新しい仕組みを作る
福岡での店を閉めて、新しい土地に移り住んでやるときのキーワードとして、ずっと頭の中にある言葉。
『新しい仕組みを作る』
実はこれ、以前の店のアイデアを綴っていたスケッチブックにも同じようなことを描いていました。
既存のスタイルにとらわれない店・関係・空間。
それは、前の店でも自分なりに表現したつもりだったけれど、いかんせん、経済との両立が難しかった…。
そんなわたしの拙い表現の店に、無意識の中でも何かを感じて、共感するから来てくださっていたお客様たち。
でも、ちょいちょい言われる
「人に教えたくない店」というセリフ。
キツかったなぁ。
さみしかったなぁ。
でもこれも、わたしの中の反射でしかなくて。
ずっーと店をやっていたときに持っていたジレンマ、
「たくさんお客様に来て欲しいけど、たくさん来られると、自分の納得できるだけの空間と時間を提供できない。」
これがただ現実化しただけのこと。
まぁ、当たり前ですよね。
一人で仕込んで掃除して、ワインサービスして、料理作って、洗い物して。
でも、なんとか出来てしまうわたしは、たまにずるっとスライムのようになりながらも、なんとかこなしていました。
そこに喜びはあったのだろうか?
あったから続けられたのでしょうが、やはり何事も終わるべくして終わるんだなと、今となってはしごく納得しています。
一昨年にアルバイトとして入ってくれたSさんが、
「みちこさん、一日10名の来店客数を目指しましょう。」と言ってくれたことはとても嬉しかったし、一人で頑張らなくてもいいんだ、と初めて思えた出来事でした。
一人でやれることって、やっぱり限られてるんですよね。
それでも、一人でやった経験はとても貴重で、だからこそ、一人でもほんとに味方として、身内として一緒に働いてくれた彼にとても感謝しています。
彼にうちで働かないかと聞いたのも、ただの直感。
ある日、他のお客様と話していた彼の佇まいを見ていて、あ、働いてもらおう、とひらめいて。
それまで、人を雇うつもりもなく、そんな余裕もなく。
その一年少しの期間がなければ、もしかしたらもう少し早く店を閉めていて、こうして新しい土地で、次のことに想いを馳せる機会もなかったかもしれないなぁと思ったり。
そうそう、『新しい仕組みを作る』でした。
これが今わたしの中で、なんともまだはっきりしない感じでたゆたっています。
物事を決めるときに、これを忘れないようにと思うけれど、その新しいの前に、自分の中の古い思考ややり方が出てきそうになる。
だから、今のこの、何もやってないようで、何かしら進んでいるのかな?という時間が必要なのかもしれません。
自分の中を一度壊す作業が必要で、それってやはり怖さや守りに入りたくなったり、いや、それってわたしのエゴで、相手のことを考えてる?なんて声も聞こえてきたりして。
でも一昨日、山の神様をふっと見て浮かんだ言葉は
「手放しなさい。」
そうなんですよね。
シンプルにそれだけ。
こんな風にとっ散らかりながらも、なにかしら纏まっていくんだろうなという、楽観的なわたしの日常です。
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