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【イベントレポート】新しい学びを共に/しまね探究フェスタ2020(MY PROJECT AWARD島根Summit)

2月6日(土)、しまね探究フェスタ2020・MY PROJECT AWARD 島根summitがオンラインにて開催されました!オンラインにも関わらず、高校生、サポーター(評価員)、観覧、運営など、この日集まったのは、なんと総勢100名を超える人々!多くの学びや感動に溢れた当日の様子をお伝えします!(ライター/山根若菜)

▼はじめにー賞よりも大切なことー

今回行われたしまね探究フェスタとは、島根県内の高校生が探究学習に取り組み、そこから得た学びを学校や地域を超えて共有し、みんなで学び合う場です。「学びの祭典」をテーマに年に1度、盛大に開催されています!
本フェスタは、マイプロジェクトアワード島根県summit(以下、アワード)も兼ねており、3つのプロジェクトが全国summitへの代表として選出されます。さらに今年は初の取り組みとして、しまね高校生特別賞も新しく設けられました!これは高校生が他の生徒の発表を聞き、最も応援したいものに投票し、投票数を元に賞が授与されます。こちらも後半に紹介していきます!このように複数の賞が選考されるアワードですが、この日は決してプロジェクトの成果を競い合うことが目的ではありません。ここでは、多様な人々が集まる中で、「新しい学びの当たり前」を共に創り、新たな気づきや観点を得て、互いに学び合うことを一番大切にしています。そのため、どんな新しい発見や学びが生まれるか、私も純粋にワクワクしながら参加しました!

▼学びの祭典、いよいよ開幕!!

さて、午前9時15分、メインルームにぞくぞくと参加者が集まってきます、、!
今回の参加者の中には島根県内の経営者や有識者以外にも、高校時代にマイプロをしていた大学生など、合わせて36人がサポーター(評価員)としてアワードを支えます!
さらに、円滑な進行と高校生の学びを深める役として、各グループのファシリテーターの方々にも沢山協力して頂きました。こんなにも多くの大人たちが携わっているなんて、改めて多様性が感じられるすごい場ですよね!

徐々に多くの人たちが画面に現れるようになると、高校生や運営側もワクワク、ドキドキ、、!

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そしてついに、100名を超える人々が集まった9時30分ごろ、司会の「しまね探究フェスタ2020を開催します!」という言葉で開幕しました!!
開会式では、島根県知事の丸山達也様よりビデオメッセージで「プロジェクトの中の挑戦や失敗から得た学びや伝えたい思いを、自分の言葉で語って欲しい」と高校生に向けて激励のご挨拶をいただきました。
また、本イベントの実行委員会を代表して、地域・教育魅力化プラットフォーム理事・会長は「上手くこなそうとしないことが大切。全力で取り組む人の言葉は必ず見る人に伝わる」と、失敗を恐れないことを高校生に伝えられました。この言葉を聞き、生徒たちの緊張もややほぐれ、少し引き締まった雰囲気の中、開会式は終了。
この後、ファシリテータ―と高校生たちが各グループに分かれ、いよいよ10時30分より発表を行うグループセッションがはじまります!

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▼高校生も大人もお互いに学び合う!

さあ、ついに始まったグループセッション!
ファシリテーターの「それでは準備が出来たらはじめてください!」という声で高校生たちが発表を開始しました!
これまでの取り組みを制限時間の10分に詰め込み、多くの人の前で話す高校生もドキドキ、参加者も斬新なアイディアや十人十色なストーリーにワクワクしっぱなしです!
例年のように大きな会場で行う発表とはまた違い、1人1人の顔がよく見えるオンラインだからこそ、生徒の表情や声、伝えたい思いが、画面いっぱいに伝わってきます。

無事に発表を終えた生徒からは笑顔も見られました。そして次は、サポーター(評価員)との対話になります。
今回、サポーター(評価員)が高校生と対話し、評価基準としていることは次の3つです。

1、オーナーシップ(主体性)
 :自ら意志を持って挑戦すること
2、コ・クリエーション(協働性)
 :多様な人と協力しながら取り組んできたか
3、ラーニング(探究性)
 :実現したい未来に向け、問いを深め学びを次に活かそうとしているか

このような観点をもったサポーター(評価員)からは、「自身が変化したと感じた瞬間はどんなとき?」「新しいイベントを企画してみて、どんな新しい発見があった?」といった質問が投げかけられました。
大人たちから自分とは違った視点の質問を受けると、自分の活動を振り返り、さらに学びを深めていく生徒たち。質問に対して真剣に答える姿も、全力そのものに見えました!
そして、それぞれのグループセッションが活発に進んで行き、午後2時ごろ、すべてのセッションは終了しました。
ここから3つのブロックの中から選ばれた代表が発表を行います。代表の発表が終わると、次はいよいよ全国進出プロジェクトの選考になります!!

▼互いに学び合った1日も終わりに

さて、朝から開催してきたアワードも、気づけば夕方になり、ついに閉会式の時間が迫ってきました。

サポーター(評価員)による選考が重ねられ、いよいよ結果発表と講評に移ります!全員が朝と同様に、再びホーム画面に集まりました。全員が少し緊張ぎみの中、しまね高校生特別賞と全国summitの代表が司会者より発表されます。司会者の「皆さん素敵な発表、お疲れさまでした!それでは代表に選ばれた3つのプロジェクトをご紹介します!」という言葉に会場の注目も集まります。
そして、しまね高校生特別賞、全国summit代表、共に選ばれたのは次の3つでした。

「勉強嫌いな俺らと宍道湖の物語~ゴミ拾いで描く夢~」/宍道高校
 代表 矢野海陸さん 

このプロジェクトは、勉強が苦手だけど釣りやスケボーが好きな生徒が、ゴミが多い宍道湖でゴミ拾いをはじめ、地域の人に環境問題への関心や宍道湖への誇りをもって欲しいと取り組んだものです。コロナ禍で何か一歩踏み出したいと思いはじめた、「ごみ拾いwalk」の楽しさにはまった矢野さんたち。自分たちの好きな釣りやカルチャーとごみ拾いを結びつけ、「+宍道町潜水道路で釣りー愛を叫ぼう」や「+宍道湖カヌーツアー」といった企画を地域の方々と開催しました。3人チームで協力し合いながら、いきいきと発表をする姿が印象的でした。
「出会い縁joyプロジェクト」/松江商業高校/中尾征貴さん
中尾さんは大好きなストリートサッカーを多くの人に広めたい、プロジェクトを通して色々な人達に出会いたいと、高校1年生のときからマイプロに取り組んできました。幼児から大人までのストリートサッカーの体験イベントを開いたり、小さい子と折り紙でサッカーボールをつくったりして、活動を広げてきました。マイプロを通じて出会ったかっこいい大人に憧れ、そのように自分もなりたいと、好きなことを一生懸命追いかけてきた高校3年間。自分の言葉で丁寧に発表する様子からは、ストリートサッカーが本当に大好きで、マイプロを通して多くの人に出会い、沢山のことを学んだのだろうと伝わってきました。
「マネージャーサミット」/津和野高校/松浦幸美さん
硬式野球部に入部後、マネージャーの仕事の大変さに悩んでいた松浦さん。少人数で部活内でも孤立しやすいマネージャーどうしが、悩みを共有し交流し合える場をつくりたいと取り組みはじめました。自分の所属する部活以外にも他の部活のマネージャーどうしが交流をもつことで、よりよい部活動へと変わっていき、それが学校や地域の活性化にも繋がっていくと話します。代表に選ばれたとき、本当に嬉しそうで、全国のマネージャーや色んな人にこの活動を知ってもらいたいという目標が叶いそうだと話していました。

結果発表が終わり、拍手に包まれる会場。高校生も大人も共に学び合い、朝から続いたアワードも、段々と終わりのときをむかえます。
最後の挨拶では、地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事が、「運営やサポーターとして参加した卒業生、大学生の存在がとても嬉しく、島根の学びの生態系が世代を超えて繋がりはじめていることがとても嬉しい」と話されました。そして、今日一日を通して感動、喜び、エネルギー、そして希望をもらえたと締めくくりました。次の目標は、企業と高校生、島根の卒業生らが繋がり、みんなでチャレンジの場をつくっていくことだそうです。


無事に一日のすべてのプログラムが終了し、司会の「またお会いしましょう!今日は本当にありがとうございました!」という言葉で、参加者は笑顔と拍手に包まれ退出していきます。
オンラインという例年とは異なる挑戦を乗り超え、この場に参加した全員にとって、記憶に残るあたたかいアワードになったのではないでしょうか。

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▼自分が成長できたマイプロ~高校生の声~

発表を終えた高校生からぞくぞくと感想をもらいました!緊張した、楽しかった、勇気を出して参加して良かったという声が多く聞かれた中、特に印象的だったコメントを紹介します。
ー「代表に選ばれず悔しかったですが、楽しかった!!アワードは勝ち負けの場ではなく、アドバイスを貰える場だったから、自分にとっても学びになった。このような発表の場を与えてもらえたことに感謝したい。明日からもプロジェクトを頑張りたい!」
ー「私はこの高校でしか出来ないことに取り組み、マイプロを通して考え方が変わりました。自分の成長に繋がっていると感じています。」
ー「友達や周りの人には理解されなかったことも、マイプロの活動を通して出会った人には共感してもらうことができた。自分と違う考えをもった相手と理解し合えなくても、相手を受け入れることが大切だと学んだ。」
ー「3年間マイプロをして、今日初めて発表をしました。自分は他の人のようなすごいプロジェクトはできなくて、大好きなサッカーボール1つでしか自分を表現出来ません。こんなに大勢の人に聞いてもらって本当に良かったです。生き生きとしたかっこいい生き方をこれからも目指していきたいと思います。」
多様な人たちの違いを受け入れることが大切、自分の考え方が変わり成長できたといった感想から、この一日を通じて新たな気づきや学びがあったことが感じられたのではないでしょうか!

▼頑張る高校生を応援したい~地域の声~

当日、高校生を応援したいと集まったサポーター(評価員)、観覧、企業の人や地域の方々。みなさん、高校生たちの熱い想いをもった取り組みに感動した、もっと発表を聞きたかったという気持ちでいっぱいだったようです。アワード後に届いた感想をお届けします!

ー「高校生が大学生になりアカデミックな専門性を身につけたとき、プロジェクトが大化けしそうだと本当に可能性を感じた。」
ー「こんな高校生たちが島根にいると知らなかった。もっと企業が求められる形で高校生を応援していきたいと思う。」
ー「どのチームのプロジェクトもとにかく高校生が楽しんでいた。ふるさと島根にこんな若者がたくさんいることを目の当たりにし、未来が明るく見えた。」
ー「発表の中で生徒が、マイプロがきっかけで自己肯定感が高まり自分は変われたと話していた。本当に良い取り組みが広まっていると感じた。」

高校生のもつ創造性や探究性に、色々な大人たちが心を動かされたようでした。これから、もっと地域の大人たちがこうした高校生の取り組みを知っていくこと、そしてそれを様々な形で応援していくことが必要になってくるのかもしれません。

▼取材を通じて感じたこと

「教育の当たり前は島根から変わるんだ。夢じゃなくて、それを今高校生たちが体現しているのを目の当たりにしているのが証拠だ。」
私は、取材を通してこのように強く感じました。
様々な発表を聞き学んだのは、自分の好きという気持ちを信じて追い続けることの大切さです。ある生徒が「自分の好きなことがマイプロに溶け込んだだけ」と話しているのを聞き、なんてシンプルでかっこいいんだろうと思いました。周りに笑われても自分の好きな事を続けること、憧れの大人に自分もなれると強く信じること、大人でも貫くのが難しいこれらを、高校生はまっすぐとやっていたのです。プロジェクトの数だけ、その人の背景があり、沢山の困難や辛さもあったと思います。しかし、今日のこの場に集まった高校生は笑顔に輝いていて、全員が主役でした。失敗から立ち上がる早さ、勇気、そして未来への期待感、そのすべてが私にはとても眩しく見えました。生徒たちから湧き上がる熱量と、それに惹かれる大人や大学生たちとの対話を聞いていると、まさに学び合いの祭典だと感じました。
教育の当たり前が必ずここから変わっていく、そんな兆しを感じた、高揚感に満ちた1日でした。


▼失敗は、ない。

「みなさんの表現が、未来の当たり前を創り、新たな学びをつくっていきます。何も間違いはない。失敗はない。」
これは当日の参加者に配布されたしおりの冒頭に書かれている言葉です。高校生、先生、地域の大人、運営といった、多様な人たちが集い、画面を超えて対話し、互いに学び合った1日。答えのない未来が訪れても、この学び合いの生態系が大きく繋がり、循環していった先には、ワクワクするような新しい答えがきっと待っているのではないでしょうか。
アワードを通して感じたのは、教育は大人だけでつくるものでも、子供だけで成り立つものでもないかもしれない、ということです。この1日も、当たり前を変えるという大きな目標に向けて、高校生、大学生、大人たち、島根県みんなで取り組んでいる挑戦の半ばであるように感じました。そして、会場の活発な学び合いの熱に触れて、私もその1人なんだという気持ちが改めて芽生えました。
達成までの道のりには失敗も待ち受けているのだろうと思いますが、今日高校生から得た学びや熱い力を、未来へ繋げていくのが大切ではないでしょうか。失敗を恐れないことの勇気を高校生からもらい、私も明日から動き出そうと強く背中を押されました。


最後に、サポーター(評価員)やファシリテーターの方をはじめとし、観覧や今回のプログラムに協力してくださった皆様、本当にありがとうございました!これからもご支援、ご協力のほど、よろしくお願いいたします!

〈取材・ライター/山根若菜〉
島根県雲南市出身、大学1年生。県外の大学へ進学後島根の大学生コミュニティや運営に携わるようになる。現在、ルーツしまねのしまね大学生スタートアプゼミで自身のマイプロジェクトを進めている。地域教育魅力化プラットフォームで働く大人たちにインタビューをしたnoteも公開中。

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