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【書評】 社会の変え方 日本の政治をあきらめていたすべての人へ

社会の変え方
日本の政治をあきらめていたすべての人へ

政治をあきらめるな!子どもの未来を変える「冷たい社会への復讐」


本書は、元明石市長の泉房穂氏による、日本社会の現状への痛烈な批判と、その変革への道筋を示した渾身の一冊です。

著者の泉氏は、障害を持つ弟の誕生をきっかけに、幼少期から社会の不条理さに強い問題意識を抱いてきました。

その原体験が、後の政治家としての活動の原動力となっていきます。

本書は、著者の生い立ちから始まり、東大卒業後のNHK入局、弁護士への転身、そして国会議員を経て明石市長に至るまでの波乱万丈の人生を描きつつ、その過程で著者が抱いた社会への疑問や怒り、そしてそれを変えようとする強い意志が生々しく描かれています。

特に印象的なのは、著者が弁護士になるために六法全書を開いた際の衝撃的な経験です。

「誰や!こんな冷たい条文を書いたのは!赤ペンで直したろか!」という著者の憤りは、読者の心に強く響きます。

社会的弱者への配慮に欠ける法律の存在が、著者の政治家への道を決定づけたことがよくわかります。

明石市長としての著者の取り組みは、まさに「子どもを核としたまちづくり」の実践でした。

駅前再開発ビルに図書館や子育て支援施設を設置するなど、市民のニーズに寄り添った政策を次々と実行。

その結果、人口減少に歯止めがかかり、財政も好転するという驚くべき成果を上げています。

著者は、「子どもよりも産業復興を」「まずは企業を支援して景気を上げろ」という従来の発想を覆し、「人」を中心に据えた政策の重要性を説きます。

子どもを本気で応援すれば、市民の側から経済は回り始める。この主張は、従来の経済至上主義的な政策への強烈なアンチテーゼとなっています。

また、本書では障害者や高齢者、マイノリティに対する全国初の施策についても詳しく解説されています。

例えば、全国初となる手話言語・障害者コミュニケーション条例や障害者配慮条例の施行など、社会の側が障害者に配慮するための具体的な取り組みが紹介されています。

著者は、これらの施策を進める際に当事者の声を重視することの重要性を強調します。

「私たちのことを、私たち抜きに決めないで」という障害者の方々の声に耳を傾け、彼らと共にまちづくりを進めていく姿勢は、今後の行政のあり方に大きな示唆を与えるものです。

本書の後半では、私たち一人一人が政治を変える力を持っていることが力強く語られます。

SNSでの発信や、直接行政に意見を送ることの重要性が説かれ、読者に行動を促します。

著者は「政治をあきらめることは、自分自身の未来をあきらめるようなものだ」と述べ、読者に政治への積極的な関与を呼びかけています。


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本書を読んだ感想として

本書を読んで最も強く感じたのは、著者の泉房穂氏の強烈な使命感と情熱です。

「自分が寝ている間にも、苦しんでいる市民がいると思うと寝ていられない。だから、寝るのは死んでからでいい」という言葉に、著者の政治家としての覚悟が表れています。

著者の人生の歩みを追うことで、なぜ彼がそこまで社会変革に情熱を注ぐのかがよく理解できました。

障害を持つ弟の誕生、当時の「優生保護法」の存在、小学校での差別的な対応など、著者の原体験が生々しく描かれており、読者の心に強く訴えかけてきます。

特に印象的だったのは、著者が弁護士になるために六法全書を開いた際の経験です。社会的弱者への配慮に欠ける法律の存在に憤りを覚えた著者の姿に、私も強く共感しました。

法律というものが、必ずしも正義や公平さを体現していないという事実は、多くの読者にとって新鮮な発見になるのではないでしょうか。

明石市長としての著者の取り組みは、まさに「理想の政治家」の姿を体現しているように感じました。

「子どもを核としたまちづくり」という明確なビジョンを持ち、それを具体的な政策として実現していく過程は、非常に説得力があります。

特に、従来の「経済至上主義」的な発想を覆し、「人」を中心に据えた政策の重要性を説く著者の主張には、大きな共感を覚えました。

また、障害者や高齢者、マイノリティに対する全国初の施策についての解説も非常に興味深かったです。

社会の側が障害者に配慮するという発想の転換は、今後の日本社会のあり方を考える上で大きな示唆を与えてくれます。

本書の後半で著者が読者に呼びかける「政治をあきらめるな」というメッセージは、非常に力強く心に響きました。

政治は遠い存在ではなく、私たち一人一人の生活に直結しているという当たり前の事実を、改めて認識させられます。

SNSでの発信や直接行政に意見を送るなど、具体的な行動の提案も含まれており、読者が実際に行動を起こすきっかけになるのではないでしょうか。

本書は、単なる政治家の自伝や政策提言の書ではありません。著者の人生経験と政治家としての実績が有機的に結びつき、読者に「社会を変える力は自分たちにもある」という希望を与えてくれる一冊です。

政治や社会問題に関心のある人はもちろん、「政治なんて関係ない」と思っている人こそ、ぜひ読んでいただきたいと思います。

この本を読んで、私たち一人一人が「冷たい社会」を変える力を持っていることを再認識しました。

著者の泉房穂氏のように、強い使命感と情熱を持って行動することの重要性を痛感します。

政治をあきらめず、自分たちの手で社会を変えていく。そんな勇気と希望を与えてくれる素晴らしい一冊だと思います。

本書を特におススメしたい人

  1. 政治や社会問題に関心があるが、具体的な行動の仕方がわからない人

  2. 「政治は遠い存在」と感じている若者

  3. 地方自治や地域活性化に興味がある人

  4. 子育て世代の親や教育関係者

  5. 障害者福祉や社会的弱者支援に関心がある人

  6. 行政や政治の仕事に携わっている人、または目指している人

  7. 社会起業家や NPO 関係者

  8. 「社会を変えたい」という思いを持っている全ての人


本書とあわせて読みたいおススメの書籍

  1. 『未来の年表 - 人口減少日本でこれから起きること』 河合雅司 著

  2. 『子どもの貧困 - 日本の不公平を考える』 阿部彩 著

  3. 『地方創生大全』 木下斉 著

  4. 『社会を変えるには』 小熊英二 著

  5. 『希望の資本論 ― 私たちは資本主義の限界にどう向き合うか 』池上 彰 著, 佐藤 優 著


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本書のまとめ

本書「冷たい社会への復讐」は、元明石市長の泉房穂氏が、自身の原体験から政治家としての活動、そして明石市での具体的な施策までを包括的に描いた渾身の一冊です。

著者は、障害を持つ弟の誕生をきっかけに社会の不条理さに気づき、それを変えるために政治家の道を選びました。

明石市長として、「子どもを核としたまちづくり」を実践し、人口減少に歯止めをかけ、財政を好転させるなど、驚くべき成果を上げています。

著者は、従来の経済至上主義的な政策を批判し、「人」を中心に据えた政策の重要性を説きます。

また、障害者やマイノリティに対する先進的な施策についても詳しく解説しています。

本書の核心は、私たち一人一人が政治を変える力を持っているという主張です。

著者は「政治をあきらめることは、自分自身の未来をあきらめるようなものだ」と述べ、読者に政治への積極的な関与を呼びかけています。

本書は、社会変革への強い意志と具体的な方法論を示した、希望に満ちた一冊といえるでしょう。

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