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個人の判断

2023年3月13日にマスク着用の必要性についての基準が「個人の判断が基本」となったことについて、では自分はどう判断するのかと考えました。

いざ「自由」と言われてしまうと、どのように受け取ればよいのか?自分で判断したところで、それは勘違いだと言われてしまわないだろうか?と思うと、色々確認をしたくなってきます。

ともかく、「脅威は去った」ということが事実でない限り「個人の判断」を基準にするという方針は理屈があわないわけで、それでは困ります。

そもそも脅威とはなんだったのか。
私の場合は以下の2つでした。
1.  とにかく「人が集まるということがいけない」という、まるで戦時中の集会禁止の御触れが出ているような異常な状況。
2.  どうすれば人が集まることが出来るのか。そうして集まった人たちが罪悪感を持たずに一緒に音楽を聴くにはどうすればいいのかを考えなければいけない、劇場にとって責任重大な状況。

その結果「集まっても一言も話さない」という、ものすごく極端な会場設定をして、2020年の6月から音楽会を少しずつ再開しました。
その場でコンサートが出来て音楽が聴けるなら、話さないというのはそれほどつらいことではないに違いないと自分にもお客さんたちにも言い聞かせていた、あの時はいかに極限の状態だったかと思います。

段々に感染対策というものが絞られてきて、ウィルスの変異のせいかどうかは分かりませんが、最初にいわれていたように「突然に命が奪われる」という恐怖も少しずつ緩和されて、「大きな波をしのいでいこう」という雰囲気になってからは、どこで区切りをつけることが出来るかということが問題になっていたように思います。
はっきり「今日」と区切りがつけられるとは想像が出来ませんでしたが、ようやくその日が来たことは、本当に感慨深いです。

久しぶりに東洋経済のグラフページを開きました。
2022年の9月に全数把握が終わってからも、つい最近(2023年の2/15)まで情報が更新されていたようです。
過去の情報を2020年3月まで辿ることが出来るということに気が付いて、「実行再生産数」のグラフを3年間分つないでみたところ「なるほど…」という気持ちになりました。

「実行再生産数」2022年3月から2023年3月まで(東洋経済による集計)


こうして3年分を一目でみてみると、2020年から2021年にかけて大きく揺れ動いてた曲線が、2022年の2月以降には、大きな行動制限などが行われなくなってからもなだらかであることが見えてきます。

2022年の9月には感染者数の全数把握の目標が撤廃されましたが、実行再生産数は相対的な数値であり、こうして過去の数値として見る時には「感染者数」は重要ではないはずなので、このグラフが3年間一貫性を保っていると考えてよいとすれば、過去1年の「なだらか」な状況は実態をあらわしていると思います。私の個人的な感覚からしても、最初期の「感染者数」が絶対的に少ない時期の大きな揺れ動きに対して、たしかに自分も大きく揺れ動いていたことを覚えていますし、その後のピークの時期を思い出しても、ほぼこのグラフの通りに揺れ動いていた、つまり、これはウィルスが自分の生活、大きくは社会全体に与えたインパクトそのものをあらわしていると思ったのです。

こうしてみると、ウイルス由来の国家的騒動の大元は、1年前にほぼ終了していたのではないだろうか、というのが「なるほど…」の理由です。3段目のグラフを見て、戦争のような脅威がまだまだ続いているという判断をする人がいても、賛成はできません。

1年前に終わっていた可能性があるとするなら、1年前にすでに警戒を解いても良かったのではないかという残念な気持ちも少しあります。しかし、2022年の2月時点でその後の1年間のグラフを入手するという事は誰にも出来なかったわけなので、1年間(2022.2から2023.2)の評価が可能になった今、ようやく警戒を解くことになったというのはそれほど「おかしいこと」ではないように自分には思えてきたということなのです。

ウィルスそのものが変わったのか、社会が変わったのか、はたまた人体が変わったのか、専門的なことは分かりませんが、過去のグラフを見て、ある地点が転換期であったことを読み取ることが、自分のような一般人にも許されるのであれば、「個人の判断が基本」ということに、ようやく納得がいくと思いました。

また、3月は花粉の季節であり脱マスクが同調圧力になりにくいと思われることから、社会の変化が緩やかになるという点でも、その転換点をこの時期に持ってきたことは、思いやりのあることではないかとも思ったのです。

以上のようなわけで、いま、この時期にマスクを外すという判断をする事が、それほどおかしいことではないと、自分を説得することになりました。

以前には難しかった…それもおかしいことではなく、でも今は出来る…それもおかしいことではないと、なんとか自分に言い聞かせて、しばらくは頑張ってみたいと思います。


カフェ・モンタージュ 高田伸也

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