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かくしもの


バラバラに微睡む身体
夢はどこからどこまでが本物なのか
曖昧なまま渡る境界
フェンスを越えたことだけ覚えている

森の中
静寂が耳を満たす
noiseとなって降り注ぐ
光と影が裾を翻し饗宴する
水辺に座礁した船
亡、と浮かぶ姿形に重なった印象
思わず追いかけて水面へ足を浸す
冷たさが温もりを奪っていき
手を伸ばすけれども
羽衣は既に持ち去られたあと
ひらり、ふわり、舞い踊る花びら
不意に翻って飛来する記憶
突き刺す感覚を伴いながら
次から次へと脳が啄まれていく
頭痛、眩暈、酩酊、
血流が脈打っているのを感じながら
鼓動に耳を澄ませば
草木は密かに息づいている
空気は微かに震えている
月は血を流している
瞳を真っ赤に見開きながら
唇は弧を描いている
夜空に瞬くたくさんの光を吹き消して
響く笑いは誰のもの
梢は呟いた加害者の隠れ家を
猟犬は放たれた遠吠えが辺りに木霊した
骨がコトリとそれに応えた

”手を染めても欲しいものは手に入りませんのに”

逃げ続ける
追い続ける
鍵はどこにも見当たらない
扉は閉ざされたまま
文字が身体中を駆け巡る
飛翔するimageの氾濫
休止をなくした音楽が回り続けている

白い部屋の中
囚われのお姫様ごっこしてた
あれはお城だったね
高すぎる塔だったね

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