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ポケット詩

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2019年5月の記事一覧

逡巡、箱の前で。

連鎖する。 そんなことは知っているのです、 病はうつるものなのです。 こんなにあなたが好き…

愛飲愛食、誰が為に

「どんな料理が良いと思いますか?」 君は包丁を持ちながら言った。 「君の好きなようにして…

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かくしもの

バラバラに微睡む身体 夢はどこからどこまでが本物なのか 曖昧なまま渡る境界 フェンスを越え…

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花は、あふれんばかりに咲き乱れて

掌に咲いた花を握り潰す。 「見えない」 「聞こえない」 言葉が、そこにあるのに。 (読み…

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H、ぼくはきみがすきらしい。

ふめんだい。 のうえにおくがくふ。 をぱらぱらとめくりめぐる。 おとのわのなかにとじこめら…

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白く欠けた世界にて

足りないの。 ねえ、言葉が。 足りないの。 ねえ、感情が。 足りないの。 ねえ、実感が。 …

まいごのこねこ

おまわりさんがいたよ。 わんわんほえたよ。 なにいってるかわからなかった。 どうしてそんなにきにするんだろう。 ねこがしんだからといって、いぬまでしぬわけじゃないのに。 はしのうえ。 はだしであるいた。 はだしではしった。 ら、いつのまにかおいつかれていたらしい。 じゃましないでほしいのに、ね。 くるくるおどる。 ことば、なんてむいみ。 (おちるだけだもの、てがみにすらならない) ぐるぐるまわる。 とけい、なんてむいみ。 (おなじことだもの、かわりばえもしない) とけ

箱の蓋を開けた女、箱の中にいた猫。

災厄が降ってきた きみの瞳は砕け散った 思い出せない面影 どこに消えたんだろう 吹き消した蝋…

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まっどてぃーぱーてぃー。

「あなたの美味さは苦味なんだと気付きました」 「今更だね。砂糖とかミルクもたまには欲しい…

美しい世界の片隅で

雨の中では、ビルの天辺は見えなかった。 (知らなかった――雨の日とは、こんなにも) 曇天…

違うけど似ている。似ているけど違う。

椅子の上から見える風景。 腕は背中に、雁字搦めにされて。 あなたの吐息が耳元にかかる。 冷…

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それが君の誕生日。

それは確か、シャープペンがゴミ箱の中から見つかった日。 クラス会議が開かれた。 こんなこ…

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好きになってはいけません。

好きになってはいけません。 だってそしたら、 傷つきますよ? 傷つけますよ? 好きになっては…

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