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#32 防水層の劣化を見抜く目を養うための知識(2)基本は目視

#31で防水層の劣化の代表例の写真を見てもらいました。
これには理由があって、防水層の劣化の診断は目視検査から始まります。
これを一次診断と言います。
正常な部分と比較して見た目が変わっている場所を探す方法です。

防水層は外気と接する面に形成するため、マンション全体を目で確認することができます。

現在、管理会社に在籍している人は、このチャンスが山ほどあります。
巡回、書類の投函、理事会、総会などで担当マンションに行く際に30分でも良いのでマンションの外壁や共用部分を見て、触って劣化を体験して欲しいと思います。

こんなチャンスがありながら受からないわけがありません。
受からない訳は皆さん自身の試験への向き合い方にあります。

目視確認はポイントを知ること

管理人時代、日々の巡回を大切にしていました。
マンションの目視検査はポイントを押さえればそれ程難しいわけではありません。
その理由は、劣化する場所がある程度限定されるからです。
例えば、シーリングであれば、東や北側より圧倒的に南、西側が劣化が進みます。
その理由は、シーリング材が紫外線弱いためです。
これを知って上でマンションの立ち位置(東西南北)を知る必要があります。
北を探します。(スマホで方位確認でもOKです)
*北側斜線を探せば大抵マンションの方位は確認できます。

このような理由で直射日光を浴びる方位(直上、南面、西面)をまずは確認します。
その方位で変色や変質がなければ東や北に劣化はないと考えて良いでしょう。
屋上は全方位から日光、雨風を受ける場所になります。
そのため、厳重な確認が必要になります。

防水層の劣化を目視で確認する

雨が降った時に屋上や共用廊下を確認すると水たまりが出来ている部分があります。
防水層の工事で内部に気泡や水分が含まれると浮き(膨らみ)が発生します。

ウレタン防水層の浮き

その周辺に水たまりが出来やすくなります。
浮き(膨らみ)は夏場になると内部が膨張し、表面にひび割れを発生させます。
酷い場合は亀裂になります。

シート防水の浮き
割れたシート防水

こうなると防水層の役目は果たせなくなります。床面を観察して浮きがある箇所はマーキングをした上で定期に確認します。

アスファルト防水では目地をチェックします。
目地はシーリング材です。
劣化が進むと変色や変質を起こします。
弾力が無くなり硬化します。
触るとすぐにわかります。
また、色が白くなります。
ひび割れが発生します。
そのまま放置するとシーリング箇所に土が溜まり、草が生えはじめます。
雑草は成長が早いので夏場は1週間ほどで草の存在がわかることもあります。

アスファルト防水の目地の劣化

ドレン(ドレイン)、排水溝、パラペットの立ち上がる部分も劣化が発生しやすい場所です。
各防水層の施工が難しい箇所で塗りむらや浮きが起きやすい場所です。
定期に目視検査を行う必要があります。

防水層の検査機器について説明します。




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