
続・いらんことしぃ
兄がいらんことしぃであることは前回ご紹介した通りである。
そして、数々の愚行の中でも将来に禍根を残すような事件が発生した。
「畑の一角をウッドデッキのキャンプ場にしたい」と兄は言った。
私は農作物を作る予定はなかったので好きにしてくれてもいい。
しかしだ。
畑の土が粘土質で水溜りが発生するのが気に入らないので掘り返すと、兄が言い出した。
その一画は5m×5mほどの面積で周囲より10センチほど高くなっており、キレイな台地になっている。
たしかに水捌けが悪い粘土質の土ではあるが、少し高くなっているため、雨水が下に流れていく。
よって、水溜りが出来るのは台地の周囲であって、上は問題ないのである。
平らにならされた台地を掘り返すなどもったいない。
しかも、掘り返したからといって粘土質が改善するわけでもない。
そして私が仕事で小屋にいないとある金曜日、兄が有給休暇を利用してキャンプ場作りをするというので嫌な予感がした。
ここはケンカにならないよう、理性的に諭すのがよかろう。
LINEで丁寧に、なぜ掘り返さない方がよいか、どうしたら最低限の手間でウッドデッキが作れるかを書き記して送ってやった。
まぁ要するに、草刈りして、防草シート張って、ブロック敷いて、余ってる木製パレットを置いた方が手っ取り早いという事である。
その金曜日、丁寧な文章による説得も虚しく、美しかった台地は無残にもガタガタに掘り返された。
太くて強力な雑草の根っこが大量にあらわになった。
その後、雨が降った。
全体に水溜りができ、ぬちゃぬちゃにぬかるんでしまった。
そして、兄はようやく自分の過ちに気がついた。
そしてあっさりと「キャンプ場作るのやめる」とあきらめた。
兄よ、忍耐力が無さすぎるぞ。
そして、掘り返した所を修復しようとする気配もない。
兄よ、好きにするのはいいが、自分の行いに責任を持て。
もう元には戻らんのだぞ。
この愚行には、仏の顔も三度と待たず歪むに違いない。
私の顔は一度で歪んだ。
さすがの私もしばらくショックを隠しきれなかったが、これを機に畑の一画を素敵なガーデンにする事にした。
つづく