CAEエンジニアのキャリアパス

以前、CAEエンジニアのキャリアという記事を書いた。

この記事が私のnoteの中では比較的読まれているようなのと、CAEの勉強会などでCAEエンジニアのキャリアパスが見えないというようなことも聞くことがあるので、私が考える製造メーカーでのCAEエンジニアのキャリアパスについて書いてみる。ちなみに私は何度も転職をしているので、ここに書くようなキャリアパスは歩んでいない。製造メーカーにおける数値解析専任部署は、社内からの数値解析に関わる解析を引き受けて実施していることが多い。それを前提に、あくまでも私が考える製造メーカーの数値解析専任部署でCAEエンジニアとして歩むキャリアパスとして考えているものである。

メーカーにおけるCAEエンジニアのキャリアパス

入社1年目

メーカーでCAEをやりたいなら、入社1年目は数値解析専任部署ではなく設計や製造部門に所属しCAEを使うことをお勧めする。まずはモノづくりの基本である製造部門で実際のモノづくりを直接自分で行ったり、設計を行う方がモノづくりの感覚を身につけることができるし、実際のモノづくりを経験できる。メーカーでのCAEはあくまでもツールであり、CAEが目的ではないためである。初めからCAEに携わると、このモノづくり感覚がない中で机上の空論だけでモノづくりをすることになりかねない。

入社2~3年目

設計や製造部に所属しながら、ツールとしてCAEを使うようにする。この期間に基本的なCAE作業を身につけておき本当にCAEを専門として仕事をしていきたいのか自問自答した方がよい。たまに解析ソフトを操作することが好きだから解析専任部署に異動したいという人がいるが、ソフト操作をしたいだけなら設計や製造部門でCAEを使う方がよっぽど操作時間は多く取れる。さらにはCAEを使っていくと多くのことを勉強しなければならないことに気づくと思う。この勉強をこの先自分自身でできないようであればCAEを専門職として行っていくことはできない。また、この時期は設計、製造を行いながらどのようにCAEをモノづくりに活用するのかを自分なりに試行錯誤する。モノづくりの支援ツールであるCAEを現場のモノづくりにどのように生かすことができるのかその感覚を学ぶようにする。

20代後半

設計や製造が1人前になるとともに自分なりのスタイルで仕事ができるようになる。そのうえで本当にCAEを専門としたいのであれば複数領域の解析作業をできるようにする。特に現象論は理論から理解したうえで解析作業として理論と結果の比較が考察できるようになるとよい。

30代前半

30代に入ると複数領域の解析作業ができることは前提である。CAEの学協会やベンダーで議論されるような各種の高度な解析手法や計算工学理論を知っているに越したことはないが、メーカーの解析専任者に求められていることはそこではないということを理解しなければメーカー内におけるこれ以上先の未来はない。もしそれらを高度に極めたいのであれば、数値解析派遣会社、解析ベンダーやコンサル会社に転職する方がよい。特にここからはCAEを通して会社に対して利益につながる成果が出せるかどうかが重要になる。その一つが効果的なハードウェア、ソフトウェア資産の保守運用であったり、数値解析技術開発の立案実行であったりする。これらを通して利益に直結した成果を上げることが重要である。

30代後半

組織内のCAEを活用した実践をさらに推し進めて、組織的に利益を上げられるかどうかが重要になる。組織内で誰もが認めるような目に見える形でのCAEによる効果を上げた成果と、CAEを活用した組織内の継続的な発展を経営者や管理者が理解できる成果として示せるかどうかという組織視点での行動、思考が求められる。

40代以降

30代までの成果が認められれば会社から数値解析専任部署を任せられるかもしれない。

メーカーの数値解析専任部署でCAEをやっていると、単にパソコンの知識が多いから、プログラミングができるから、数値解析作業ができるから、解析をやりたいからというだけで数値解析専任部署に入りたいという人がいる。また、高度に数値解析作業をできることが、数値解析専任者の役割だと思っている人もいる。個人的にはそのどちらも、メーカーの数値解析専任部署で専任者として行うには必要なことでこそあれ、それだけでは不十分であり、むしろその勘違いを持ったままでは十分な役割を発揮できない。そのような人はむしろ、数値解析派遣会社や解析ベンダー、コンサル会社で仕事をすることの方が能力を発揮でき希望を叶えることができると思うし、30代になってもそのような思考であれば、メーカーの数値解析専任部署への転職はできないと思う。

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