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今度もおんなじことしたら 取りに来させて

以前の勤め先の上司の指示が明確で、理由もわかりやすかった。
比較的大きな病院で従業員もかなり多く忙しいからだろうか、総務からの配布物に時々間違いや不足があった。
ある時、冊子が足りないことにその上司が気づいた。
私が取りに行きますと伝えると上司はこう言った。

「電話して、足りないことを伝えて。ほんで、今回は取りに行ってやって。で、もし次もおんなじことやったら今度は持って来させて。」
1回目は伝えるだけで覚えるのかを確認。
そしてもし2回目も同じことを繰り返したら、遠くまで持って行くという面倒な作業が発生することを体で覚えてもらうわけだ。
なるほど…。

日頃は厳しいことを言う人だが、部署の中でも一番情があって、患者さんに寄り添う発言も多い人だった。
判断も早く、相手がおかしい時はきちんと部下のことをかばってくれた。
トラブル発生時にはすぐに駆けつけてくれる人だった。

とうてい全部は真似できないが、私も1つだけ同じようにしている。
間違えても誰かにやってもらえると思って覚えない人には、必ず一緒にエラー処理を最後までしてもらっている。
面倒な作業をやって初めて覚えるという人は多い。

ところで例の上司は有給休暇が他の上司より多かったようで、仲の良い別の部署の長に
「また休むんかいな。」
と突っ込まれていた。
「俺が取らな、みんな取りにくいやろ!」
と本人は笑いとばしていた。

確かに。
みんな苦笑していたが、出勤してるだけの人よりずいぶん存在感があった。

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