言いたくない事なんて誰にでもあるじゃんって話

人はなにかしらの秘密があると思う。自分自身のことだったり、他の誰かのことだったり。
それを暴こうとする事は果たして良いことだろうか。ましてや容姿なんていうパーソナルなものに関しては秘密のままだって良い気がする。

なぜそんな事を考えているかというと、私の好きなアーティストが整形について問い詰められていたからだ。正直、私にとって整形していようがしていまいがどうだっていい事なのだが、そういうのに興味がある人だっているのだろう。私は自身の趣味が悪いことを自覚しているが、そういった好奇心から相手を傷つける事ができる人間の方がよほど悪趣味なんじゃないかとは思う。

そもそも美容院で髪を切る事だって、好きな服を着る事だって、整形だって、自分がなりたい姿になれるひとつの方法である事に変わりはないのに、それを隠したい人を捕まえてはねちっこく聞き出そうとする人間はいったい何なのだろう。赤の他人の私が許す許さないなんて事は言えないが、単純に不快でいて気持ちが悪い。
それに整形で得たその人自身の容姿を"偽り"だと表現する人間にも腹が立つ。こちらに至っては、そんな人間が存在しているのかという程に理解できない。そもそも、たとえ偽りであってもそれを悪のも如何なものか。

私の思うに世の中では素直さが良いことだと持ち上げられ、偽る…つまり嘘をつく事はあまり良い印象をもたれない。私自身もそう思うことはある。しかし素直である事は本当に良いのか。
嘘をつく事には色んな理由があると思う。その中でも焦点を当てようと思うのは"何かを守るための嘘"だ。後ろめたいと感じている事実を隠すことは一種の自己防衛だと私は考えている。それは自分のため、そして時には誰かのためのものだ。自分のために嘘をつくというのは、良くいえば自分を守る方法を知っているのだ。誰かのために嘘をつくのだって、その誰かを助けることができる良いやつだ。まあ要するに嘘つきという事実である一面だけでは、本当のことなんてなーんも分からんのである。それを嘘をつかれて被害を被った人間以外が責めるなんて以ての外だ。

別に真実に興味を持つことは悪ではないし、その真実も誰かのためになる事かもしれない。でもその上で、被害を被っていない安全圏の人間が倫理や正統さをもってして攻撃しようとするなんて事は気持ち悪い…と私は思う。

素直であること、というのだって時には誰かに迷惑をかけるものである。素直であるという事を盾になんでも言いたい放題の人間はいけ好かない。そんなのはただ相手を思いやれないだけだろうと。素直さは時に人を傷つけるのだから、そういう場では嘘つきのほうが良いのだろう。

つまりは素直だって嘘つきだって善にも悪にもなりうるのだ。そして、時には周囲から見て悪になろうとも自分や誰かを守るのに必要だったりするのだから簡単にそれが善か悪かなんて決められない。元々人間なんてものは自分のために生きるのが1番なのだから。まあそれは他の人間に極力迷惑をかけないというのが条件でもあるが。
難しい。人生。

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