絵で食べていきたいゾ!と思ったので計画を立てた話

小さい頃の夢は「漫画家」だった。
りぼんも読んでたしなかよしも読んでた。友達と回し読みしてた。
特に種村有菜の「紳士同盟クロス」が好きだった。
絵が1番綺麗だったしキスシーンがすっごくドキドキしたから。
で、中学生で薄々気づいた。

「ほんのひと握り」しか漫画家にはなれない。

その頃「鋼の錬金術師」を読んだりして「少年漫画家」になりたいと夢の指針は変わっていた。
そうなると少女漫画より考えることが多いことに気づいた。
大抵は学校を舞台にした恋愛ものが多い少女漫画と比較して、少年漫画は世界観から作らなきゃならない場合が多い。
それに人物が大体特殊能力持ちだった。
平凡な人はほぼ居ない。ストーリーもむずかしい。
魅力的な敵キャラ、伏線、アクションシーンも書かなきゃいけない。

「あれ、こんなのできるっけ?」

少し焦った。ノートに見よう見まねで設定を作って最長20pくらい書いた。
でも私は1つも漫画を完成させられなかった。
どれだけ設定を練っても、かっこいいシーンを考えついても、オチが浮かばない。

「漫画家と認められるような最高のオチ」が思いつかなかった。

今なら「完成しない神漫画より完成したクソ漫画」の精神で何がなんでも仕上げるけど、当時は完璧を求めすぎて、納得出来ず、駄作を書き上げる度胸も無かった。
高校に入ると、「漫画家」じゃなくて「イラストレーター」も良いかな…と少し指針が変わった。
同時に、自分より若い小学生なんかが漫画賞を受賞するのをチラホラ見た。
ボカロが流行りだして、自分と同い年の人が100万再生もいくようなMVを作っていた。
高校生イラストコンテストで、年下の子が優勝していた。

「自分って才能ないんだな」

いつからか、「絵で生きること」は過去の夢になった。


焦げカスみたいにずっとへばりついていた夢への執着心が、時折「本当に諦めるの?」と問いかけてくることはあったけど。
自己肯定感がカスみたいに無かったのも起因して、「絵の仕事につく!」と決心することも、現実と戦う勇気もなかった。
何も夢がないまま高校三年生の進路選択で「どんな仕事に就きたい?」と言われても、就職するか専門学校に行くか大学に行くかすらギリギリまで私は決められなかった。
同時期に「銀の匙」の連載が始まって、主人公が「普通科から農業高校に来たってことは夢があるんだよね?何になりたいの?」と問われて「別に、何も……」と答えるシーンを見て、泣くような状態だった。

結局、教師に推薦されるがまま。絵とは関係ない大学へ行った。

大学は楽しかった。ボランティアのサークルに入って、全く違う環境で育った人と話すと、世界が広がってとても楽しかった。
でも、ボランティアのサークルが忙しすぎて、ほぼ4年間、絵を描くことすら無くなった。

気づいたら就活の時期だった。
また進路選択だった。自分の取り柄を考えた時「笑顔」しか浮かばなかったので営業職にしようと思った。いま思い返すと「ヤベ〜」と思えるけど、当時は本気でそう思った。
ぶっちゃけ元々どこか病んでいたんだろうなと思う。当時も薄々感じていたけど、どうしたらいいのかよくわからなかった。
そして接客業をすることになった。職場の人はだいたい良い人だった。働いた。
で、ある日、色んなことが重なって、急に限界が来た。涙が出まくって制服が着れなかった。仕事に行けなかった。泣きながら私は仕事を休んだ。そのまま心療内科に飛び込んだ。
そして仕事を辞めた。入社して2年半だった。

人生の夏休みは初めてだったので、おかげで色々ゆっくり見つめ直したり、歪んだ思考や価値観を治すことが出来た。
おかげで随分生きやすくなって。仕事辞めた当初は「人間として終わりだ」と思っていたけれど、1年も経つとけろっとしながら「次何しよっかな〜」とごろごろ寝ながら考えていた。
で、ふと思った。

絵の仕事がしたい
どんな仕事も結局私には地獄になんだから、ならせめて好きな仕事で地獄味わおう

あと病んで辞職した当初、食べられないわ眠れないわ夜中に救急搬送される騒ぎになるやら、もう色々精神的にも肉体的にも本当に死にそうだったので、「いつ死ぬかわからんし、好きなことして死のう…」と思うようになった。

というわけで、夢の焦げカスは大学生になっても成人になっても社会人になっても取れていなかったのだ。


で、絵を仕事にしよう!と思いたって色々計画や目標を建てたりした。自分の技術に何が足りないのかそもそもどうしたら仕事が貰えるのかとか分析したりした。

詳しくは書くのめんどいから書かないけど。
1つだけ、ええ〜と思ったことをここに書く。

何かを極めるには大体1万時間それに取り組まなければプロになれないらしい。

…みたいなことをどっかで聞いた記憶があったので、計算してみた。
今の私の生活だと大体バイトがない日は4時間くらい絵が描けると思う。
1日4時間書いて、1万時間に達するには……

2500日
約7年。

えぇ………………………。
その時わたしアラフォー……????
まあ今の今まで絵は沢山書いてはいるので、数年は短縮できるかもしれない。

でも、7年かあ……。
頑張るかあ……とわりと楽観的に思った。

でもこうやって夢を本気で目指せるようになって、毎日とても嬉しい。
以前は資料集を買う時ですら「イラストレーターになるわけでもないのに、こんな本買っても意味ないよな」なんて思っていたから。
堂々と好きなものを目指せて本当に幸せ。

勿論地獄を見ることも沢山あると思う。
でも、好きなものを目指すことすらできなかったのに、何も食べられなくなるほどの地獄を見たあの頃よりは、全然マシ。
だから、めちゃくちゃ楽しい。
あーーーーーー。絵、大好き。

みんなもいつ死ぬか分からないから、たくさん好きなことして死のうぜ〜!!

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