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津軽塗り×京漆器の対談でわかったこと 後編

前回、「京漆器には具体的な定義が無くて、聞かれた時に困る」という事を書いた。

一方、対談相手となる石岡さんが携わっている津軽漆器は、「研ぎ出し変わり塗り」という技法を用いて表現する斑点模様が特徴的である。

※「研ぎ出し変わり塗り」とは、(主に)色違いの漆を何層にも塗り重ねてから研ぐ事で模様を表出させる技法。

青森県弘前市で製造されている津軽塗りは、唐塗 (からぬり) ・七々子塗 (ななこぬり) ・紋紗塗 (もんしゃぬり) ・ 錦塗 (にしきぬり) の4つが有名である。

それらが「研ぎ出し変わり塗り」のバリエーションなのである。

唐塗りや七々子塗は一度見たら覚えてしまうようなインパクトがある。

そして前回ご紹介した、具体的な定義が無くて説明に困る京漆器である。

しかし、それはそれで良い一面があるという事が対談によって見えてきた。

津軽漆器を製造している石岡さんによると、津軽塗りは説明には困らないが、あまりにも様式が確立しているがゆえに装い新たな津軽漆器を作って認められるのが非常に難しいのだそうだ。

言われてみれば納得である。
その点、京漆器の定義といえば「京都で作られた漆器」という曖昧なものだ。

しかし、新しい様式を作りにくいという津軽漆器の説明を聞いた後では、その曖昧さが懐の深さに感じられるから不思議である。

「伝統と革新の町」と言われる京都であり、京漆器の定義が曖昧であるからこそ、気兼ねなく新しい取り組みが出来る。

この事に関しては石岡さんも羨ましいとおっしゃっていた。

定義が曖昧すぎて今まで説明に困っていたけど、いいじゃないか京漆器!!


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若手職人の絶望日記

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京都で漆と木工の仕事をしている脱サラ職人。父は職人歴50年のガンコ者。絶望的な経済状況の中でおもしろおかしく生きていこうとする、希望にあふれた職人の生きざまをご覧あれ。僕はアウトドア漆器ブランド「erakko」を立上げ活動しています。https://erakko.jp/