子供の英語教育放浪記

夫は英語の先生をしているけれど、私は平凡な英語力しかない主婦。
子供二人に幼少期から楽しく英語を学ばせたいと思う。
しかし、夫は難関大学の受験英語の専門家。
しかも、夫は自身が英会話教室に通ったり留学せずにネイティブと流暢に話すことができるくらいの英語力を独学で身に着けたタイプ。幼児英語に関して何も関心はないし、教えるつもりもない。

そこで、色々な英語教材や英語教室に通わせたのだが。
幼児期から中学生までの英語教育漂流記の記録。
学校の先生のお子さんってきっと親が教えてくれるんでしょ?
とか思う方も多いです。
ピアノもそうですが、他人に習ったほうが教えるほうも習う方も緊張感があって適度な距離がある。
だから他人に習うんです、お金を払ってでも。

子供が通った英語教室や教材についてお話します。

(英語教材の購入)

 英語の教材を購入することを検討した。A社は20万円くらいすると聞き、B社も10万円くらいすると聞いた。高いな。
 私は、毎日子供が教育テレビの英語の番組を観ていたので、その教材を2種類購入。合計5万円くらいだっただろうか。
 実は、下の娘は物心つく前から、なぜか英語の歌を歌うのが好きで、アルファベットの曲、1,2,3の曲を英語で歌っていた。
 CDやDVDで聞かせていたからかもしれないし、歌が好きだっただけなのかもしれない。

 それでも、1歳半検診の頃に不安になると英語の歌を歌う娘を見て、英語が好きなのだと思った私。
 毎日英語のDVDを見たいと言い、その中でもネイティブの男性を気に入っている様子。
 これは外国人と結婚してしまうのではないか?
 母の妄想は膨らむばかりだ。

 息子は娘の2歳上だが、日本語自体覚えるのが遅く、英語の歌など聞かせたり、テレビでは観ていたものの、そんなに英語好きには見えなかった。

 そこで、DVDやCD、絵本、音が鳴るタッチペン、英語のおもちゃ、キャラクターぬいぐるみなどがセットになったものを購入。
 しかし、クリスマス割引で購入したものの、タッチペンは投げつけられて故障したり、どこか行方不明になりやすく、隠しておくという事態に。
 レジャーシートのマットはCDを聞いて遊ぶものだったが、それも一度も使わず。
 絵本やぬいぐるみは、子供の手垢で汚れてしまい、ぬいぐるみは捨てることになる。
 結局、一番使ったのはDVDで、壊れても交換制度があったり、良心的な内容だったと思う。

 それから、有名通信教育の月何千円かの毎月来る教材も使ったが、娘の反応は良く、日本語のように英語を使おうとしていた。
 しかし、かなり同じ文章を何回も言うだけなので、あれだけのために毎月何千円というのは高いかもしれないと思う。
 テキストや付録もあったので、充実した内容だった。
 しかし、大きくなると何度も見るものでもないのでもったいない。
 そして、キャラクターが変わると今の子供は知らないこともあり、おさがりも喜ばれないかもしれない。

 その他、英語絵本やCDは通販で購入したり、子供用英語辞典やタッチペンつきのものなどもネットで購入していた。
 絵本は破られやすく、小さい時は汚されるので要注意だが、破られないように分厚い紙質のものもあるので、そのほうが長持ちするだろう。

(英語教室Aへ行く)

 息子が年長、娘が年少になった時、ちょうど幼稚園児クラスとして一緒にできるので、夏休みに英語教室を探してみた。
 やはり幼少期は耳が大事だというのでネイティブのいる教室を探す。
 A教室は日本人とネイティブ講師が二人でレッスンをしてくれるということで、さっそく見学に。
 ネイティブだけだと意思疎通できないが、日本人講師がいると安心感もあり、そこに決めた。
 地元の教室で、全国チェーンではないが、内容は工夫されていて、発表会、クリスマス会などのイベントも多い。
 幼稚園児には、工作や作った野菜を切って食べたりするようなレッスンは刺激があっていいと思った。
 発表会や地元の祭りに参加するなどの行事も多く、高学年は英検を全員受けていて、学年が上がるとレベルは高そうだった。
 個人経営なので丁寧に教えてくれるし、英語絵本を貸してくれて、音読するとシールがもらえてオモチャと交換など、子供にうれしい内容だった。
 ここには2年半くらい通ったが、落とし穴があった。

 小学生になった息子と娘は別な日時になり、送迎が大変になる。駐車場がなく、不便だ。
 ママ友もできやすい雰囲気だが、教育熱心な人が多く、刺激はある。

 ネイティブの男性講師に娘が年長の時にハグされ「アイラブユー」と言われた。
 娘はテレビのネイティブは好きだったが、幼稚園に入るころにはネイティブは怖いと思うようになっていた。
 スキンヘッドの中年外国人男性にハグされてから、怖がって行きたくないと言い出した。
 その後、聞いた話だが、やはりその男性ネイティブ講師が怖いということで辞めた女の子がいた。
 もしかしたら距離感が取れない講師なのかもしれないし、日本人の女子が大好きな男性なのかもしれない。

 息子は小学二年で勉強熱心になっていたが、負けず嫌いでその教室のチャンピオン制度が嫌だと言い始めた。
 毎回クラスの中でチャンピオンを決めるのだが、その基準はあいまいで先生が適当に? 色々な子がチャンピオンになれるように回しているようだ。
 毎回一番になれないと悔しがる息子は辞めたいと言い出した。

 結局2年半でこの教室を辞めることに。
 入る時は夫は見学に来たが、あまり幼児教育に関心はないので、辞めることに口出しはなかった。
 しかし、私の父が次を探せと急かす。

(B英語保育園 英語教室へ行く)

 実家の父が早くネイティブのいる教室を探せといってくる。父は文法ではない英会話のできる子供になってほしいと思っていたようだ。
 夫よりもずっと熱心に英語について考えていたようだ。そこで、実家近くのネイティブがいる英語保育園の小学生クラスに行くことに。
 問い合わせると、現在小学生で通っているのは2,3名で卒業生ではない子供もいるらしい。
 卒業生の子供たちは夏休みや土曜日などにあずかってもらっており、その子たちは英語がペラペラだ。
 小さな子供たちがネイティブや日本人でも英語が流暢な先生と散歩しながら英語を話している場面をみた私の両親が一押しの保育園だった。
 楽しく英語が学べる。まさにそれは理想的な英語教育だ。生活の中で言葉を学び話すことができる。

 しかし、うちの子供たちが通うのは日本人講師が教える個別指導のような部屋で、最初は1人小学生がいたのだけれど、その子が辞めるとうちの子供2人だけの教室となった。教員免許のある海外生活のある年配女性が講師で優しいのだが、カリキュラムがしっかりしたものがなく、言われた通販で買える教材を買って、2年半程度習ってみる。

 しかし、ここにも落とし穴が。週1回程度ではほとんど身につかない上に、ネイティブと接する機会はほぼない。
 保育園の延長なので、カードゲームの遊びもあり、ほとんど勉強的な文法や書く力はついていない。
 夏休みの預かりに半日ほどお金をかけて預けてみた。
 しかし、小学生はほとんどが卒業生で、学級崩壊状態。
 保育園の先生は優しいので怒らない。すると、日本語で悪口を言い放題、いじめほうだいになってしまい、子供たちは体調が悪くなった。
 それでも私の父は行けばいいと言い、1年目の夏は15回くらい通ったかもしれない。
 子供たちにとっては、楽しい思い出ではなく、辛い思い出しかなかったらしい。
 荒れた子供たちのいじめ。
 ネイティブの先生がいても話しかけることはできず、いつもお世話になっている先生がいない日は絶対に行きたくないと言い出した。
 結果、英語会話力は全く身につかず、文法も身につかなかった。

 次の夏も数回トライしたが、子供たちが嫌がり、週1回のレッスンのみ通った。
 しかし、5年生と3年生になった子供たちにはもう少し文法や濃い内容のレッスンが必要となる時期だった。
 いつまでも中1の内容が終わらない。何年かけても終わらない。
 文章の最初は、アルファベットの大文字で書く。ピリオドを打つ、そんな文法すらいまだにわからない状態に見かねた夫が、他の英語教室を勧めた。

 結局その保育園は今はなくなってしまい、いずれ辞めることとなっていたのだろうが、そのとき辞める決断をしてよかったと思った。
 今でも夏の預かりは悪夢だそうだ。

(ネイティブが経営している個人英語教室C)

 夫がチラシで見かけていいと思ったスクールがあった。ネイティブの若い女性が経営しているスクールだ。
 夫自身英会話教室に通ったこともないが、大人向けにドリンクを飲みながら英会話を楽しむ夜の企画から、幼児向けイベントなど楽しそうなことが書いてある。これは絶対にいいと英語教師が言うのだから、私は従った。

 しかし、ここで落とし穴がある。この教室は全部英語で話さなければいけないので、欠席の連絡や受付など保護者も英語オンリーを強要される。
 雑談も英語オンリーなので、ママ友同士が日本語でしゃべるということはありえない。
 英語絵本を借りたりもできるようだったが、英語でやりとりできない子供や私には敷居が高かった。

 しかも、主催している女性講師は帰国子女以外のレッスンは受け持っておらず、教室拡大で忙しいようだった。
 受付は日本人の英語のできる人で、入会時の説明だけ別室で日本語だった。
 それ以外は英語でと言われると、一般的な母親で英語がそんなに得意じゃない人には苦痛に感じてしまう。
 子供も同じで、何も話せない状態で文法もわかっていない子供にも苦痛のようだった。

 結局ネイティブクラスではなく唯一日本語OKな英検5級クラスに入会。
 しかし小学生低学年から高学年を1つのクラスに集めているためレベルが違う。
 低学年には厳しい内容となっていた。当時息子5年生、娘3年生で、娘は文法がわからないまま苦痛な時間を味わう。

 子供の話によると、若い女性の先生は何度も変わってしまう。(学生なのかもしれない)
 レッスン中になぜか本棚が倒れ、先生がケガをして、急遽別な人が代わりにレッスンしたということもあった。
 その後、来月から英検クラスはなくなるという連絡が突然来て、我が家は退会することに。
 個人経営なので、そういうこともあるのかもしれないが、もっと前に伝えるべきだと思った。

 あのままネイティブの会話クラスに入っても何も身につかないだろうと思ったのだ。
 もちろん家での勉強などがなければ難しいが、当時過去形未来形現在進行形を学んでいなかったので、どこのスクールに行っても何年英語を習っても初級クラスを勧められる状態。

 子供は英語でアニメを観ることが大嫌いで、テレビで英語をみせることは難しくなってきていた。

 英語教室難民になった私は、その足で全国チェーンの大手子供英会話スクールに向かう。

(大手子供英会話スクールDへ)

 大手子供英会話スクールへ直接足を運ぶ。受付の日本人女性が丁寧に対応してくれて、説明してくれた。
 大人の英語教室としても全国に名が知れている教室だ。
 教材費は年度初めに1年分購入するので数万円はかかるが、息子は6年生になるので文法クラスに入会。
 文法クラスはCDなどがないため年間で数千円の教材費だった。
 娘は4年生なので日本人英会話クラスへ。ネイティブも体験はしたけれど、日本人の女性講師がいいらしい。
 あんなに幼少期はDVDで外国人男性が好きだったのに……。

 二人は同じ曜日の違うクラスなので、2時間待つ時間ができるが、なんとか1年子供と私は通うことに。
 結果、ここが一番いいと子供に言われる。
 最初A教室に通う時に実はこのD教室と迷っていたのだが、結局Dがよかったのね。

 6年生になって文法を中二途中くらいまで先取りして、息子は毎回の小テストで単語をだいぶ覚えた。
 このおかげで中学1年生ではかなり高得点を取ることができた。息子曰く何十万男百万価値のある教室だったということだ。
 息子は中学に入る際に辞めてしまったので、先取りのためはなくなってしまった。
 中1のときは塾に通い、数学と英語を習っていたが、今は辞めた。
 現在は部活のみ頑張っている状態。習っていて損はなかったのかな。

 娘は4,5年と会話クラス、現在は文法クラスに通っている。
 発音は幼少期に比べたら悪くなったように思う。発音すらしてくれないのでもうわからないのが実情だ。
 英語は嫌いだけれど、今後のために習っている。そんな感じだ。
 あんなに英語の歌に合わせて踊っていたのに、人は変わるのね。
 要領がいいので、彼女はうまくやっていけるだろう。

 今思い返すと、子供たちの感想からは教室C,Dに関しては無意味だった。と言われる。
 最初の教室Aは息子曰く悪くはなかった。割と知識が入ってよかったそうだ。
 
 色々なお母さんと子供のレッスンを見ながら世間話したのも教室Aだった。
 その他の教室ではあまり交流する機会もなく、ママ友達のような存在はできなかった。

 さて、娘も今年で英語を辞めるかもしれない。最近、幼児期の英語のCDなどは中古で売った。
 私の育児が正しかったかどうかも今となってはわからないし、わかるのはだいぶ後になってからなのかもしれない。

 思春期は、なかなか英語の歌なんて聞こうとしないし、難しい時期でもある。

(通信教育やその他の話)

 私の知り合いの中学の英語の先生の子供さんは漫画が好きで、英語の漫画を買ってもらったと言っていた。
 しかし、英語を好きになったという話は聞かない。

 海外赴任から帰ってきた息子の友達はスカイプを使って学んだりしているそうだ。
 一時期はネイティブの教室に行っていたらしいが、他の習い事や中学生になって時間がなくなったらしい。

 学び方は人それぞれで、子供の好みも違う。親の考え方も違うので何が正しいということはないのだろう。
 うちの実家の父は音楽(ピアノ)を熱心に息子に勧めたが、結局、7年以上習って楽譜がほとんど読めない。
 幼児期はピアノを弾くと全身がかゆくなる症状が出た。それでもやらせたが、耳を鍛えたはずが、全く音感はつかなかった。
 ドレミを聞き分けるとか、聞いた曲を耳コピーは難しいようだ。ちなみに私は幼少期の音楽教室のおかげなのか? 音感がある。

 幼児期に耳を鍛えるというのは英語でも音楽でも必要かもしれないが、ある程度才能やセンス、好き嫌いがあるので、必ずしも音感が身に着くとかヒアリング力がつくわけではない。親子でも違う。

 幼少期、歌で学ぶ勉強系CDを聞かせていたのだが、大きくなると不評だ。恥ずかしい、やめてほしいということで、今は聞くこともなくなった。子供たちは好き嫌いを選ぶ年齢になってくる。だから、親が口出し出来た勉強のことも中学生くらいになると本人に任せるしかない。

 通信教育は幼稚園の頃から楽しくやっていたが、息子は5年生になる時に、大手通信教育から別の通信教育へ変えた。基礎を充実させる教材を選んだ。
 おもちゃなど付録がいらないということもあり、値段が上がったのもある。そして、実力テストがないほうがいいということで、別なテキスト会社にした。娘も4年になるころには息子と同じ会社のテキストにした。

 しかし、いつのまにかテキストがたまってしまい、現在は辞めてしまった。
 息子も中二になるときに忙しすぎるということで通信教育はしていない。
 今のほうが習い事も通信教育も必要なのかもしれないけれど、と思うが、学校の勉強や部活で精いっぱいならば、仕方がない。
 結果、幼児期のほうがたくさん習い事も通信教育もこなしていた。

 どう成長するかはわからないが、勉強ができすぎる夫にはわからない話もあり、塾を勧めてこない。
 自分が英才教育や塾にあまり縁がなかった人だから子供に勧めてこないのだ。
 結局私のさじ加減なのだが、子供が塾に行きたくないならば、今は無理強いしないでおこうと思う。

 

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