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地域・教育魅力化プラットフォームメンバーインタビュー vol.2_石倉ももこさん

地域・教育魅力化プラットフォーム(以下、PF)に大学時代から関わり続けている石倉ももこさん。「同世代」「違い」などのキーワードを軸に、ご自身の意思で選択してきた芯の強いももこさんに、お話を伺いました。

石倉ももこさん
《プロフィール》
1997年2月22日生まれ。島根県松江市出身。2015年に中央大学文学部入学。大学時代は応援団で活動するも、“大学生活を自分で選択したい”という思いから2年次に退団。その後、NPO法人おっちラボや認定NPO法人カタリバ、そしてPFでのインターンを経験する。2020年3月に中央大学文学部人文社会学科日本史学専攻考古学研究室を卒業。同年4月に株式会社石見銀山生活観光研究所へ入社し、宿の運営や広報部で町の暮らしを発信する。2021年4月にPFに転職。現在、株式会社MY TURN、株式会社ソフィアクロスリンクでも副業中。好きなことは、箱根駅伝選手や男性アイドルの成長を見届けること、友達の写真を撮ること、フルート、おいしいものを食べること。


目次
▼PFに入るまで
▼PFに入った経緯
▼PFに関わり続ける理由
▼PF以外でされているお仕事
▼今後の夢について
▼最後に


▼PFに入るまで

 - はじめに、幼少期から中学までどのような子どもだったのか、教えて頂きたいです。

小学校時代は、学校内よりも、学校外で習っていたフルートや水泳、ピアノを通じてできた、学校を越えたつながりの方に楽しさを感じていました。土日にはよく、父親と2人で鳥取県にある大山(だいせん)町にある家に行って、そこで畑仕事やフルート、学校の宿題をやっていました。そのためか、様々な場所に行くことへの抵抗感がない子どもでした。中学時代は「ひとつの空間に40人を閉じ込めて全員に対して画一的な教育をすること」に違和感を覚え、学校を楽しめていませんでした。そこで2年生からは、松江市が運営しているフリースクールに通うようになりました。そこでは、いろんな学年の人達が一緒に過ごす時間があり、先生と生徒が話して物事を決めることも多く、とても楽しかったです。今でも、フリースクール時代の友人と連絡を取り合うほど仲が良いですね。

 - 次に中学卒業後の、高校から大学・学部選択のことについて教えて頂きたいです。

中学校の担任の先生に勧められた島根県内のカトリック系の私立高校に進学しました。1クラス20人くらいの学級で、大半の生徒が女子という環境でした。部活には入らず、小学校から続けていたピアノとフルートを続けていました。大学・学部選択に関しては、実は、父親と祖父の影響で、小学3年生の頃から中央大学に行きたいと思っていました。幼い頃から箱根駅伝でも中央大学を応援する程で、半ば信者のようになっていましたね(笑)。「どうしても中央大学に行きたい!」という気持ちで、指定校推薦で中央大学文学部日本史専攻に進学しました。

 - 大学時代はどのように過ごされていましたか?

最初はテニスサークルに入ったりアルバイトをやったりしていました。また、ずっと箱根駅伝が好きだったこともあり、応援団にも入団し、ブラス部に所属していました。しかし、なんとなく過ごしていたのも事実で、飲み会とアルバイトに時間を費やしている状況にモヤモヤしていました。そこで思い切って大学2年の9月に応援団を退団したのですが、辞めたら突然暇になってしまって。そこで、ふと「島根に帰ろう」と思って帰省しました。その時に母親から紹介されたイベントにたまたま参加したのですが、ローカルジャーナリストの田中輝美さんや、ふるさと島根定住財団の原早紀子さんが「島根って、おもしろいよ」とお話されていました。私の中では、島根は何もなくてつまらないと思っていたので衝撃的でしたね。また御二方の、「自分で肩書きをつくる、自分で仕事をつくる」という考え方にも、とても衝撃を受けました。そのイベントに参加したことがきっかけとなって、島根を軸にいろんな方々とのつながりができていきました。

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(大学時代、応援団として神宮外苑球場にて行った野球試合時の写真)

 - なるほど、それがきっかけで“島根”での活動は広がっていったのですね。具体的にどんなことをされていたのですか。

大学3年生の時にサポーターとして参加した、高校生向けマイプロジェクト合宿で、高校生が本気で自分に向き合い続ける姿を目の当たりにしました。そこで「私はこのままなんとなく大学生活を過ごしていていいのか」と思い、大学4年次に休学することを決めました。当時は、地域で何かを始めたいと思った人を応援したいという思いから、NPO法人おっちラボでインターンを始めました。そこでは、島根県雲南市をフィールドに、「地域の未来を切り拓いていく人材」を育成する活動を行っていました。
また、大学2年の終わり頃からカタリバの方々とも知り合ったこともあり、そこでルーツしまねの活動も始めました(※現在PFの事業である「ルーツしまね」は、当時カタリバの事業でした)。その時、偶然PFのアルバイトに誘って頂き、水谷さん(※当時:代表理事、現在:理事・会長)と話してPFでもインターンすることになりました。PFでは、地域みらい留学の新規参画校営業をしていました。明確な数字目標を追うという経験は、苦しくもありましたが、営業はただ自分たちのサービスを売り込むのではなく、共感者や仲間を増やしていくことだと思うようになりました。その過程で、「既存のモノで営業するだけではなく、自分の思いを込めたサービスや仕組みを作る側に回りたい」という思いを持つようにもなりましたね。

 - 様々な団体でインターンを経験されたうえで、新卒で石見銀山生活観光研究所に入社をされた背景を伺いたいです。

新卒で入社できるなら「他のところを見てみたい」「教育業界以外のところも広げて見てみたい」と思ったからです。そんな中で、大学3年の頃に受講した講座で聞いた、石見銀山生活観光研究所の社長さんの話で、「この地に古くから暮らす人たちの暮らしを伝えていく」と仰っていたことを思い出しました。「既に在るものを伝えていく」という趣旨の会社の理念が素敵だなと思い、入社を決めました。
これからの時代の豊かさは、お金やモノがあるということから、丁寧な暮らしを紡ぐということにシフトしていくのではないか、この会社や会社のある大森町という町には大きなヒントがあるのではないか、ということを思いながら入社しました。

 - 1社目ではどんなことをしていたのですか?また、印象的だったことはありますか?

石見銀山生活観光研究所では宿の運営や広報部で町の暮らしを発信していました。その中で、町自体がいい意味で現実離れしている感覚がありました。というのも、町の中に暮らすおじいさんが手作業で作られた竈門でごはんを炊いていたり、都会からUIターンしてくる人がたけのこ掘りや梅仕事を楽しんでいたり。全てが私にとって新鮮な体験でしたね。

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(休学インターンの最後に携わった「しまね未来共創フェスタ」での一枚)

▼PFに入った経緯

 - その後、PFに転職された理由を伺いたいです。

PFやカタリバから離れてみて「やっぱり大学生に対して何かをやりたい」という思いが強まったからです。前職のターゲットが50~60代の女性が中心で、自分自身が届けたい対象は大学生だということに改めて気づきました。それは、大学時代に一緒にルーツしまねをやっていたメンバーがどんどん社会人になっていくにつれて、「私たちの世代と次の世代の大学生との接点をどうつないでいけるか?」と考えるようになりました。そのメンバー1人1人が個性的な大学生活の送り方をしていたし、働くことに対してそれぞれの価値観を持ってキャリアを決めていました。そういう姿が次の世代の大学生に届いたらいいなと思い、その二者をつなげる段階に携わりたいと思うようになりました。

 - ありがとうございます!現在しまね事業にはどんな思いで携わっているのですか?

「大学生にとってあったらいい機会ってなんだろう」という思いで携わっています。自らが大学時代に島根と関わることで、社会に対する解像度が上がって卒業後の過ごし方が見えるようになったという経験があったので、他の大学生にもそういう大学時代の過ごし方をひとつの在り方として提案したい、という気持ちが大きいです。
今は「ルーツしまね」のサイトを作成しています。というのも、これまでは口コミベースで「ルーツしまね」というコミュニティは広がっていて、年間200人ほど集まっていたのですが、今後、その輪をより広げていくためのサイトの作成を担当しています。

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(大学時代からお世話になっている方々)

▼PFに関わり続ける理由

 - PFに関わり続けていらっしゃる理由を伺いたいです。

自分の「WILL」のど真ん中だからですね。その「WILL」というのは、他人との違いを互いに受け入れ合えるようになる社会をつくりたい、ということです。そのためにも、大学時代に地域社会に出て多様な価値観に触れることによって、自分の価値観・判断軸を考え研ぎ澄ます機会や、価値観をお互いに受け止め合える関係性を作っていくことが必要だと思っていて、それを提供できるのがPFだと思っているからです。

 - ありがとうございます!その「WILL」を持つようになった背景を伺いたいです。

これまで、特に中学時代、人と違うことを受け入れてもらえない環境にいたこともあり、そこで感じた苦しさが原点にあります。でも、大学生活の中で関わった島根という環境で、人と違うことをやっていても受け入れてもらえる環境がありがたくて、私自身も人との違いを認め合える人でありたいですし、他の皆さんにもそうで在ってもらえたら嬉しいなと思います。

 - ももこさんから見て、PFの好きなところはどんなところですか?

「家族のように、利害を超えて受け入れ合える関係性」があるところですね。大学生の頃にインターンとして関わって、また戻ってきてという出入りをしているので、PFの方々と私の間で「受け入れてもらえる」関係性ができていると感じていますし、PFの方々と過ごしていると「そういう考え方もあるんだ!」とか「私にはない素敵なところがある!」と思うことがたくさんあって、それがPFの好きなところです。また、どんな選択をしても受け入れてくれるところは本当に「家族」のようだなと感じます。

▼PF以外でされているお仕事

 - ちなみに、PF以外で現在されているお仕事についても伺っていいですか?

株式会社MY TURNで副業をしています。現在は主に2つの業務を行っています。1つ目は、9月から専修大学で、しまねのローカルビジネスを題材にした授業をやることになっているので、その準備をしています。2つ目は、島根県庁の若手職員に対して関係人口をテーマにした研修のサポートを行っています。
株式会社ソフィアクロスリンクでは、社会人と大学生・高校生で、島根県内の企業や組織の課題に臨みながら、それぞれに気付きを得て成長していく研修を実施しています。

 - そのお仕事とPFのお仕事はどのようにつながっていると感じられますか?

大きく2つあって、1つは、大学生に向けて「自分×島根」という選択肢をつくるという点でです。もう1つは、それぞれの会社と私の出会い方が、企業対個人として出会って就職したわけではなく、そこにいる方に惹かれて一緒に働かせてもらっているという点です。

▼今後の夢について

 - ももこさんの今後の夢を教えて頂きたいです。

大きく3つあります。1つ目は、「島根の同世代の仲間たちと一緒に働く」こと。2つ目が、「『家族』探究」。そして3つ目が「自分自身の生き方・在り方で誰か1人の選択肢を広げる」ことです。

 - それぞれもう少し、詳しくお話を伺いたいです。

1つ目の島根の同世代というところについては、学生時代のルーツしまねの活動やインターン生活を送る中で、同世代の存在が大きかったからです。当時、一緒にルーツしまねの活動をしていた同世代の仲間や、雲南市で同時期にインターンをしていた同世代がいて、そういった仲間から刺激を沢山受けました。彼らが帰ってきた時に、「おかえり」と言えるように島根で楽しく暮らしていたいですね。
2つ目の「『家族』探究」については、18歳まで島根に住んでいた時と今の家族に対する思いや捉え方が変わったという経験から、「家族」というものの在り方を考え続けたいと思っています。当初は「この家に縛られている」と感じることもありましたが、大学生になって、祖母や自分の家族のことを知る方から話を聞いたりして、我が家の歴史を知るうちに、家族の在り方を考えるようになりました。
3つ目の「自分自身の生き方・在り方で誰か1人の選択肢を広げる」については、私自身がマジョリティではない選択をしてきたという背景から、叶えたいと思うようになりました。例えば、大学時代に休学して地方でインターンをすることは、当時は主流ではありませんでした。そういった、ある種マイノリティの選択を体現することやそれを「受け入れる」という在り方を大事にしたいと思っています。

 - 最後に、ももこさんが働く上で大切にされていることを教えてください。

大きく3点あります。1つ目が、「『あったらいいな』という妄想を形にすること」です。今妄想していることは、一緒にルーツしまねというコミュニティを作っていた同世代の仲間たちの生き方を見える化し、次の世代の大学生に届いたらいいなと思っています。
2つ目が、「妥協せず他人 / 自分と向き合い続けること」です。チームで仕事をしている以上、誰か1人の意見だけが通るのではなく多様な意見を言い出せる関係性が重要だと思っています。その関係性を創り上げるために、自分も意見を発信していきたいと思っています。
3つ目が、「自分のあり方を大切にすること」です。具体的には、「意見を言う」「相手の真意を聞いて受け入れる」というスタンスを、仕事でもプライベートでも大事にしていきたいと思っています。

▼最後に

これまでのバックグラウンドやご経験を踏まえて、現在、そして未来へと自身の価値観を研ぎ澄まされてこられたももこさん。ご自身の在り方に妥協しない姿勢が素敵ですね!


《インタビュアー:成田知世》
青森県出身、大阪大学人間科学部4年。高校までは剣道に打ち込み、大学では教育社会学を専攻する。課外活動として高校生向けリベラルアーツサマースクールの運営及びメンター活動に2年間従事し、途中でアメリカやフィリピンに休学留学をする。PFでは社会資源プロジェクトチームで活動中。好きなことは読書(お気に入りは西加奈子さんと中村文則さん)、ボクシング。


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