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レアル・マドリーに負けたことを悔しがるアタランタの成長

 今回はチャンピオンズリーグ・ラウンド16のレアル・マドリー対アタランタについてとなります。筆者はイタリアサッカー専門のニュースサイトを運営していますので、もちろんアタランタ目線です。お付き合いいただければ幸いです。

チャンスを逃したアタランタ

 まずは試合内容をざっくりと。

 ホームでのファーストレグは前半に退場者を出したアタランタ。0-1でダメージを最小限に抑えたことで、セカンドレグに望みをつなぎました。

 しかし、アウェーでのセカンドレグは33分、痛恨のミスが出てしまいます。GKマルコ・スポルティエッロがバックパスのフィードで相手に渡してしまい、そこから失点。大事な大事な先制点を最悪の形でプレゼントしてしまいます。

 立ち上がりは良かったアタランタですが、前半を終えて2試合合計0-2。最低でも2点が必要な後半は、頭からFWドゥバン・サパタを投入して巻き返しを図ります。

 しかし、ヴィニシウスの個人技についていけなかったアタランタは、58分にPKを献上。これをセルヒオ・ラモスに決められて万事休すといった流れでした。

当然の敗退、でも悔しさ

 2年連続の決勝トーナメント進出とはいえ、イタリアの外から見れば、チャンピオンズリーグ新参者のアタランタがレアル・マドリーに勝てないのは当然といったところでしょう。

 でも、ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督が試合後に「ほろ苦い気持ちが残る。もっとできたはず」と語ったように、普段のアタランタを知る側からすると、不完全燃焼という気持ちが強いはずです。

 疑問視されているのは、メンバー選び。GKはファーストレグで起用されたピエルルイジ・ゴッリーニではなく、スポルティエッロを起用しています。

 ガスペリーニ監督は以前から、2人の併用を明言しており、実際に起用時間はほとんど差がありません。今回はそれがハマりませんでした。

 ただ、これは起こり得ることとして、まだ納得できるところですが、サパタのベンチスタートは多くの疑問符が付いているところです。

 実際、試合後のガスペリーニ監督に対するインタビューでは、「やり直せるとしたらメンバーをかえるか」という質問が真っ先に出ました。「絶対にそうだ」とアタランタ指揮官は回答していますが、そう言うほかないというのも事実です。

 サパタはコンディションに問題があったためベンチスタートとしたとのことでしたが、延長戦も視野に入れるなら、なおさらルイス・ムリエルを途中から出すべきという意見が出るのは必然です。ムリエルが悪かったわけでもサパタが良かったわけではないにせよ、ムリエルのスーパーサブっぷりは、セリエAファンならよく知るところ。今季リーグ戦で16得点を挙げている同選手は、先発11試合・途中出場14試合で、この数字です。

 メンバー選考もそうですが、何よりも本来のサッカーが見せられなかったことが、アタランタにとっては何より悔いが残ります。

 ベストを出せたとして、勝てる相手だったかは正直厳しいところでしょう。ただ、ガスペリーニ監督は試合後、「いつもどおり自分たちを表現できなかった。パスはチームの言語。それを間違えたら、うまく話せなくなってしまう」と語っていました。ベストを尽くした上での敗戦は胸を張れるし収穫も大きいものですが、(イタリア的には)ナゾの退場判定でファーストレグを落とし、ミスでセカンドレグは自滅ということで、やはり「ほろ苦い気持ち」となるのです。

不完全燃焼も、未来への糧に

 ただ、アタランタという世界的な知名度の低いクラブが、2年連続でチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進んだことは快挙。「チーム、コーチ陣、クラブにとって素晴らしい経験になった。グループステージでアヤックスに勝ち、リヴァプールともやりあった。だから満足すべきだ」とガスペリーニ監督は述べ、レアル・マドリー戦について失望しながらも、欧州での挑戦には手応えを感じている様子です。

 これからアタランタは、セリエAでは来シーズンのチャンピオンズリーグ出場権を争う立場。この経験をいかすためにも、まずは出場権が得られる4位以内を確保したいところです。

まとめ

 アタランタは確かにレアル・マドリーに負けたことを悔しがっています。少し前まで雲の上の存在だった世界の名門を前にしても、悔しいと思えるだけでも成長ではないでしょうか。

 チャンピオンズリーグでしかアタランタを見ないという方は、ぜひセリエAでのアタランタを観てもらいたい。「パスは言語」。ガスペリーニ監督がいわんとしていることがきっと伝わります。

 あのアントニオ・カッサーノも「優勝するのはインテルだろうけど、カルチョをしているのはアタランタだけだ」と、アタランタの攻撃的なスタイルに魅了されているほどです。(3/10投稿カッサーノの好みと自己主張)

 弊サイト・カルチョイズムでも取り上げていきますので、ぜひ遊びにきてください!

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