かのわさび(Canowasabi)/すーりずむ

「サイエンス・エバンジェリスト」として、素敵な科学の「かほり」をお届けする所存。文理の…

かのわさび(Canowasabi)/すーりずむ

「サイエンス・エバンジェリスト」として、素敵な科学の「かほり」をお届けする所存。文理の壁をもりもり壊したい。

最近の記事

レバレッジものはレンジ相場で目減りする…って??

てこの原理でスカイハイ! てこは英語でレバー(lever)です。そして、てこの力はレバレッジ(leverage)です。今日はスカイハイ!したい私を含めた多くの潜在的な人々の一助となるべく、レバレッジETFや、レバレッジもの投資信託を算数して (みることを試みて)^n みます。 ※以下「^n」 は累乗を表すものとする。 レバレッジETF(または投信)とは、日々の値動き(価額変動率)が原資産(たとえば株価指数や商品価格)そのものの変動率の一定倍になることを目指して運用して

    • ハイパーインフレは“超指数関数的”

      前回のエントリーで、「インフレと指数関数 exp」の話をしたときに、ハイパーインフレを指数関数的な物価上昇と一緒くたにしてしまいましたが、実際にはハイパーインフレは「超指数関数」的で、 exp ( exp ( 時間 ) ) のようになることが多いそうです(これを2重指数関数と言います)。つまり、通常のインフレは(比較的ゆるやかな)指数関数的な物価上昇だが、ハイパーインフレでは超指数関数的になる、と。 *** そもそも、ハイパーインフレとは 国際会計基準の定めでは

      • 指数関数は「うなぎのぼり」

        今日、わたしんちの猫が、指数関数的に増えた。 というときの指数関数ってなんでしょう? 2の2乗は 2 ^ 2 = 4です。2の3乗なら 2 ^ 3 = 8ですね。 このように、ある定まった定数のナントカ乗で増えていく関数を「指数関数」とよびます。つまり、 x を変数とするときに、 …などが指数関数の例です(※通常は後者のことで、ただし e は後述する便利な定数)。2や e というのが「ある定まった定数」です。グラフを描けば、 のようになります。この図は y = 2 ^

        • そうだ、モデル化しよう。(2)

          片づけておくべきポイントがありました。前回「モデル化」について説明したとき、例として挙げた「犬猿の仲」。これが意図せず二項対立の例となっていました。けれど、構造のモデル化(≒図解)ということと、二項対立とは直接の関係はありません。今回はその点について補足します。 たとえば「三すくみ」。三者がけん制しあって、全体が膠着状態に陥っている様子を表す言葉です。これはすでにモデル化されているようなもので図解も容易です。ほら、二項対立ではありませんよね?(下図) 三権分立という概念も

        レバレッジものはレンジ相場で目減りする…って??

          そうだ、モデル化しよう。

          「モデル化」ってなんでしょうか? 実はあなたも日常ですでにやっています。 ――現実はとても複雑なものです。しかしたとえば、車や、家や、男、女、猫、犬…などの概念。それぞれ、個別の複雑で多様な存在たちをまとめたもの――つまり何らかの意味でモデル化したものです。当然それらの間には関係性もあることでしょう。 ね? 使ってますよね? それをあらゆる局面でやって、考えの手助けにするのが、実は「科学的思考」の精髄だとも言えるかもしれません(たとえば物理学=現象のモデルの集合体みたい

          量子力学っておいしいの?→ あなたの未来に関わります。

          今年の春、とある集まりで「量子コンピュータ」のさわりだけ解説する機会がありました(解説というか、自分で勉強したことを簡単に説明したと言うべきか)。そのとき仕方なく量子力学についても概略を説明したのです。それから半年以上たち、当時出席していた人に会ったら、こう言われました――「あれから私、量子力学が自分の生活にどう役立つのか考えてるんだけど…、わからない」。 うーん…。正直それに即答できませんでした。まぁ、トランジスタなどの半導体は量子力学を使っていると言えなくもないけれど、あ

          量子力学っておいしいの?→ あなたの未来に関わります。

          全国の森若さんにも きっと役立つ 消費税が混ざっているときの逆算方法 ――プログラマに学ぶべきこと

          「ねえねえ、消費税10%と8%が混ざった買い物で、合計額が5417円、消費税だけなら472円てそれぞれわかっているときに、この情報だけでは、10%対象の購入額と8%対象の額を、個々に出せないよね…?」 出せます! ていうか、式を立てたら、出せるとわかったので…。(←最初は自信なかった。)軽減税率にほんろうされる、全国の経理マン、経理ウーマンにもきっと役立つ! いまA=5417円、B=472円としましょう。すると次のような2つの式が立てられます: 1.10 x +

          全国の森若さんにも きっと役立つ 消費税が混ざっているときの逆算方法 ――プログラマに学ぶべきこと

          「アートは科学に勝てない」か?? ――科学系アートの目指すべき"知性と情動の融合"

          ★<正>の巻★ 雑誌『美術手手帖』2019年10月号の特集は、「アーティストのための宇宙論」でした。 ぼくも、宇宙アートや科学系のアートには興味があります。それらはおおむね、科学にうとい人が見てもその綺麗さや不思議さに惹きつけられ、科学に通じた人ならば「ああ、あの話をこう料理したわけね」「あの理論をこういう仮説に使ったか」と読み解く知的な楽しみがあるものです。 ★<反>の巻★ それに対して、磯部洋明さん(京都市立芸術大学准教授)という方が、科学者としてのバックグラウンドに

          「アートは科学に勝てない」か?? ――科学系アートの目指すべき"知性と情動の融合"

          知識の習得と、知識の創造と

          物知りであることに価値を見出す人――どうも年配者ほど多いようです。もちろん、かつては本が貴重品だったので、知識を得るのには多大な困難がありました。 しかし世は令和です。単純知識ならばネット検索で簡単に手に入る時代。したがって、知識を持っているだけなら、誇るほどの価値はないと言わざるをえない(それはそれで便利者だけども)。 すると次に登場するのは、調べたときの理解の速さを誇る人。うむ、それもよし――きっと「教養」を積んできた証でしょう。どんな未知のことでも簡単に咀嚼できる理解

          知識の習得と、知識の創造と

          RPAの夢を見た。

          けっこう、PCのルーチン作業ってありますか? 毎日だと、自動化したい気持ち強いですよね。僕もそうです。 今日は、本屋でRPAの本が並べられていたのを見たので、(それを買わずに)RPAについてざっと調べることにしました。ウェブの限界に挑戦…! * RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略[1]。主としてソフトウェア技術によりPC業務の自動化を図ること。ただしプログラミング主体ではなく、あらかじめ準

          情報がエントロピーを減らす?

          部屋が乱雑な人、手をあげて → どきぃぃ…! そのような部屋の乱雑さを称して「エントロピーが高い」部屋だと言ったりします。 いやいや、でも、あれはあそこだし、何とかはそこってわかってるから、ぜんっぜん大丈夫! ――というような一見ヘリクツも、じつはヘリクツじゃないかも、というのが今日のお話です。 なぜなら、「あれはあそこにある」という“情報”は、情報理論的に考えれば「負のエントロピー」を持っているはずだから。ということは、情報を持つあなた/わたしからすれば、乱雑にみえる

          情報がエントロピーを減らす?

          音楽と美術の感性には、発生学的な起源?

          音楽の好き嫌い、ありますか? たぶん、ほとんどの人にはあるのでは。そしてもし「この曲、どこがいいの??」などと言われたら、かなり絶望的な気分になりませんか。音楽の良さのポイントは(口で)説明しづらい! 一方、美術などの視覚的なアートの場合はどうでしょう? 好き嫌いは、たぶんある。けれども、「この絵のどこがいいのかわからない」と言われたら、「うーん、そうねぇ、まずはこの緻密な描き込みかな。強いエネルギーや精神力を感じて、すごいよね。あと何と言ってもやっぱりその根底にある、デ

          音楽と美術の感性には、発生学的な起源?

          「情報による不安定性」とは

          スマホを持っているかたも多いでしょうが、あなたのスマホは、どこのメーカーですか? とある女子高生が、スマホを持つときに「中古でもいいからiPhoneがいい」とねだった話を読みました [1]。その理由は「友達がみんなiPhoneだから」だそうです。 このエピソードは、ほかの人の動向を知る=情報を得ることによって、人々の行動が同じ向きにそろってくる例です。ある歴史学者はこの現象を「情報による社会の不安定性」と呼んだようですが、そのあたり、物理学の「イジング模型」というもので

          「情報による不安定性」とは

          情報化社会に生きている。(後編)

          昨日までは、情報化社会における産業について分類をして、その詳細を検討しました。その結果、すでに世の中には情報があふれているらしく、 (0)単に新しい情報を生み出すだけでは見向きもされない。そうでなく、 (1)個別のお客さんのニーズに応じた、情報の整理・加工などのカスタマイズ度の高いサービスでないと、マネタイズは難しいようだ。 (2)ただし、一つの案件にかかわる情報サプライヤと顧客の人数は、ある程度のひろがり(レバレッジ)があったほうが、よりマネタイズしやすいようだ。 という洞

          情報化社会に生きている。(後編)

          情報化社会に生きている。(中編)

          前回につづき、情報化社会における産業について考察します。ここでは、情報産業を、特定人(P)または不特定多数(M)どうしの間で、情報を“変換”して受け渡す機能(写像 f )としてとらえて、次の4タイプに分類します。 「P2P型」 f : P → P 、 「P2M型」 f : P → M 、 「M2P型」 f : M → P 、 「M2M型」 f : M → M 。 以下では、それらをさらに変換のあり/なしに細分するなどして、どういうサービスがあるか詳しく見ていきます。※なおこの

          情報化社会に生きている。(中編)

          情報化社会に生きている。(前編)

          さいきん、世は情報化社会、ということに遅ればせながら気づき… 情報はよい商いになるらしい…。というわけで、今日から情報化社会と情報産業について考察します。途中で、いちおう数学の「写像」や「関数」といった考えも使いました。 それはともかく、結果的に、「どうも世の中すでに情報過多に陥っているっぽい」という仮説ががが。 1. 情報化社会・情報産業とは まずはおさらい。情報化社会とは: 情報化社会 ――情報の生産、収集、伝達、処理を中心に発展し、物に代わって情報が付加価値を

          情報化社会に生きている。(前編)