【カンボジアニュース】アメリカ海軍艦艇がカンボジアに寄港か
共同通信によるとアメリカ海軍の艦船が16日にもシアヌークビル港に寄港する方向で調整していることが分りました。同港は中国の支援を受けて拡張工事が進むリアム海軍基地に近い場所に立地し、カンボジア最大の深海港です。日本政府による長年の支援によって現在も拡張が続けられています。
CNNなどによると、カンボジアは2017年にアメリカとの合同軍事演習を取り消し、2020年にはアメリカが支援したリアム基地内の施設解体も行っています。その後は中国の援助で拡張工事が進み、昨年12月には中国海軍の艦船2隻の寄港が確認されていました。アメリカ政府は基地が中国海軍の国外拠点となることを懸念しており、今回の寄港で中国を牽制する狙いがあるようです。
リアム基地には昨年から中国海軍の艦船が寄港を継続し、影響力を誇示しています。リアム基地への寄港は中国軍の艦船に限られており、日本やアメリカを含む各国は寄港を認められていません。
今年7月に日本の上川外務大臣がカンボジア訪問した際には、マネット首相との会談において、上川大臣から「安全保障分野においては、海上自衛隊のリアム基地寄港を含め協力していきたい」旨の言及がありました。これに対しマネット首相は「日カンボジア間の安全保障分野における協力の進展を歓迎しており上川大臣の発言に同意する、海上分野も重視している、この分野でも日本と協力・連携を強化していきたい」と述べたとのことです。
カンボジア政府関係者によると、米海軍による寄港は数年ぶりで、両国の防衛協力促進を図る目的だと説明しています。米国は当初、リアム基地への寄港を模索していた可能性があります。6月のオースティン米国防長官によるカンボジア訪問時には、カンボジア側は「リアム基地の工事が終われば、どの国でも寄港できる」と説明していました。
カンボジア政府当局者は欧米系メディアの取材などに対して、同基地が中国の海軍基地として使われることを再三否定しています。拡張工事などはカンボジア憲法に従ったものであり、領内での外国軍の基地設置は禁止されているとも主張しています。また、中国側は拡大工事についてカンボジア海軍の能力強化のための「援助事業」と形容しています。
なお、シアヌークビル港には、本日12月12日から3日間の予定で、チェ・ジョンス提督率いる韓国海軍ワン・ゴン (DDH-978)が寄港しています。
今後は日本などの艦船がリアム基地に寄港できるのか、カンボジア政府の動向が注目されます。