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そしてジャガイモ餅へ その1

私が後にジャガイモ餅へと作り替える20kgものジャガイモを購入したことには、"バナ" という人物が関係している。

私は2月17日から3人の知人達と北海道に行っていた。
行き先は、年に2回は訪れないと気が済まなくなってきた「雪月花廊」という廃校を利用したゲストハウスである。

レンタカー代を割り勘して費用を抑えるべく、「真冬の北海道で薪ストーブを楽しむ会」なるものを企画したところ、幸いにも同行者が現れたのだ。

その中の一人が、通称 "バナ" という人物なのであるが、知り合ったのは北海道で、4年半前の9月のことだった。

当時私は自転車旅行をしていた。
ある夜、とあるライダーハウス(旅人のための安宿で、一泊あたり無料〜数百円で利用できる所が多い)で壁に背をもたせかけて寝袋に足をつっこんでいた。
すると、一人の若い女性がやってきた。

5〜6人くらいは泊まっていただろう男性陣はにわかに色めきたった。
一部屋しかない小屋作りのライダーハウスの中に、ハタチそこそこの女性がやってくるのである。
もうこれはかわいいとかかわいくないとか、美人であるとかないとか、自分のタイプであるとかないとかに関係なく心がザワつくのは仕方のない事として許してほしいところだ。

入室してきたバナという人物は身長150センチないくらいのちんちくりんで、原付バイクで旅をしていた。
テントも持たず寝袋だけで野宿する事も多いというから、なんと怖いもの知らずというか、「若さやなぁ〜」というのが印象的であった。

そのバナが畳の上で寝床を作って荷物整理をしていた時に、赤くて細長い円筒形のスプレーボトルを持って、「壊れちゃったな〜」的な事をつぶやいていたので私はカッコつけて、「なんだスプレーが壊れたのかい?」と京都っぽくハンナリと声をかけてやった。

「ファブリーズのボトルが壊れちゃって、、、」というバナに、「どれ、オニイサンに見せてごらん。」と紳士的に言う。
(当時の私は26歳だった。)

スプレーボトルを受け取った私は、"山科のコナン君" と言われるほどの洞察力で、スカスカになって機能しなくなった噴射するノブ部分の構造を観察した。

そして、一瞬で噴射パーツの構造を理解し、分解し、さらに再構築して鮮やかにスプレーボトルを復活させた事により、後に "山科のエドワード・エルリック" とも言われる事となる。

そのような異名はともかく、それ以来私を尊敬してやまなくなったのがバナという人物である。

いかんいかん、イモ餅どころかジャガイモに到達する前に文字を使いすぎた。
続きはまた後日。

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