、例として挙げた「犬猿の仲」。これが意図せず二項対立の例となっていました。けれど、構造のモデル化(≒図解)ということと、二項対立とは直接の関係はありません。今回はその点について補足します。

たとえば「三すくみ」。三者がけん制しあって、全体が膠着状態に陥っている様子を表す言葉です。これはすでにモデル化されているようなもので図解も容易です。ほら、二項対立ではありませんよね?(下図)

三項対立20200404

三権分立という概念も「三すくみ」のけん制関係に似ており、国の役割のある側面を3要素でモデル化したものと言えます。広辞苑では次のように“説明”されています:

三権分立
権力の濫用を防ぎ、国民の政治的自由を保障するため、国家権力を立法・司法・行政の相互に独立する3機関にゆだねようとする原理。(後略)


さらにまた、数学的に考えれば、「n すくみ」も同様にありえますが、実際上はいろいろと困難があって実現しにくいシステムなのかもしれません。


というわけで、モデル化(図解)は二項対立だとは限らず、もっと複雑な構造もありえる、というお話でした。では今日はこのへんで。
ここのところずいぶんと波乱のある情勢となっていますね。ご自愛ください。


理数系の教養は国力の礎。サイエンスのへヴィな使い手の立場から、素敵な科学の「かほり」ただよう話題をお届けしたいと思っています。