自由研究に悩む子どもたちへ2

こんにちは、カエル研究室の助手のコウです。先日、自由研究のテーマの決め方のコツをお話しましたが、今回はその続編です。テーマを決めたあとにどんなことをしたらいいかを、元研究職の経験からアドバイスしたいと思います。少しでも皆さんの役に立てたらと願っています。

テーマは決めた?

テーマの決め方は前回の記事で紹介しました。前回の記事を見ていない方は、先にこちらを読んでみてくださいね。
https://note.com/caeloolab/n/n5b118bd47072
自由研究はテーマの決め方が最重要。好きなことや疑問に思ってることをテーマにして自由研究を始めると、うまく行かないことが多いです。前回の記事にあるように、「これとこれを比べたら、こんなことが分かりそうだな」くらいに結果が予測できていることを研究テーマにしましょう。

テーマを決めたら、早速実験をはじめま……せん!

さて、テーマが決まったら、次にやることは「見せ方を考える」です。「どんな結果をどんなグラフで見せたら、みんなに伝わるか」を考えます。
百聞は一見にしかず、ここからは、実際に自由研究しながら解説していきますね。テーマは仮に、前回チラッと出てきた「30年前と最近の夏の気温を比べてみる(最近のほうが暑くなってるはず!)」というものにします。「何をしたら、どんな結果が出るか」がちゃんとテーマ決めの段階で見えていますよね。早速、結果の見せ方を考えます。うーん、どうしようかな。

【何を見せるか?】
・最高気温を比べてみる?
・猛暑日の日数を比べてみる?
・34〜36℃、36〜38℃、それ以上の日数を比べる?

【どれくらい見せる?】
・30年前から全部の年?
・30年くらい前の3年間と、最近3年間?

【どう見せる?】
・表にまとめる?
・折れ線グラフ?
・棒グラフ?

【どうなりそう?】
・30年前から今までのデータを棒グラフでならべたら、だんだん猛暑日が多くなるグラフがかけそう。
・前と最近3年間だけを並べても、差は出そう。

アイディアはどんどんノートに書いていくと良いでしょう。提出用のレポートとは別に、実験ノート(またはファイル)を一冊用意しておくといいです。実験ノートには、アイディア、調べたこと、実験方法、結果、失敗したことなど、なんでも書き込んでいきます。分かりやすく丁寧にまとめる必要は無し。メモでいいんです。
たくさんアイディアを出したら、とりあえずどれか一つに絞ります。そうすれば、次のステップ、「実験(調査)の計画」がスムーズにできます。

結果の見せ方をざっくり考えたら、実験(調査)の計画をしよう

自由研究の流れの後ろから考えていくのが基本なので、まず結果の見せ方をかんがえたら次は実験(調査)方法を考えます。結果の見せ方を考えた時点で、だいぶ何をやったらいいかが具体的になっていますよね。それをどうやるかを考えればいいのです。実験(調査)方法は、本やネットを参考にしたり、大人に聞いてみてもいいですね。

・過去の気温のデータを、ネットから探してくる
・気象庁で過去のデータがゲットできそう!
・30年前の3年間(1990年〜1992年)と最近の3年間(2020年〜2022年)の自分の住む地域(埼玉)の夏の気温(7月〜9月)を調べる。
・真夏日(30°以上)と猛暑日(35℃以上)の日数を数える。
・日数を表と棒グラフにまとめる。

かなり具体的になってきましたね。ここまで考えたら、次はいよいよ実験に取りかかります。でも、もうこの時点でゴールは見えていますよね。ここまで計画しておけば、もう迷うこともありません。研究は計画するだけで90%は完了しているのです。

いざ、実験!

実際に気温を比べてみましょう。気象庁が気温等の過去のデータを公開していたので、そのデータから猛暑日と真夏日の日数を数えてみます。

たいていの場合、数字だけではぱっと見どんな傾向があるか分からないので、グラフで示したり何かしらの方法で図式化することをお勧めします。
……ということでグラフにしてみました。

なんか30年前と最近を比べると、どうも猛暑日が増えているようです。真夏日は増えているかどうか、ちょっとなんとも言えませんね。年によるばらつきが大きいです。
実は、実験結果というものはばらつくものです。もし1992年と2022年だけを比較したら、「真夏日は減って、猛暑日は増えている」という別の結果が見えて来てしまいます。そこで、実験ではたいていの場合、3個以上のデータをとって、平均を出したりします。そうすることで、より傾向を正確につかむことができます。
ということで、3年間の30年前の3年間の平均と、最近3年間の平均を比べてみましょう。

(本当は、平均値をグラフにするときは「どれくらいばらつきがあるか」を表す「エラーバー」というものを表示しなければいけませんが、小学生の自由研究ということでそのあたりは割愛します。)

平均をとってみると、「真夏日の日数はあまり変化ないけれど、猛暑日が大幅に増えている」ということが言えそうです。平均をとっていないグラフだけでもOKですが、平均をとったグラフのほうがすっきりしていてシンプルに考察することができそうです。グラフの見せ方次第で、見る人に与える印象を変えることができます。自分の主張を、よりはっきりと見せられる見せ方をしましょう。でも、不都合なデータを隠すのはだめですよ。ばらつきや失敗があっても、それを隠さなくてOKです。考察のところで、「このデータは、こんなことがあって失敗しました。」と書けばよいのです。この失敗が大発見を生むかもしれません。過去に大失敗から大発見をしてノーベル賞をとった研究者がいたのですから。

研究の動機は後で考えればOK!

どうしてその研究をしようと思ったか、は、自由研究のレポートのはじめの方に書きますよね。それは実は後で考えればOK。テキトーな理由をつけておけばいいのです。実際に研究所での研究も、動機といったら「先輩から引き継いだから」とか「上司にやれといわらたから」だったりします。でも、動機として書くことは「まだ明らかになっていないから」「これを解決したら○○の役に立つから」という理由です。小学生の自由研究では、動機はざっくりで大丈夫です。「○○という話を聞いたから」「こうしたらどうなるかなと気になったから」くらい。実験して結果が出てから考えても遅くありません。
一つだけ気をつけるのは、研究の動機と考察が同じテーマについて語っているようにします。「昔と今の暑さを調べたいと思った」と初めに言っていたのに、「扇風機とエアコンでは、扇風機の方がエコだということがわかった」という結論だとなんだかおかしいですよね。「今の方が思っていた通り暑くなっている」とか、「意外にも昔と暑さは変わらなかった」という結論ならしっくりきますね。だから、むしろ結論が出てから、それに合わせるように研究の動機を考えた方が楽なんです。


レポートにまとめる

タイトル、研究の動機(きっかけ)、実験方法、結果、考察の順で書いていきます。最後に、参考文献と謝辞(手伝ってくれた人の名前と感謝の気持ち)を添えます。このあたりは、学校の方から「自由研究の書き方」プリントを配られたり、いろんなWebサイトで書き方の紹介をしていると思いますので、ここで改めて詳しくは説明しません。
実際にレポートを作ったので、そちらを参考にしてみてくださいね。
(字が汚くてごめんよ)



いかがでしたか?
研究って色々と計画を立てて、考えないといけないことが多いし、文章もたくさん書くことになるし、面倒くさいですよね。なので、自由研究と図画工作で選べるなら図画工作のほうにしましょう(笑)
とはいえ、研究したいという気持ちはとても素晴らしいことですし、自由研究にトライするとものすごく「考える力」が身につきます。興味があったらぜひ、挑戦してみてくださいね。
カエル研究室は、頑張るみなさんを応援します!


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