「足」

【あたくし的国語辞典 73 】
年限を重ねて重みを増す言葉…「足」
意味:1㋐動物の、胴体から分かれ、からだを支えたり歩行に使ったりする部分。㋑くるぶしから先の部分。
   2 物の下・末にあたる部分。㋐物の本体を支える、突き出た部分。また、地面に接する部分。㋑(脚)漢字を構成する部分で、上下の組み合わせからなる漢字の下側の部分。㋒数学で、ある一点から直線または平面に垂線をおろしたときの、その直線・平面と垂線との交点。㋓船の、水につかる部分。
   3㋐歩くこと。走ること。また、その能力。㋑雨・雲・風などの動くようすを足に見立てていう語。
   4 行くこと。また、来ること。
…全部載せるといいかげん長すぎるので以後省略します。この辞書の続きが読みたい方はgoo辞書へどうぞ (http://dictionary.goo.ne.jp/jn/3635/meaning/m0u/)

「現場に足を運びなさい。行かなければ絶対に分からないものがあるから。
可能な限り何度も足を運んで、そこにしかないものを掴みなさい」
編集長にこう教えていただいたのは、もうどれくらい前のことになるのでしょうか。
「原稿は足で書け」
その昔在籍していた編集部で繰り返し言われた言葉を、最近 折に触れて思い出すようになりました。
というのも、このご時世、インターネットを使えばいくらでも情報を集められるわけで。案件によっては、スケジュールや予算の関係から資料をもとに書くことも珍しくありません。
だけど、殊、人の思いという部分に関しては、やっぱり現場に行って直接ご本人と話をしないと分からいないもの。
言葉の上澄みだけを掬って相手を理解したつもりになってはいけないと、いつも自分に言い聞かせています。

数年前、某企業の社内報に携わらせていただいた時もそう。
各地にある事業所を取材するため、毎月のように飛行機で西へ東へ。
時には「今回、校了まで時間ないから北海道日帰りで!」みたいなこともあって。
とんぼ返りの切なさを込めて「ジンギスカン、札幌ラーメン、海鮮丼……」なんて五七五を人知れず詠んでみたりみなかったり。
体力的にもなかなか厳しいお仕事でしたが、でもやっぱり足を運んで直にお話を聞くと、経営者には経営者の、社員には社員の、パートさんにはパートさんの、人の数だけ思いがあって、そして、その人にしか紡げない言葉があります。日々の生活の喜怒哀楽の中で培われた言葉は、決して第三者の私が生み出せるものではなくて。言葉の奥にこもる思いをたぐりよせようと、
その場の空気を感じながら、一言として聞き漏らすまいとひたすらノートにペンを走らせました。

こうして一つひとつ取材を経験するたび、ますます編集長の言葉の重みが増すようで。
「仕込んでいただいてたんだなぁ…」なんて思い出していた折、ちょうどお声掛けいただいたのが、来年開設される建築模型士さんのホームページのお仕事です。
小さなパーツを組みたて、平面を立体にする模型の世界。
全く馴染みのない分野だけに、ご無理を言って事前に作業現場を見せていただき、後日改めて取材させていただくことにしました。
手間と時間を考えると 決してスマートなやり方とは言えないのだけど、
でもやっぱり私は、できるだけ足を運びその場の空気とか熱量とか時間の流れとか…そういった目に見えないものを体に馴染ませ、
相手の言葉の背景を掴まないとだめなタイプのようで。
「原稿は足で書け」
懐かしい編集長の言葉が、改めて書くことへの姿勢を教えてくれたような気がしました。

誰に似たのか、子どもの頃からとかく方向音痴で (←たぶん修子)
あちこち取材に行くライターとしては 致命的な欠点を持つあたくしですが、、、
今年も編集部の皆様とGoogle先生にご教示いただき各地を取材させていただくことができました。
来年も日本語の通じるところならどこへでも。
土地ところに足を運び、そこに在る生活を、人の思いを、言葉と行間に認めしなやかに伝える仕事をしたいと思います。
ということで、こちら↓↓が その建築模型士さんのfacebookページ。いいね!とかしてくださったら嬉しい…いえ、嬉しすぎます。
https://m.facebook.com/Crafts-878540742259699/

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