Rupert Neve Designs RNHP レビュー【ヘッドホンアンプ】
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Rupert Neve Designs RNHP レビュー【ヘッドホンアンプ】

Rupert Neve Designs RNHPはミキシングやマスタリングをする人向けの、どちらかといえば業務用機器的なあるいはDTM機材みたいな立ち位置であってオーディオマニアをターゲットにしているわけではないと思うのですが、音がとても良いと評判でしたので購入しました。

外観

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シャーシは鉄製の薄い板で出来ており、爪で叩くと甲高く鳴ります。高級なオーディオ機器に見られるような分厚いアルミ削り出しで音質に拘ったとアピールする様な雰囲気はありません。見た目ではなくあくまでも音に注目せよと言わんばかりの質実剛健の仕事道具的デザインです。こういうところはDTMerがよく使うオーディオインターフェイスっぽいです。ただ、オーディオオタク的には「こんなんで大丈夫か」と心配になったりします。

アンプやDACにとってもとても大切な音質決定要因となるインシュレーターですが、こちらはただのゴム足です。

シンプルなゴム足とよく鳴る鉄製シャーシとは随分と割り切ったものだなと思いますが、プロや楽曲制作者にはこれで十分なのでしょうね。 

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ボリュームノブはアルミ製でさらさらとした手触りです。回し心地は重めですがオーディオ機器っぽい滑らかさと高級感はありません。

オーディオ機器には見た目に楽しく美しく、触って心地よくが求められていると思いますが、そういったオーディオ機器らしさみたいなものは全く無いです。このRNHPはあくまでも業務用であり嗜好品ではないということを、その外見が物語っています。

音質

ここに書く音の印象は電源に対策を施した状態でのものです。後述する電源の項も見ていただけると嬉しいです。

はじめて音を出したときには呆気にとられました。そのあまりにストレートで迷いのない、素直な出音に「あれ、こんなに色が薄いのか」と。はじめこそ、そのモニターライクな音に退屈さを覚えていましたが、数日の間に印象はがらりと変わりました。

確かに無味で色彩感の薄い音なのですが、そのうちに物凄い生々しさを感じるのです。オーディオ的脚色がない分、音楽に内包される生命力みたいなものをスポイルされずにダイレクトに聴こえてくるのだと思っています。

RNHPの性能は素晴らしいものです。まず、全帯域に渡る高い解像度。細密画の様な、膨大な情報量を持ち、とても緻密でシャープ。微細な信号も見逃さずに耳に届けてくれます。だから楽器同士の分離も奥行きもはっきりと「見える」のです。様々な楽器の音が混じり合うオーケストラの録音で、注意深く耳を澄ませると、一つの大局的な音楽の中にある細かな演奏の機微が見えてきます。この機材には、埋もれてしまいがちな音の一つたりとも取り漏らさない正確さがあります。そういう意味でトランスペアレントな音です。

低音の方も下の方までぐっと伸びます。細身で量感は無いですがスピードが速く、瞬発力も素晴らしい。もりもりの量感たっぷり低音よりも、こういうハイスピードな低音の方が腹に来る低音の”重み”を感じやすいんじゃないかなと思います。(低域はケーブルによって差が出やすいような気がしています。)

また、定位の良さも見逃せません。楽器やヴォーカルの輪郭がとてもはっきりしています。きちんと、滲みなく音が定位しているので楽器の位置関係の把握もしやすいですね。

このアンプには個性と言われるものが無いか、ほとんど無いです。このアンプは極めて純粋な増幅装置なのだと思います。音には一切の誇張がなく、自然そのもの。
濃厚な色彩や、艶やかさも特定の帯域を強調することもなく、モノクロームに近いです。だから、その出音は端正そのもの。上述の基礎性能の高さとも相まって、RNHPは音楽に対して完全な第三者として振る舞っているといえるでしょう。しかしながら、それでもなにか感じるところはあって、若干明るめのトーンに有機的な潤いがわずかにあります。

このように高性能だと、上流に対する要求も厳しいものになると思われます。DACの素性、粗、そういったものを暴いてしまう、シビアーなヘッドフォンアンプです。当然、ケーブルの変化にも敏感に反応するので、吟味が必要だと思います。
(DACの音とは、普通いくつかのアンプを繋いだ結果から抽象されて把握されるものだと思います。そうして把握されたDACの音とRNHPを通した音は非常に近いです。)

私の機材では、多分、RNHPの性能の全てを知ることは出来ていません。システム全体の性能すなわち音の視野の限界はヘッドホンによって規定されます。ヘッドホンの性能の限界が「見える」範囲の限界です。ヘッドホンの性能を超えたアンプやDACを使ってもその真の実力は見えてこないです。RNHPの限界を知るにはより高性能なヘッドホンとDACでないといけません。
補足:勘違いしないで頂きたいのは、無個性だけがモニター機器として評価される条件ではないということです。何よりも性能が大切です。性能とは「見える」ことであり、無個性でも見えなければ無意味です。まれにオーディオインターフェースの無個性さを、モニターに使えるほど高性能である証と勘違いしている人がいますが、私は同意しません。―楽曲制作用=高音質という思い込みのせいでしょうか?確かに"スタジオ"で使われている"数十万円"の"楽曲制作用"機器は音がいいと思います。― 高性能に立脚しない無個性は本当に意味がないと思います。

電源の対策

RNHPの電源はACアダプタの形式をとっていて、24Vのものが適合します。付属するACアダプタはいかにも安っぽくてチャチな代物です。メーカーとしてはそれで十分という判断なのでしょうが、オーディオマニア的にはなにか対策をしてやりたくなります。(これは本当に悪い習性です。)

ということなので、とりあえずリニアパワーサプライを購入しました。ヤフオクで1万円くらいで入手したものです。いわゆる中華ですね。Aliexpressに類似品が山程あります。

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音は全然悪くないです!付属ACアダプタに比べて音がほぐれてギスギス感が減り、余裕が出てきました。音がほぐれ、空間の見通しもかなり良くなりました。音色はややウォーム寄りに。ゆるりとしたサウンドです。

これに味をしめて、ifiのiPurifier DC2を導入してみました。

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結論、iPurifierも導入した方がよいかもしれません。背景のざわめきが減り、SNがよくなりました。が低減されてとても良いです。音像が明瞭になり、細部がよりよく見えます。微妙な音が浮かび上がってくる感じです。楽器のアコースティクスの表現もiPurifierを入れると断然よくなりますね。

音を引き締め、ニュアンスの再現力を付与してくれます。ちょうど、料理にお酢とかレモンで酸味を加えると味が引き締まるような感じです。

ACアダプタ+iPurifierも試したかったのですが、電源がオンオフが切り替わり続ける現象が起こり、使えませんでした。

その他の対策

上に書いたゴム足とシャーシの鳴きについても気になったので色々と試してみました。ここまではやる必要はないかもしれません。

ゴム足は使用せず、インシュレーターをかましてみました。インシュレーターと言ってもそのへんに売ってるただの木材なので激安です。

具体的にはケヤキと黒檀を下に敷きました。驚くことに、これはかなり効果があります!音にきれいな響きが乗って華やかな音楽性を演出できます。ゴム足でも十分ですが、木材に比べるとどうしても雑味を感じます。東急ハンズとかに売ってるただの木なので値段は本当に安いですが、音への影響は大です。千円もあれば色々買い込めるので試してみることをおすすめします。

次にシャーシの鳴き止めですが、これにも木材を使いました。インシュレーターに使ったあまりです。

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実に愚かしい見た目です。

なんかバカみたいですが、効果はあります。多分あります。木材なしでは高域に鼻につく響きが乗るのですが、木材を乗せるとそれが収まります。しかし、抑圧感のようなものも生まれるので、ここは検討が必要です。あるいはここまではやらなくてもいいと思います。

ここまで来るとバカバカしい気がしなくも無いですが、音が変わるので仕方ないですね!

まとめ

このアンプの音質は圧倒的にいいです。数十万円クラスのヘッドホンアンプと比べても遜色ないクオリティです。シングルエンドですが、そのへんのバランスよりもいいと思います。迷ったらRNHPを選ぶのも良いと思います。

電源やインシュレーターでかなり音が変わるので、試してみるといいと思います。


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はてなで『ヘッドホンでオーディオ!』というブログを書いています。 オーディオ含めた趣味のことをラフに記録します。