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コールセンターと創造的破壊

創造的破壊とはなにか 

Wikipediaを見ると「ヨーゼフ・シュンペーターによって提唱された経済学用語の一つであり、経済発展というのは新たな効率的な方法が生み出されれば、それと同時に古い非効率的な方法は駆逐されていくという、その一連の新陳代謝を指す。」と書いてある。

要するに、新しいテクノジーやプロセスのイノベーションが起こると、それが一気に広がって、古い方法は忘れ去られるということだ。

スマホもPCもなかったオフィス

古い話になるし、信じられないという方も多くいると思うが、自分が社会人になったときには、スマホはおろか、PCだって1人1台の体制ではなかった。ダム端(ダム端末)といわれるホストコンピューターの操作端末がつながっていて、文字列だけの画面を操作していた。そして、顧客とのコミュニケーションとか、社員同士のコミュニケーションにはメールもチャットもラインもなかった。だから、直接あって話すか、電話で話すか、郵便やファックスを使うかくらいしかない。こんな時代には、仲間とコラボレーションしながら仕事を進めるのは難しいからどうしても、職場は上意下達でトップダウン、中間管理職の仕事もまあ意味があった。

そのころどのように仕事を進めていたのか、まったく想像することができない。やがて、ダム端はネットワークにつながったウィンドウズPCとなり、ロータスノーツというメールと知識共有のためのソフト、それからMicrosoftのエクセルやワード、パワーポイントといったオフィス系のソフトが全社員一人1台設置されるようになった。信じられないことであるが、最初は部長だけにそうしたソフトが入っていたが、1年くらいかけて全員に支給されるようになった。

メール以前とメール以後

メールで仕事ができるようになってから、仕事のやり方は今日のやり方に近くなった。というよりその前、メールもなしにFAQもなしにどのように仕事をすすめていたのか、仕事ができたのかまったく思い出せないのだ。このように、テクノロジーのイノベーションにより、それ以前のやり方が一新し、前のことが完全に過去になるというか忘れ去られるのが、創造的破壊だと考えている。もちろん、偉い学者の先生にはいろんな説明があるのだろうが。

今、私が最も使っているソフトが、SLACKとマイクロソフトのTEAMSだ。どちらも現在もっとも活用されているアプリケーションだ。プロジェクト毎に社内外のメンバーとチームを組み、テーマ毎にスレッドを立てて、自由にチャットディスカッションができる。必要ならば音声もしくはテレビ会議もする。そのすべてがテーマ毎のスレッドに蓄積されているので、議事録を後から作成し、関係者にTOとCCを使い分けて送付するとかそういうことも必要ない。必要な書類はプロジェクト毎に閲覧・編集権限をコントロールしてアップロードすることもできる。私は昨年起業してから、定常的なオフィスを持たず、毎朝定時に出勤するということもなく、必要に応じて常に仲間とコラボレーションをして仕事をこなしている。必要な時はオンラインの会議を行うが、基本は非同期通信であるチャットが基本なので、自分自身のクリエイティブな活動が邪魔されることも少ない。

音声のコミュニケーションも変わる

音声でのコミュニケーションも昔は電話しかなかった。だから電話番号が何といっても重要だった。今、仕事での音声コミュニケーションに関しては、電話ももちろんあるが使う機会は本当に減った。あとはプライベートおよび親しい仲間とのライン通話、仕事とプライベート中間くらいのFacebookメッセンジャー通話、主に外部との電話会議でつかうスカイプ、それからプロジェクトベースのSlackとTEAMSを使い分けている。しかもどんどんPCよりスマホの比重が大きくなっている。

コールセンターの仕事が変わる

コールセンターのオペレーターだって、昔と同じではない。音声によるコミュニケーションという部分では、やはり重要なメディアではあるだろうが、忙しいお客様にとって、同期通信である電話で繋がらないとか、いつまでも待たされるくらいなら、チャットで非同期のほうが気楽ということもあるだろうし、音声で通話していて、サポートページのURLをその場でチャット送信してみてもらうことだってあるだろう。その媒体だって、電話とチャットと使い分けつつ、顧客対応していくということが日常になる。その時は、電話番号で会社にアクセスするのではなくて、その会社の専用アプリやWEBサイトからスマホで情報をみたり、必要に応じて通話とチャットを組み合わせながらすすめるというのが一般的になるはずだ。

そうしたら、「いつも大変お世話になっております。」とか「〇〇社の澤田でございます。」とかこれまで重要な挨拶やマナーといわれてきたものも様変わりするはずだ。おそらくはもっとお客様が会社にアプローチしてきた理由や問題の解決を迅速に行う、ということが最重要視されるようになるだろう。古い顧客サービスのあり方が忘れ去られる瞬間がくると真剣に考えている。

もっというと、人工知能AIとかRPA(自動化技術)とオペレーターのコラボレーションができている会社と、サービスのイノベーションができない会社の差がものすごいことになる。AIや自動化のメニューで事足りる場合はそれでよいし、人間のオペレーターがAIや自動化されたシステムの支援を受けながら、効果的に顧客対応をする、しかも音声やチャットを組み合わせて、というケースも増えていくはずだ。

後戻りはできない

理解しておかなければならないことは、一度サービスのイノベーションを体験したら、顧客はそれが当たり前になる。それが提供できない会社は、サービスの対価を受け取ることもできず、淘汰されていくことだろう。今の時代、目を見開いてその変化を先取りすることができるオペレーターなら、この時代を生き残るだけでなく、切り開いていくことができるはずだ。

まとめ

● 創造的破壊とは、以前の仕事のやり方を思い出せないほどの変化だ。

● オペレーターの仕事も創造的破壊をさけることはできない。

● 仕事がなくなるのではない、仕事が全く変わるのだ。その波に乗ろう。


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