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通りすがりのカズキ君

先週の日曜、東京からカズキ君が遊びに来て一緒にお昼ご飯を食べた。
5年半ぶりの再会であった。

彼と知り合ったのは6年前の6月。
夕方頃に北海道の夕張を走っていると、前方から自分と同じように自転車に荷物を付けて走ってくる男性がいた。

ママチャリに乗っているその人は服もガラモノであり、そこはなかとなくチャラさが漂っていた。

私は泊まる予定のキャンプ場があったので軽く会釈して通り過ぎようとしたら、その人は通りすがりざまにキュッとブレーキをかけてこちらに向き直って停まった。

それにつられて私もキュッとブレーキをかけて自転車を停めて振り返ってしまった。

「あ、どうも」みたいな感じになってそのままの姿勢で立ち話をすると、彼は同い年の25歳(当時)であり、同じように会社を辞めて自転車で日本一周をしているとのことだった。

対向車線から走ってきた私に対して彼は、
「この先に野宿できそうな所はありましたか?」
と聞く。

「2〜3キロ走ったとこにある道の駅のそばで野宿できそうでしたよ。」
と答える。

「じゃあ引き返してそこで一緒に野宿しましょう。」
と言われたが、先述のとおり私はキャンプをしようと思っていたので断る。

いま思えば、その直前に買っていたメロンをキャンプ場で独り占めにしたかったのかもしれない。

その後、「一緒に野宿しましょうよ。」、「しませんよ。」の押し問答が繰り広げられた末、あまりのしつこさに私が折れてしまった。

あきらめてさっき通ってきた道の駅まで引き返し、一緒にメロンを食べたり銭湯に行ったり晩ご飯を食べているうちに、チャラそうだと思っていたカズキ君と私は、なんだか似ている部分が多い人だということがわかって気づけば意気投合していた。

そんな彼に私は、
「もしも、付き合った女性が元A◯女優だったとしたら君はどうする?どうする!?」
と問うたらしい。

先日カズキ君に会ってその話をされた私は、「なんだそのオモシロイ話は?」となった。

言われてやっと思い出したが、ドラマ「北の国から」にそういう設定があったのだ。

それで、自分の事でもないのに私は苦悩して、初対面のカズキ君にも質問をぶつけてみたという事であった。

カズキ君がなんと答えたかは覚えていないが、その夜も私は結論に至らず、翌朝に「再会した時までには答えを出す。」と約束を交わしてお互いの方向へと走り出したのであった。

それから数ヶ月後、私は旅を終えており、カズキ君が自転車で関西にやってきた。

例の問いに対して私はにべもなく、「やっぱ無理やろ」と言っていたらしい。

いま考えても悩むこともなく無理だと答える。
一人旅というのは青春の悩みを増幅させてしまうものなのかもしれない。


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京都で漆と木工の仕事をしている脱サラ職人。父は職人歴50年のガンコ者。絶望的な経済状況の中でおもしろおかしく生きていこうとする、希望にあふれた職人の生きざまをご覧あれ。僕はアウトドア漆器ブランド「erakko」を立上げ活動しています。https://erakko.jp/

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