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連作短編 メタフィジカ・ワンダー

連作短編 メタフィジカ・ワンダー

『マグマのマ・魔導の魔』

 その灰色の石を覗くと、中で炎が煌めいているのが見えた。炎と言うよりマグマにも似る。薄明るく煌めいて眠るように闇になり、また目覚めるように閃き出す。 

 私がその炎が閉じ込められた石を買ったのは、ある天気のいい昼下がりのことだった。
 表は気持ちのいい陽気だというのに、その店は黴臭く湿っていた。照明が点いていても薄暗い。陰気な店には陰気な物しか無いものだが、その店は陰

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起きている螺旋、或いは眠る螺旋

起きている螺旋、或いは眠る螺旋

起きている螺旋、或いは眠る螺旋

 宇宙の中に、渦巻く螺旋があるでしょう。そこの真ん中からももちろん、生まれおちるものはあるのだけれど、寧ろポイントは螺旋が螺旋なるときに起こる摩擦で、そのエネルギーから生命は発生する。回転が始まり、その回転は周囲に介在するものを手当たり次第に巻き込んで大きくなり、徐々に力を増していく。そうして廻っている間に、ぶつかり合ってこすれて、ぽろぽろと生命を発生させる。って

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追いつかない女

 英美里は足が速い。

 特に陸上競技をやっていたわけでもない。そういった選手と較べれば当然負けるのだが、その無気力な見た目よりもずっと速い。とても追いつけない。気づけば距離を離されている。

 シーツの中に身体が沈んでは浮き上がる。息をついては吸う。終わりが近いようで遠い。このままでいたいような、早く解放されたいような。もういい、と思いながらももう、ずっとこの緩やかな退屈さの中にいたい、ような。

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連作短編 メタフィジカ・ワンダー

 『マグマのマ・魔導の魔』

 その灰色の石を覗くと、中で炎が煌めいているのが見えた。炎と言うよりマグマにも似る。薄明るく煌めいて眠るように闇になり、また目覚めるように閃き出す。 
 私がその炎が閉じ込められた石を買ったのは、ある天気のいい昼下がりのことだった。
 表は気持ちのいい陽気だというのに、その店は黴臭く湿っていた。照明が点いていても薄暗い。陰気な店には陰気な物しか無いものだが、その店は陰

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