私の演劇大賞。【2022年振り返り】

2022年中に書くつもりが2023年になってしまった。

2022年も素敵な舞台作品とたくさん巡り合うことができました。
まだ油断のならないご時世の中。
悲しいかな、公演中止やキャスト変更の文字も見慣れてきてしまった気がします。
そんな中でも、劇場の灯を絶やさず作品を届けようとしてくれる数々のカンパニーに感謝!たくさんの楽しみをありがとうございます。

私の場合、推しごとの延長線として舞台観劇をしてるので、
年間観劇作品数はそこまで多くないのですが、
ここに私の演劇大賞2022を開催します!

批評をできるだけの知識を持ち合わせているわけではないので、
基準は私の心にどれだけ刺さったか!基準ガバガバだね!
こんな作品、カンパニーがあったんだ〜程度にお楽しみください。
同じ作品に心躍った人がいらっしゃったら全力で握手!


台詞の美しさに惹かれた
『GARNET OPERA』 

原作・脚本・演出 西田大輔
主演 越岡裕貴

2022年1月 東京・EX TEATER ROPPONG

西田大輔さん主宰「AND ENDLESS」にて上演されていた作品で、キャストを一新し再演されました。
お名前は存じ上げておりましたが、「AND ENDLESS」の作品は今まで観たことがなく、西田さんの手がける作品にも初めて触れました。
キャスト目当てで、しかも最推しでもなかったので1回は観にいっとくか〜のテンションだったのですが、観劇後すぐに2回目のチケットを押さえてる自分がいました。
舞台装置、衣装、照明、音楽、どれをとっても魅力的だったのもあるのですが、何より台詞の積み上げ方がすごくよかった!
ここぞ!という決めの台詞をちゃんと効かせる脚本と台詞の積み上げ方。
そしてその台詞の言葉選びも美しくて、気持ちいいぐらいに泣いた。
舞台が終わってからも、あの台詞たちを感じたくて戯曲本も購入するほどには魅了されました。
作中のキーアイテムとして「柘榴」が登場するのですが、それに込められた意味はなんだろうとか、信長の本意はなんだろうとか考え出せば考えるほど考察が止まらなくて、それも楽しいんですよね。
観劇した後もあーだこーだ考察する時間って最高じゃないですか?

一番好きだった台詞は、本能寺に向かう信長がお濃にいう
「お前のいない人生はつまらん。」

政略結婚で、この天下取りゲームが始まる時にもお前は外にいろとそっけない態度だった信長が命をかけた戦いに向かう時に「お前が妻でよかった。」っていうんです。シンプルだけどめちゃくちゃ刺さった。
「俺の大好きな国は『美しい濃』と書く。俺にとってこの国なお前そのものだ。」ってこれ以上ない愛じゃないですか、、、。
この作品に出てきた女性陣、みんな強くて美しくて。それも作品の魅力をあげていた気がします。
愛した人たちを戦に送り出す強さ、帰ってくるかもわからない人を待つ強さ。それぞれに物語がきちんと描かれていたのが良かったんだろうな。

脚本の面白さと俳優陣による台詞の応酬の巧みさ
『冬のライオン』

作:ジェームズ・ゴールドマン 翻訳:小田島雄志
演出:森新太郎
主演:佐々木蔵之介

2022年2月〜3月 東京・東京芸術劇場プレイハウス

前情報ゼロで行ったので、勝手に小難しい芝居を想像して身構えてたら新喜劇でした(違う

王位継承、領土争い、欲としがらみに塗れた王族たちの家族内騙し合いバトル。佐々木蔵之介さん演じるヘンリー2世と高畑淳子さん演じるエレノアの息ぴったりの貶し合いがなんとも子気味よく、思わず笑ってしまうほど容赦なく相手を貶すお二人のやり取りに始まってそうそういい意味で期待を裏切られ(笑)。
クスッと笑える台詞の応酬の中に、親子兄弟同士の権力をめぐる裏切り合いの緊張感が散りばめられていて。
脚本、演出、お芝居、、、総じて「良い芝居観たな!!」と満足感に浸れるお芝居でした。

個人的に推しのビジュアルがめちゃくちゃ好みでした。
タートルネック×メガネのガタイの良いインテリイケメンなんて優勝に決まってる!
いつも恋が報われないor死ぬ不憫な役どころになることが多い推し、
「今回はそんなことなさそう?」と思ったら、終盤で盛大に振られてました。

エンタメの楽しさを再確認した
『メリー・ポピンズ』

2022年3〜5月 東京・東急シアターオーブ

映画も観たことがなかったので、初めてこの時メリポピに触れたんですが、
めっっっっちゃ楽しかった!!!
ストーリーは子供向けファンタジーかと思いきや、メリーの子供たちに対する教えが結構辛辣だったりしておもしろい。
スパカリとかStep in timeで客席も一緒に拍手で盛り上がるあの感じとか、メリーが傘で飛んでいくあのシーンとか、純粋に心が躍って「ミュージカル楽しい!!」ってなれて最高でした。あんな楽しいシーン、嫌いな人いないでしょ!

これを観に行った時、ちょうど私の心がめちゃくちゃ疲れていた時だったのもあって、久々に「舞台に心が救われたな」と思ったんですよね。
私が大学卒業したのがちょうどコロナ禍の2020年でして。私の仕事場がGWがまさに繁忙期の仕事だったんですが、これまでは自粛期間で休みになっていたのでこの年初めてGWの繁忙を経験したのですが、まぁ忙しかった!!
終電に間に合わず職場近くのビジホに泊まることもあったりで、文字通り心がお亡くなりになりかけて、このままじゃやばい!とやっと明日休めるという日に仕事帰りの疲れ果てた電車の中でチケットをとってました(笑)
おかげで生き返って、元々やりたかった仕事への転職意欲が加速して無事転職成功したので、本当に感謝。舞台っていいね!!

楽しさ&観劇数No.1
『Only 1 NOT No.1』

作・総合演出:伊藤今人 振付・監修:梅棒
出演:ふぉ〜ゆ〜 梅棒

2022年7月 東京・シアタークリエ

個人的楽しさNo.1だった作品!
2020年に当初上演予定だったのですが、コロナで中止に。
梅棒作品をこれまで観たことはなかったのですが、
「ふぉ〜ゆ〜meet梅棒」という座組だけでワクワクしたし、ダンスのみのノンバーバル作品に挑戦してる推したちは絶対に観たかったから幻にならずに本当によかった。

それぞれが訳ありの売れないホスト「White  Knight」と全国各地のNo.1ホストからなる「Black Ship」による男のプライドをかけた熱いバトル。

初めて梅棒のステージを見て驚いたのは、1曲でこんなにストーリーを展開させられるのか とういうこと。
J-POPの楽曲に乗せてストーリーが展開されていくが、普通に曲を聴く3〜5分は短く感じるのに、その中でストーリーがどんどん進む。それでいて主軸となるキャラクターだけでなく脇にいるキャラクターたちのストーリーもそれぞれ描かれている。
なのにごちゃっとしてる感は全くなく、各キャラクターは立っているしストーリーも観やすくて、一気に梅棒作品のファンになりました。

ふぉ〜ゆ〜演じる「White Knight」のライバルとなる梅棒チーム「Black Ship」が圧倒的No.1として舞台上に存在してくれている上に乙女ゲームばりにキャラクターが作り込まれていて最高だった。推しホストは義務川様です。
最終決戦、ホストたちの男気シャンパン耐久レースとかめちゃくちゃ楽しかった。

公演期間中、怪我で休演のメンバーに代わり急遽出演することになった今人さん。愛知の大千穐楽では、体調不良で休演になってしまった綺咲愛里さんの代役で見事なNo.1キャバ嬢になっていて対応力がすごすぎました。

擬似ホスト通い体験をした夏、推しがホストじゃなくてよかったと実感した。いや、アイドルも似たようなものか、、、。

2022年No.1号泣作品
『今度は愛妻家』

作・中谷まゆみ 演出・板垣恭一
主演:戸塚祥太(A.B.C-Z)

2022年10月 東京・よみうり大手町ホール

マスクがびっしゃびしゃになるほど泣いた。
決して派手じゃなくそこら辺にある日常の中にある、透明で綺麗な愛。

戸塚さん演じる主人公・北見がとにかくダメ男なんだけど、
作品が進むにつれてちょっとずつさくらの存在に違和感が重なっていって、
実は彼女はこの世を去っていることが物語の中で明かされた時。
彼女を思う北見の愛の深さがとにかく辛かった。
私自身も数年前に父親を亡くしているので、あの時ああしとけばよかったなんて後悔はもちろん、まだどこかにいると信じたい気持ちだとか、忘れたら存在がなくなってしまうんじゃないかっていう気持ちがすごく刺さった。

渡辺徹さん演じるさくらのお父さんもすごくよかったんだよなぁ。
娘がいなくなった悲しみも、北見がまだ前に進めずにいるところも全て受け止める懐の深さが滲み出ていて。
北見とのやりとりの一つ一つに、引き込まれました。
亡くなった人は「どこかで幸せにやってるんだ」と思うって考え方、ちょっと心が救われたなあ。
北見が幻想のさくらに別れを告げるところもめちゃくちゃ泣いた。
北見の幻想であるさくらも、前に進んでいく北見をどこか寂しそうに見ていて、北見の「そうあってほしい」という願いかもしれないけれど、それがすごく切なかった。
登場人物みんな、家族や恋人思いなんだけどどこか不器用で

良いお芝居を観た後、自分は「面白かった!もう一度観たい!!」となる時と、「この感情を上書きしたくない!」と初見の感情を噛み締めたい時があるのですが、『今度は愛妻家』は後者のタイプ。
この記事を読んでくださったあなたは何回も見たくなるタイプですか?それとも1回の観劇体験を大事にしたいタイプ?


ここまで長くなりましたが、この5作が2022年私の心に刺さったベスト5。
この5作以外にもたくさん面白いお芝居をいっぱい観れました!
東山義久さんのエンジニアが観たくて高校生ぶりに観た「ミス・サイゴン」も圧倒されたし、加藤和樹さんのニールサイモン「裸足で散歩」も面白かった。初体験の梅棒も楽しかったし、新感線の「神州無頼街」も「薔薇サム2」も、あげたらキリがない。
2023年も素敵な観劇体験をいっぱいするぞ!!

そしてもっと文章をはやく書けるようにしよう、、、。

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