「ユーキャン新語・流行語大賞」

【あたくし的国語辞典 77 】
筋肉三昧の日々を思い出させてくれた言葉…「ユーキャン新語・流行語大賞」

意味:1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を毎年顕彰するもの。  (ユーキャン新語・流行語大賞サイトより引用)

早いもので、もう12月も半ば。
日に日に年末感が増してきました。
あちこちで忘年会が開かれ、あたしの周りでもDA PUMPの「USA」を披露される先輩方がちらほら。
「バカい(バカ+若い)なぁ」なんて感心する今日この頃です。

また先日は恒例の「ユーキャン新語・流行語大賞」が
発表され、いよいよ一年を総括する時期がきたことを痛感しました。
聞けば、平昌五輪・カーリング女子の「そだねー」が年間大賞に輝き、「おっさんずラブ」「スーパーボランティア」がトップ10入りしたそう。
一つひとつの言葉を見るだけで、この一年の出来事が鮮明に思い出されます。

さて、そのノミネート語の中に
「筋肉は裏切らない」
という言葉があったことをご存知でしょうか?
これは、NHKのテレビ番組『みんなで筋肉体操』で、
指導役の谷本道哉先生がおっしゃった名ゼリフ。
パンッパンに膨れ上がった上腕二頭筋によって、漫画のキャラクターのようにムッキムキの先生に言われると、もう納得せざるをえません。
私も初めてお会いした時は、「この人が言うなら間違いない。絶対に筋肉は裏切らない!」と確信したものです。

と言いますのも、
実はこの夏、宝島社から出版された谷本先生の著書
『すごい筋肉貯金 “ながら筋トレ”で死ぬまで歩ける筋肉を貯める方法』
の制作をお手伝いさせていただきました。
たしか初めてお会いしたのは7月初旬の打ち合わせ。
五月蠅いくらいにセミが鳴きわめく、暑い暑い日でした。

今回、私が担当させていただいたのはライティングではなく編集業務です。
ここ数年、企画、編集~取材、ライティングと誌面作りをまるごと請け負うことが増え、企業の広報誌ではそれなりに経験を積んできたつもりでしたが、、、この時は、初めて経験する単行本、多数の著書を持つ有名な先生、非常にタイトなスケジュール……。
ただでも夏バテで立ち眩みがたえない体に、
追い打ちをかけるようにいろんなプレッシャーがのしかかり、もう息をすることすら苦しくて。
当初は、先生の爽やかな笑顔を眩しそうに眺めるのがやっとでした。

そもそも、私がなぜ軟弱な体にムチ打ち過呼吸寸前の状態で頑張っているかというと、
亡きフォーエバーフレンド・古ちゃんを介して
お声がけいただいたお仕事だからです。※
未熟な自分には荷が重すぎると分かりつつ、
古ちゃんのことを思い出すと何としても成し遂げたくて、「どんなに苦労してもいい、どんなに無理してもいい、とにかくさせていただこう」と決めました。
(※フォーエバーフレンド・古ちゃんに関しては、あたくし的国語辞典76をご参照ください)

正直、先生との打ち合わせが終わっても不安は消えませんでした。
資料収集にはじまり、台割の作成、誌面レイアウト、イラストの発注、そして校正につぐ校正……。
自分が担う役割が明確になればなるほど、
ますます呼吸が浅くなっていくような気がしました。

だけどそんな時、先生が制作チームに向けメールをくださいました。
「みんなで、世の中の役に立つ本を作りましょう」
私は、この言葉を読んだ時、
頭のてっぺんから足のかかとに向けて脊椎のあたりを
スコーンと射抜かれたような気がしました。
普段、クライアントさんのため、読者のためと努力してきたつもりですが、いざとなると「絶対に失敗できない」というプレッシャーに飲みこまれ、自分の心配で頭がいっぱいになっていたのかもしれません。
不安の原因は、目的を見失い「自分」に固執する心の弱さにあったのだと思います。

その後 制作が始まると、毎日が怒涛のように過ぎて「一日が24時間じゃ足りない」と思うことばかりでした。
事務所で徹夜し、朝焼けとともに家路につき、
仮眠をとって再び10:00頃出社する日もありました。
寝不足続きで体はしんどかったけど、
でも、先生の言葉がずっと心にあって、
何か自分の中に小さな灯火が灯っているような、
たしかな熱量を持ち続けることができました。

最近 聞いたカリスマ教師・原田隆史先生のお話によると、
「人は『誰かのために』と思うと心が強くなる」そうです。
あの時の私は、もしかするとそういうことだったのかもしれません。
世の中の役に立つ本を、
古ちゃんに喜んでもらえる仕事を……
そんなことを考えながら、毎日がむしゃらに突っ走っていました。誰かのためにと思うことで、私自身 救われていたのだと思います。

振り返ると、一年間いろんなことがあったけど、
この単行本に携わらせていただいたことは、
私にとって、自分が世の中のためにできることは何か、
「誰かのために」と尽力することが、結果的に「誰のために」なっているのか、「世の中の役に立つ」という言葉の奥深さを噛みしめる大切な出来事でした。
そのことに気づかせてくださった谷本先生には改めてお礼申し上げたいです。

それと、こんな機会を与えてくれた古ちゃんにも
本当に感謝しています。
できることなら、この話を直接報告したいところだけど。。。
「ありがとう」と「やったよ!」と、
それから「来年もまた頑張るからね」と。
たぶん古ちゃんは、鶴瓶そっくりの細い目をさらに細めて、
「竹やん、えぇや~ん!」って、
笑ってくれるんじゃないかなと思います。

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