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文章で笑って心で泣いて

 今から2年ほど前、母が脳梗塞で倒れ、死線をさまよっている日がちょうど締め切りでした。こんな状況でも、明るい笑い話を書かなければならないわけで…。

 しかし、読者はこちらの心の変化を的確に読み取ります。当時、週刊実話のホームページに僕らの小説が掲載されていたんですが、それを読んだ読者がネット上でコメントを寄せ、「奈倉スランプか?」「やる気がないならもう辞めてしまえ」と厳しい声が続いていました。

 文章とは不思議なものです。こちらの感情が、なぜかあんなに短い文なのに伝わってしまいます。やはり、読者に楽しんでもらうためには、心から楽しいと思って書くことが大事です。自分が笑いながら執筆していれば、読者も楽しいと思うのでしょう。画家や小説家、写真家や俳優が関わるすべての作品には、そのときの心理状態が色濃く反映するものだと感じました。

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