Canae

日本語教師です。 やさしい日本語で多読向け読み物を書きたいけど、どうやって? I�…

Canae

日本語教師です。 やさしい日本語で多読向け読み物を書きたいけど、どうやって? I'm a fan of TADOKU.

最近の記事

彼女が見た風景

学生時代の友達の訃報が届いた。 その瞬間、私の脳裏には彼女が見た風景が鮮明に溢れ出てきた。 道端に咲く小さな黄色いタンポポ。 コンクリートの隙間からスッと生えるレンゲ。 フェンスの向こうに広がる埃っぽい運動場。 生徒は誰一人いないのに、そこに人格を持って存在しているような。 新歓の花見の帰りに二人で見た街路樹の夜桜。 散る花びらは、彼女の目を通してキラキラと降ってくる。 同じものを見ているはずなのに、彼女を通すとより鮮やかに、物語を持って心に刺さってくるのは何故な

    • 部屋の住人(へやの じゅうにん)

      [ 多読よみもの  単語レベル: ★★ やさしい ] 暑くて雨が多いところは、にぎやかです。 草や木が多いです。花も咲きます。 花に虫が飛んできます。虫が葉を食べています。 鳥が飛んでいます。小さな動物が動いています。 カサカサ。カサカサ。 夜になると、電気の光に虫が集まってきます。 ブーン。ブーン。 暑くて雨が多いところは、いつでもどこでも、にぎやかです。 私が6ヶ月住んだインドネシアは、にぎやかなところでした。 私はコスという下宿に住んでいました。

      • しんちゃんとサトシ

        [多読よみもの  単語レベル: ★★ やさしい ] サトシは小学生です。 夏休みはいつも、おばあちゃんの家に行きます。 東京からおばあちゃんの家まで、何時間もかかります。 「おばあちゃん、こんにちはー」 「わあ、すっかり大きくなったね、しんちゃん!」 「しんちゃん?ぼくの名前はサトシだよ」 「あれ!サトシくん!ごめんごめん、間違えた」 おばあちゃんは、よく、サトシの名前を間違えます。 「しんちゃん、アイスたべる?」 「ぼくはサトシだよ」 「しんちゃん、ち

        • 危険な実

          [ 多読よみもの 単語レベル:★★やさしい ] 「まきびし」を知っていますか? これは忍者が使う道具です。 小さくてかたくて、とげがついています。 忍者は逃げる時などに、このまきびしを道にまきます。 追いかけてきた敵がこのまきびしの上を走ると、足に刺さります。とても痛いです。 走ることも、歩くこともできません。 怖い道具です。 私はこの怖い道具に、アメリカで出会いました。 2004年、私はアメリカのネブラスカ州にあるリンカーンという街で、新しい生活を始めました。リンカ

        彼女が見た風景

          ホワイトタイガーと写真をとる

          [多読よみもの  単語レベル: ★★ やさしい ] 1996年。 私はインドネシアのバンドンに住んでいました。  ある日、友達が遊びにきました。 「ひさしぶり!」 「ひさしぶり。元気だった?」 「バンドンに来てくれてありがとう。どこに行きたい?」 「ホワイトタイガーを見に行きたい!」 ホワイトタイガーは白いトラです。 めずらしいトラです。 バンドンの動物園に、ホワイトタイガーがいました。 このホワイトタイガーにさわることができました。 一緒に写真をとることもできました。

          ホワイトタイガーと写真をとる

          日本語で読む。楽しむ。

          日本語クラスの生徒さんにおもしろい読み物を紹介したい。 そうだ。多読クラブをつくろう。 そう思ったのが2020年。 オンラインで週一回の多読クラブをはじめ、今も続けています。 多読クラブで生徒さんとさまざまな読み物を楽しんでいるうちに、自分でも読み物が書きたくなりました。 でも、やさしい日本語でおもしろい読み物を書くって難しい。 ま、とりあえず、書き始めてみるか。 楽しく読んでくれる人がいるといいな。 読み物には、リーディングチュウ太で判定したレベル結果を表示するつも

          日本語で読む。楽しむ。