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「旅感」をもとめて パート1

先日、関西空港から飛行機で北海道に行った。
3か月前にも訪れた喜茂別という町にある廃校の宿に4泊5日で滞在するためである。

小4からキャッチボールや野球遊びを楽しんできた宿の長男君もいまや中学3年生。

来年には遠くの高校で寮生活を送ることが濃厚らしく、そうなれば私は誰と野球で真剣勝負を楽しめばいいのか。
彼が遠くに行く前にと、6月に訪問したばかりの宿へふたたび向かった次第である。
もっとも、すでに入学が決まっているというわけではないらしいが。

ところで私は、「旅」とは自家用車と公共交通機関(船は例外とする)をあまり使わないものだという、どうでもいいこだわりを持っている。
しかし今回は飛行機である。いくら仕事が少ない私といえど、時間を節約しなければならないこともあるのだ。

空港から宿までは、道路で最短距離を行けば約70㎞。
しかし公共交通機関を使うと、電車とバスを乗り継いてぐるっと円を描きながら遠回りすることになる。
時間もかかるしお金もかかる。

そこで私は、お金も節約しつつ旅も楽しめるエキサイティングな方法を計画していた。
考えたのは、自転車屋さんで安い中古自転車を買って5日後の帰りの飛行機に乗る日にまた売りにくる。あるいは4泊5日での貸し出しを自転車屋さんに直接交渉するというものである。
空港から近い千歳市ではレンタサイクルを扱っているが、当日利用のみなのでこれは使えないのだ。

空港から宿までの距離は70㎞ほどとはいえ、途中にとんでもないアップダウンの峠がいくつか待ち構えている。
自転車で日本一周をした時にも何度も訪れていた宿なので、4回はその峠を越えてはいるが、自転車旅に足が慣れている状態であってもなかなか厳しい峠であった。

そのような峠に運動不足のカラダとママチャリで挑もうというのだから当然、ファンタスティックな「旅感」を感じないわけがない。
飛行機が到着するのは午前11時過ぎなので、自転車屋を探して交渉を終えれば出発は早くても昼過ぎだろう。

日没も早まりを感じる秋の今日この頃なので、明るいうちに到着するのはまず無理だ。
それでも私は、「旅感」を追い求めた。

そして新千歳空港に飛行機が到着した。
私は自転車屋さんで独自交渉を行うべく、歩いて自転車屋を探しはじめた。

つづく


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