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エジプト地獄の深夜バス17時間 【エジプト旅行記② 9/24-25】

こんにちは!エジプトは今昼の2時です。

昨日のnoteからいきなり日にちが飛びますが、
昨日の17:00から今日にかけて深夜バスでルクソールから、ダハブという海辺の町へ移動しました。
正確にいえば、ルクソールからシャルメシェールという大きな街まで行き、そこから乗り換えてダハブへ来ました。

今はダハブの宿で一息ついているところです。
バス乗車時間があまりに長く、やることもなかったため、車内で書いた日記を載せようと思います。

9/24(月)

17:00
バスに乗り込む。
古い車体、長距離バスにしてはかなり狭い4列。

宿の人が勧めてくれた所じゃなくてやはり評判の良いGoBusでチケットとるべきだったか…。適当な席に座る。隣にはまだ誰もいない。

19:00
人がたくさん乗ってくる。乗ってきた人たちに、君の席はそこじゃない、48番に移動しろと言われる。
移動した先の席は一番後ろ、右から二番目。両側に人がいる。しかも前のイスとの距離が他と明らかに違う!めっちゃ狭い!リクライニングもできねえ!ここは奴隷船か?
長距離バスの一番後ろは、修学旅行ではハイカースト男子らが陣取る人気スポットだが、夜行では最も避けたい場所である。これは過去に類を見ない厳しい戦いになるかもしれない。

20:00
早くも消灯。本も読めなくなってしまった。と同時に、なぜか車載のブラウン管テレビから映画が流れ始める。よくわからないカンフー映画みたいなやつ。

20:30
カンフー映画、ここ30分ヤー!しかセリフ言ってない。
まさまさとラインする。時差なく返信が返ってきてホッとする。

21:00
ていうかよく考えたらフツーにシャルメシェールまで飛行機で行けば良かったよね。多分一時間かからず行けたし。なぜ私は社会人になってもまだ、金はないが時間はある貧乏学生のような旅行を続けているのだろう。

21:45
点灯、パーキングエリア的なところで休憩。
隣にいた韓国人の女の子(サイちゃん)と喋る。仕事を辞めて旅行しているらしい。神戸に留学していた経験があって日本語が堪能。
「エジプト好きですか?私は大嫌い!最悪!こんな嫌いな国初めて。遺産はすごいけど人がウザすぎる。最初は10日いる予定だったけど、嫌いすぎてさっさとヨルダンに行くことにしました」とのこと。
ちなみにエジプトはモロッコより全然ウザいらしい。インドは金が絡むと死ぬほどウザいけど一般人は別にそんなにだし、やはりエジプトが世界で最もウザい国なのかな。エチオピアもひどいと聞くが。
二人で座席の狭さをひとしきり嘆いたあとバスに戻ろうとすると、サイちゃんが運転手に何か話している。
サイ「私ここで寝ることにしました!」
私「え?ここってどこですか?」
サイ「ここ!」入り口の階段を指差す。
まじか…すげーな。座席じゃなくて入り口の階段スペースに座るという発想がまず私なら思いつかないし、頭をよぎったとしても絶対に実行しないだろうな。与えられた条件からはみだそうとする彼女の発想と行動力に感心した。そしておかげで私は席を二つ分使えることになり、かなり快適になった。

21:00〜
やることがなく、この日記を書いている。

22:00〜3:00
二列座席に上半身を横たえて、足は座席下に折りたたむ姿勢が一番寝やすい。仰向けになって足を窓の方に上げたり、座席に対して90度横向きになってみたり、色々姿勢を変えながら眠ることに成功した。これはいける。

4:00
警察の検問で全員外に出される。警官にアラビア語で何か話しかけられる。隣の若者が英訳してくれるには、「朝にお祈りをするか?」と。「いや、ムスリムじゃないのでしないよ」と若者に返すと「とりあえずyesって言っとけ」と言われたので、ポリスには笑顔で「yes」って答えといたら納得した様子。ごめんね。

5:30
謎の行商人登場。
よくわからん場所で乗り込んできて、ちょっと目を離した隙に後ろのイス全部使って傍若無人に寝っ転がってるではないか。

後ろに乗ってた他の人はいつのまにかいなくなってるし。君が頭を載せているのは元々私の席だぞ。二席あったスペースを奪われ、もとの窮屈な体勢戻ってしまった。しかも、「お前の友達(サイちゃん)は前の方に座ってるが、お前もそっちに行かないのか?」的なこと言ってくるし。行かねーよ。座席全部独り占めしようったってそうはさせねーぞ。

7:40
謎の行商人は去り、またスペースに余裕ができた。しかしそれを味わう余裕もなく、別のおじさんが乗り込んできてアラビア語で捲し立てられる。周りの人が英訳してくれて曰く、俺は後ろの席ぜんぶ使って寝たいんだ、前の席が一つ空いたからそこへ行けと。なんて野郎だ。こいつが来る前に私が全部使って横になっちゃえばよかったー!でも大人しく前に行きました。
景色が良くて気持ちいい。

サイちゃんも既に座席に座っており安心。ていうか13時間って聞いていたけど、一体いつ着くんだろう。
ひたすら本を読んで過ごす。
母校でセクハラ事件を起こした某大学教授の本、事件が起きてから、なんとなく本棚からエジプトに連れてきて再読している。事件のあらましは聞くに耐えない醜悪なものだが、彼の授業は刺激的だった。

8:30
二度目のポリスチェック。乗客全員降りて荷物を全部出す。麻薬犬が荷物を嗅いで回る。

10:00
ぐえー!やっとシャルメシェール着いたーー!!
結局17時間かよ。ケツの肉とれるかと思った…。
まとわりつくタクシーおじさんを振り切って、違うバスに乗り換える。

11:45
ダハブ到着!
サイちゃんと、スペイン人カップルとタクシーをシェアして宿へ。一人10ポンド。

12:15
はー。宿のベットに今寝そべってます。
旅の最後だし一泊20ドルシングルのちょっといい宿にしちゃった!ダイビングするぞ〜!

結局ルクソールからダハブの宿まで19時間かかったことになる。私の夜行バス史のなかでも屈指のしんどさだった。

まあでも、飛行機じゃなくてバスで行ったからこそこの文章が書けたわけだし、
目的に効率良く辿り着くことを良しとするのはただの観光である。
目的までの過程を楽しむのが旅ではなかろうか。
某教授が言うように、「〈愛〉こそ過程のきらめきにほかならない」のだから。

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